えーっ、続くのかーい?! こんな長いのに! そんな事どこにも…… あった!公式サイトに「究極のシネマティック・サーガ」とあった。叙事詩的な長い物語というわけで、第1話もしくは前編ということになるのだろう。うーん、騙された感じ。ようやく登場人物たちの正体がわかって、物語がこれから始まるというところで終わり。はたして次作はどういうタイトルにするのだろうか。特に見たい気にはならないけど。 この映画は、このほかにも物議を醸す部分があって、公式サイトに「2D版168分、IMAX版180分(製作者の意図した仕様)」とある。想像するに、2D版では珍しくインド映画の定番ダンス・シーンが少なく短かったので、IMAX版ではそこが長いのではないかと。 映画としては、とにかく長い。だらだら長いのではなく、常に何か起こっていて長いので悪くないはずが、退屈で眠かった。これは、おそらく始めから終わりまで1本調子で、メリハリがないからのような気がする。緩急があって、どこかでじっくり説明するような部分があってもいいはずが、肝心な説明部分は歌になっていて、ちっとも入ってこない。しかも神話から始まって、それが重要な鍵になっているため、インドの神話のことがわからないと、以後の話が良くわからない。誰が良い人で、誰が悪い人なのか、誰に感情移入して見れば良いのか、わからない。しかも名前に馴染みがなく、覚えられない。 印象は、もっとSFかと思ったら、ほぼ神話における戦いの6000年後の再演みたいなもの。インドの神話をベースとして、「DUNE/デューン 砂の惑星」(Dune: Part One・2021・米/加)サーガ的で、「スター・ウォーズ」(Star Wars・1977・米)サーガ的で、味付けは「マッドマックス 怒のデスロード」(Mad Max: Fury Road・2015・豪/米)サーガ的で、「ブレードランナー」(Blade Runner・1982・米/英)や「アバター」(Avatar・2009・米/英)も入っているという感じ。そこにインド映画的超絶技を駆使する戦いと、たくさんの美女と歌と踊りを盛り込んで、超大予算を投入して撮ったのが本作かなと。 SFXは見事。見る価値がある。3D-CGということになるのだろうが、素晴らしい。スピンナー的な乗り物とかもよくできていた。特に素晴らしかったのは、ちょっと巨人の老人の神(?)アシュヴァッターマン。ほかの人たちと一緒にいる時も、ひとりだけ図抜けて背が高い。しかも合成がとても自然で、本当の巨人のよう。 ただ、インド映画のお決まりとして基本吹替になっているので、どうにも最初はなじみにくい。違和感がある。やがて映画が進むうち気にならなくなってくるのだが、どうしてもとっつきは悪い。この作品に限ったことではないけれど。 監督はナーグ・アシュウィンという人で、公式サイトによると有力映画プロデューサーの娘と結婚しているそう。だから本作のような大予算映画が撮れたのかなと勘ぐりたくもなる。 銃はSF的なブラスターで、すべて完全なプロップ。たぶん悪い方の組織が曲線的なデザインで金色系。良い方の組織が直線的なデザインで白系。 公開11日目の祝日初回、六本木の劇場は25分くらい前に入り口が開いて、すぐに開場。観客層はやっぱり中高年がメインで、最終的には131席に20人くらいの入り。男女比は6対4くらいで男性の方が多かった。SNSとかの口コミで芳しくない情報が広がったのか、好きな人たちはもう見てしまったのか、2週目に入るとこんなものなのか。まあ妥当という気はしたけど。 10分前くらいからシネマ・チャンネル。終わって半暗になりCM。非常口ランプが消えて予告になり、マナーから忘れ物注意で暗くなり、映写機のマスクが左右に広がってフル・サイズになって、足元注意、迫力の映画泥棒、映倫で本編へ。 この劇場は、音響は素晴らしいと思うのだが、シネコンとしては古いので、スクリーンが黄ばんできたのかくすんだ感じで、明るさもちょっと足りないかなあ。トイレはきれいだし、イスもきれいなんだけど。 入場者プレゼントで、ポスト・カードをもらった。 |