2021年12月26日(日)「ただ悪より救いたまえ」

DAMAN AKESEO GUHASOSEO・2020・韓・1時間48分

日本語字幕:手書き風書体下、根本理恵/シネスコ・サイズ(RED、Panavision、IMAX。IMDbでは2.39、IMAXは1.90)/ドルビー(IMDbではドルビーATMOS、公式サイトでは5.1ch)
(韓19指定(ファイナル・カット)、日PG12指定)

監督・脚本:ホン・ウォンチャン
撮影:ホン・ギョンピョ
出演:ファン・ジョンミン、
   イ・ジョンジェ、
   パク・ジョンミン、
   豊原功補、ほか

公式サイト
https://tadaaku.com
(全国の劇場リストもあり)

韓国国家情報院の工作員インナム(ファン・ジョンミン)は、政府の方針変換により所属する部署が解散となり、生きていくため闇社会の殺し屋となる。そして最後の仕事として、日本のヤクザで悪党中の悪党とされるコレエダ・ダイスケ(豊原功補)の暗殺を引き受ける。そして仕事の完了後インナムはパナマで引退生活を送るため家を購入するが、かつてのパートナーだった女性がタイのバンコクで殺害され、娘が行方不明になっていると知らされる。

84点

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 参った! なんと過激な映画。なんと暴力に溢れた映画。なんと悪にまみれた映画。強烈すぎる。基本的には普通ではないヤツ、おかしなヤツ、ヤクザ、マフィア、犯罪者しか出てこない。そして血で血を洗うと。普通の人は知らない、関わることのない、悪の世界。見事にその世界観を作り上げている。さすが韓国映画。物語も良くできていて、ハッピーな物語ではないが、心に突き刺さる。涙がこぼれるかと思った。暴力まみれなのに感動的。絵もきれいで、デジタルならではの夕焼け美だろうか。映画として素晴らしい。見ておくべき映画。

 2時間超の長尺かと思ったら、1時間48分だった。実に内容の濃い1時間48分。お金を払う価値ある濃密な1時間48分。こんな映画が作れる韓国がうらやましい。なぜ日本ではできないのか。

 殴り合い、刃物での格闘、銃撃戦、爆弾(グレネード)、どれをとっても恐ろしく、リアルで、見どころたっぷり。とにかく凄い。

 特に良いのは役者3人。主人公のファン・ジョンミン、狂気の殺人者を演じたイ・ジョンジェ、しかたなく協力することになる性転換手術を受けたいオネエを演じたパク・ジョンミン。

 ファン・ジョンミンは本作のようなノワールからコメディ、時代劇、舞台、ミュージカルと、なんでもこなせる人なんだそう。本作を見ると納得できる。クールな殺し屋の雰囲気がものすごい。その存在感、圧がスゴイ。このイメージでコメディは全く想像できないほど。コメディも見てみたい。

 イ・ジョンジェは、Netflixで話題の「イカゲーム」の主人公だそう。ボクは見ていないのでなんとも言えないが、本作の殺し屋は白眉。優男タイプなのにキレ具合が半端ない。恐い。ボクが見た作品では、「神と共に」(Sin-gwa ham-kke・2017、2018・韓)に閻魔大王の役で出ていた。「新しき世界」(Sinsegye・2013・韓)でファン・ジョンミンと共演しているらしい。

 おネエ役のパク・ジョンミンは、てっきり本物かと思ったが、そうではないらしい。うますぎ。過去には独立運動家やサバン症候群患者などを演じ、賞も多数受賞しているとか。なるほど、それでこの演技か。コミカルな感じも、悩む感じも、実に見事。「サバハ」(Sabaha・2019・韓)という作品ではイ・ジョンジェと共演しているらしい。この人のアクションも見てみたいし、逆にいたってノーマルな冴えないサラリーマンとかも見てみたい気がした。

 監督・脚本はホン・ウォンチャン。傑作アクション「チェイサー」(・2008・韓)や「哀しき獣」(・2010・韓)の脚本家で、藤原竜也主演で日本でもリメイクされた「22年目の告白-私が殺人犯です-」(2017・日)の元ネタ、「殺人の告白」(・2012・韓)の脚本も書いている人。見ていないが「オフィス 檻の中の群狼」(・2015・韓)で監督デビューしたのだそう。どうやら、バイオレンス・アクションを得意とする日らしい。とにかく素晴らしい才能。脚本ばかりか、演出力も卓越している。韓国には才能のある人があふれているのか。うらやましい。

 銃は、ヤクザのコレエダ・ダイスケが使うのがポンプ・ショットガン、インナムが使うのがベレッタ92。銃砲店で殺し屋のレイが手にするのがG36Cで、使うのはポンプ・ショットガン。ほかにM4、グロック、P226、ベレッタPx4など。

 公開3日目の初回、池袋の劇場は全席指定で、会員になって2日前にネットで確保。8時30分という早いスタートで、まだ暗い内から起きて準備。20分前くらいに開場。最初オヤジ7人に、オバ3人。最終的には81席の半分弱くらいが埋まった。女性は男性の半分くらい。若い男性が2〜3人。若い女性はいなかったかな。

 新しい劇場なのでスクリーンはとても見やすい。しかも大きめで高めで、とても明るい。反射率が高いので、周囲が明るくてもよく見える。快適。トイレもきれいでウォシュレットだしなあ。これで昭和な劇場と同じ料金。うむむ。10分ほど前から劇場案内、CM・予告、マナー、映画に行こうCM(ここで? 劇場に来ている人に向けて?)、案内、映画泥棒、映倫、さらにCM・予告が続いて、1対2くらいのフル・スクリーンに、映写機の上下マスクで本編へ。

 入場者プレゼントでポスト・カード大のカードをもらった。両面カラー印刷で、ポスターのデザインのままなのか、両面ともなかなかカッコいい。


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