★凶悪犯罪はないの?★


1つ前へアラスカ豆通信へ

 まったくないと言えば嘘になります。そこはやっぱりアメリカですから、本土というかニューヨークやロサンゼルスと同様に、銃がらみの犯罪というのもたまにはあるようです。ただ、アラスカ・ネイティブの人が起こすことは少ないようですが……。もちろん全米から見れば、犯罪発生率は非常に少ないと思われます。あるいは東京よりも。

 最近TVでも報道されていましたが、数年前、アラスカのある高校でも銃撃事件があったそうです。場所はベセル(Bethel)という小さな町で、そこのエヴァン・ラムジーという16歳の少年が、学校でショットガンを2発発射し、級友1人と校長を射殺、その後自殺しようとしたところ警官隊に包囲され、説得されて投降したということです。

 犯人の少年は学校でいじめられており、うつ病の傾向が認められ、さらに当日マリファナもやっていたそうです。また後の調査で、彼をそそのかし、ショットガンの操作方法を教えた少年が複数いたということで、彼らも少年院に収監されています。

 また、以前おじゃましたハンター向けロッジのおじちゃんとおばちゃんの娘さんが、男と駆け落ちして、フェアバンクスだったかのコンビニで働いていたところ、強盗に襲われて射殺された、という話も聞きました。もちろん、そう頻繁に起きている事件ではないと思いますが、アラスカとて理想郷というわけではありません。

 私個人としては、銃を未成年者には売らないなどの法規制が必要な気はするんですが、現状で東京より犯罪率が低いのであれば何をかいわんや。事情を知らないよそ者が、いらぬ口出しをするなと言われればそのとおり。

 実際、たとえばアンカレッジ市内の有料駐車場など、無人です。止めておく時間を自分で計算して、自己申告式にその金額を、車を止めた場所に対応する料金箱の番号の穴に押し込むだけです。ウソをつこうと思えばできるのに、みんながちゃんとルールを守ってフェアにやっています(たぶん)。日本だったらどうでしょう。無人野菜スタンドとかもあることはありますけど。

 繁華街の路上にしたってきれいです。日本の、たとえば東京のように、ツバ・ガム・タバコの吸い殻・空き缶などがそこらじゅうに散らかっているなんてことはありません。第一、タバコを吸っている人をほとんど見かけません。レストランの喫煙コーナーでたまに見かける程度です。

 ウッディさんにうかがったところでは、タバコはたいてい高校生が、授業が終わって学校の敷地を出た途端に吸うんだそうです。敷地を一歩でも出ると先生は注意できない。公共の場所ではおまわりさんとバトン・タッチするということです。で、高校生たちは周りを見回しておまわりさんがいなければタバコを吸うらしいのです。

 でも不思議なことに、多くの場合タバコを吸うのは高校くらいで、大人になるに従って健康に配慮するようになり、次第に吸わなくなるそうです。まあ、タバコはひとつのシンボルなのかもしれません。

 このような話を書くのはどうかと思ったのですが、素晴らしいとか楽しいだけでは絵に描いた餅のようなもの。少しでも等身大のアラスカの実像に近づけるため、あえて書くことにしました。かくいう私もそれほどアラスカを知っているわけではありませんけどね。


1つ前へアラスカ豆通信へ