2021年12月25日(土)「レイジング・ファイア」

怒火・重案・021・香/中・2時間06分

日本語字幕:丸ゴシック体下、鈴木真理子/シネスコ・サイズ(表記無し。IMDbでは2.35、Red)/ドルビーATMOS(公式サイトでは5.1ch。IMDbではドルビー・デジタル、ドルビー・サラウンド7.1も)
(英15指定、日PG12指定)

監督:ベニー・チャン
製作:ベニー・チャン、
   ドニー・イェン、ほか
脚本:ベニー・チャン、
   ライアン・リン、
   ティム・トン
撮影:フォン・ユンマン
出演:ドニー・イェン、
   ニコラス・ツェー、
   チン・ラン、
   サイモン・ヤム、ほか

公式サイト
https://gaga.ne.jp/ragingfire/
(全国の劇場リストもあり)

香港・東九龍警察は、香港の麻薬密売グループとベトナム・マフィアの取引情報を得て、一斉検挙を計画。情報が漏れるのを防ぐため、場所は直前まで秘匿とされた。チョン警部(ドニー・イェン)のチームも準備をすすめていたが、チョンが警察上層部の息子の暴力事件もみ消しを断ったため、当日になって突然、担当から外されてしまう。すると取引現場を謎のマスクのグループが襲撃、犯人確保に向かった親友のイウ警部(レイ・ルイ)のチームは全員殺される。チョンは奪われた麻薬の流れから犯人を突き止めようとするが……。

72点

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 なんだか昔の香港映画の雰囲気。元警官vs現役警官という構図で、警察の上層部は腐っていると。香港的にはいろいろと規制があって、描ける内容・テーマが限られているのだろう。政府ににらまれれば映画を作ることができなくなる。それでも、なかなか過激ではある。腐敗より正義という方にシフトさせて、物語・映画を成立させている。たぶん経済成長を続ける国の状況から、予算はあるのだろう。

 古いテーマではあっても、ラストの「あの日、あんたがヤツを追っていたら、運命は逆になっていたか?」という問は心に染みる。そして、ドニー・イェンはどうやってもやっぱり良い人キャラで、主人公にピッタリだったのだろうなと。もともと脚本がドニー・イェンをイメージして書かれたのかもしれないが。そしてドニー・イェンはアクション監督も務め、谷垣健治がアクション・コーディネーターを務めている。階段を落ちたり、投げ飛ばしたり、パンチが当たっているように見える。表現的にはかなり過激だ。ただ、いまさらバタフライ・ナイフはいかがなものかと。

 ドニー・イェンがいいのはもちろんとして、敵役のニコラス・ツェーがいい。美男子なので傷を作るとか無精ひげを伸ばすなどして悪い感じを出しているが、それがなくても悪い感じは良く出ていた。ドニー・イェンと対等にアクションを演じ(少なくともスクリーン上はそう見える)、ラストにはテーマ曲まで歌っている。すごいなあ。

 監督は、2020年8月23日に亡くなり、本作が遺作となったベニー・チャン。ボク的にはジォッキー・チェンの「WHO AM I?」(Ngo si seo・1999・香)あたりからだったと思う。ほかにニコラス・ツェーも出ている「ジェネックス・コップ」(特警新人類・1999・香)や「香港国際警察/NEW POLICE STORY」(新警察故事・2004・香)などを手がけていて、最近見たのは「レクイエム−最後の銃弾−」(掃毒・2013・中/香)だったと思う。確か劇場ではなくビデオでの視聴。ずっとアクションにこだわってきた監督という印象。日本人の役者も使っていたような。もう作品が見られないと思うと寂しい。

 銃は、マスクのギャングたちがP226。制服警官は4インチ・クラスのリボルバー、刑事は古いエピソードではグロック、現在の話ではP320、そしてポンプ・ショットガン。ドニー・イェンが使っていたのはグロックのピストル・カービン、RONIっぽかった。ストックから取ってマガジン・チェンジもやってたし。スナイパーはたぶんG3SG1あたり。ほかに定番のMP5もM4、AKも登場。マグ・チェンジもよくやり、銃声はサラウンドでよく回っていた。ただ赤いレーザー・サイトの点が集まってくるのは、やっぱり古いかなあ。そして特殊警棒はかなり武器になるんだなあと。アーマラーはProp Co. Ltd.

 タバコを吸うシーンもあったが、今どき古くないか。またレイバン型の黒のサングラスもイメージ、古すぎじゃないかなあ。ボクにはダサく見えたが、逆に新しいのか。

 エンド・クレジットの最初に「ベニー・チャンをしのんで」と出た。そしてラストに「劇終END」と出て、ああ昔の香港映画だなあと。でももう昔の香港映画ではなくなった。ちょっと寂しい。

 公開2日目の2回目、銀座の劇場は全席指定で、2日前にネットで確保。当日は20分前くらいに開場。観客層は最初ほとんど中高年男性、いわゆるオヤジ。こういう映画はだいたいこうかなと。それでも徐々に女性も増えて、25〜26人に。最終的には98席は98%くらい、ほぼすべて埋まった。なかなかの人気。

 明るくてよく見えないスクリーンで、シネマチャンネルの後、マスク注意、飲食OKとなって半暗になり、ようやくどうにか見えるように。CM・予告の途中で非常口ランプが消え、マナー、忘れもの注意、暗くなって映写機のマスクが左右に広がり、フルになってまぶしい足元注意の、映画泥棒、映倫と続いて本編へ。

 入場者プレゼントでポストカードをもらった。ただメールの時代にポストカードって…… どこで使うんですかね。コレクション用のカード、ロビー・カードということでいいかと。


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