トルクブースターの作り方
(ただの仕切り板だぜぃ)
88ccエンジンのみんなー!、道具があれば数百円の投資でビッグな低速トルクが手にはいるぞー!。とくに排気量に見合わない大きなキャブを付けている高回転型の方におすすめ!。

理屈は簡単で、キャブレターの空気入り口側の端からスロットバルブまでを、仕切り板を使って上下に二分割することにより、スロットル開度が少ないときでも理想的なベンチュリー形状を保ち、慣性加給を効率的に行えるようにしたものです。言われてみればなーんだ、って感じですが、これを思いついたときは俺って天才って思いました(^^;)。実際なかなか思いつけないものです。けど1992年の時点でSUZUKIが特許出願してました(爆)。ま、ほかにも思いついた方は多かったと思います。それにしてもなぜ製品化されていないのだろう・・・SUZIKIが販売許可下ろさないのかな・・・。もったいない。




一応馬力測定器で測ってみました。赤いグラフがトルクブースター有り、青がトルクブースター無しのグラフです。結果を見ると差はありません。誤差の範囲です。体感で20%UPにはほど遠い状態ですね。ですが、馬力測定は単純な全開加速での値なのでアクセルワークが必要な一般走行での体感とは異なって当然といえば当然です。でもちょっと残念な結果だ・・・。個人的にトルクブースターは手放せない一品です。

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では早速作りましょー。
でも、製作と使用は自己責任ですよ!。仕切り版がおれてスロットルバルブに引っかかればアクセルは戻らなくなりますから!。
で用意するもの。
●画用紙(型取りようなので厚紙なら何でもよし)
●1mm厚以上のアルミ板(ホームセンターで200円くらいで売ってます)
(私は1mm厚で作りました。これより薄いと板が振動しておれる可能性大です。逆に厚いと吸気抵抗になります)。おそらく1.5mm厚がベストでしょう。
●糸ノコ。
●ペーパーヤスリ(400番程度)
●ラジオペンチ。

仕切り番の形状は、お使いのキャブレターに合わせて作ります。いきなりアルミ板で作るのは大変なので、画用紙で試作してから、アルミ板にケガいて糸ノコで切り抜きましょう。形状は下図の通りです。※糸ノコで切った部分はペーパーをかけておきます。バリがあるとシリンダーにバリが吸い込まれてしまいます。

A部はスロットルバルブの曲がりに合わせます。マージンは必要ですが、スロットルバルブにA部を近づける程パワーがでます。私は1mm程度まで近づけました。
B部はキャブの形状に合わせます。ここも隙間を少なくすればパワーが得られます。なるべくぴったり密着させて下さい。
C部は空気入り口の端に引っかける部分です。ここはラジオペンチでつかんであとで曲げます。
で、完成品が下の写真。私のVM22用に作った仕切り板です。両サイドの腕?(上の図で言うC部から右側)の部分はキャブにつかまる部分なので、C部をラジオペンチでつかみながらキャブ経のアールに合わせるように曲げます。仕切り板自体は、少しU字型に曲げます。このとき、仕切り板が変な形にゆがんでしまわないように気をつけてください。ゆがんでしまうと吸気抵抗になりパワーダウンします。

U字型に曲げる理由は、下の図と説明文を読んでください。理屈がわかれば、違う形に作り替えることもできるでしょう



図の説明
吸気面(キャブの入り口)から見た絵です

   灰色:スロットルバルブ
   黒  :仕切り板
   茶色:ジェットニードル
   黄色:ジェット
   水色:流れの遅い空気
   青色:流れの速い空気
仕切り板を曲げることにより、ジェット付近の流れを速くすることができ、気化が促進されます。また、スロットルを開けていくと、仕切り板の上側から速度の違う流れが合流するので、空気が引っ張られて混ざり合い、よりよい混合気が作られます。スロットルバルブも徐々に仕切り板を超えていくので仕切り板の厚みもアクセルワークに影響を与えません。気になる仕切り板の吸気抵抗も、キャブ入り口付近の流速を考えれば、ほとんど無視できます。スロットル全開時は、仕切り板の上と下でそれぞれ流速の早い部分が作られ、仕切り板を通過した後、その流れが激しく合流するので、高回転も良い混合気が作られます。


完成品がこれ。手作りの味がにじみ出ています(^^。




キャブにはこんな感じで取り付けます。
うまく作らないと、私のように隙間だらけになります(^^;)。隙間があるとパワーがでません。
仕切り板のU字の曲げが上下逆さまにならないように気をつけてください。仕切り板は中央で二分割できるように作っておくと全域で調子が良くなります。一応、私の考えた仕切り板は、中央で仕切ってU字の湾曲で低速トルクを生み出しています。いろいろ試しましたが、この形状が一番良いようです。仕切り板を2枚にして試したら、メチャ調子悪くなりました。あまり欲張らない方が良いみたいです。


あとはエアーフィルターを付けておしまいです。取り付けるとき板が動いてしまわないように気をつけましょう。
エンジンをかける前に、必ずスロットルが正常に機能するか確かめ、安全な場所でテスト走行してください。スロットルバルブが仕切り板と干渉しているとアクセルが戻らなくなる可能性があります。また、仕切り板は少なからず振動するので、ある程度距離を走ったら新しい物に作り替えた方がよいかもしれません。
フフフ、この一見普通に取り付けただけのフィルターが何とも言えない。



●補足
今回はベンチュリー部に仕切り版を付けましたが、吸気マニホールド側にも仕切り板を付ければ、さらに強大な低速トルクが手に入ります。とくにアイドリング付近ではマニホールドの容量が馬鹿にならないので、うまくスロットルバルブまで仕切ることができれば、強い低速トルクとハイレスポンスが手にはいるはずです。また時間ができたら試してみたいと思います。

なお、この発明はSUZUKI株式会社が特許を有しています。
似たようなもので、エアーファンネルからスロットルバルブに仕切り板をのばす物は川崎重工が特許を持っています。大変すばらしい発明なのに、世に出てこないのが不思議です。キャブメーカーさん、是非ともはじめから付けといてくださいなm(___)m。
今回は私の特許にならなかったのが残念ですが(おいおい)、また一風変わった面白い物を考えてみたいと思います。

(情報いただきました。パワーナウと言うものが売られているそうです。目的の適用範囲が違うのですが、これは川崎重工の特許に似ています)

※トルクブースターは権利保護されています。
個人製作は自由ですが、類似品販売、不正競争の可能性が高い物はこちらからご連絡が行く場合がございます。