受信&解析ソフトの使い方
全て自己責任でお使い下さい。

まず受信&解析ソフトを起動させます。
この絵柄のアイコンをダブルクリックしてください。



”受信&解析ソフト”が開きます。


 
次にパラメータ設定を行います。一度設定すれば次回からは省略できます。パラメータは計測する車両に合わせてください。

ファイルメニューの”パラメータ設定(P)”をクリックし”パラメータ画面を開く”をクリックします。


 

↓パラメータ設定ウィンドウが開きます。
計測する車両に合わせてパラメータを設定してください。


 
走行抵抗係数
空気抵抗係数:
0.00235は通常の乗車姿勢での値です。
その為、馬力計測時は伏せずに通常の乗車姿勢のまま行ってください。

転がり抵抗係数:
0.016はオートバイの標準値くらいです。

空気抵抗係数と転がり抵抗係数は、解析の時の”修正馬力”に影響します。通常このままでOKですが、修正馬力が間違っていると感じたときは、ここのパラメータを多少前後させてください。走行抵抗は乗車する人や服装など、様々な要因が影響しますので正解はありません。ある程度割り切ってください。

タイヤ
 
タイヤの円周長(外周)はメジャーなどで計ります。タイヤのすり減り具合で円周長が変わりますので、馬力値に影響を与えないように実測してください。タイヤは
後輪を計ってください


タイヤ中央を一週ぐるりと巻いて計ります。柔らかいメジャーがないときは、ビニール紐を一周させて紐の長さを測ってください。


計算で円周長さを出すときは

インチサイズ × 25.4 × 2π

です。

例:8インチタイヤの場合
8インチ×25.4×2π=1276mm
円周長さは1276mmと求めることができましたが、タイヤのすり減りやホイールの形状の影響がありますので、なるべくメジャーで測ってください。

 
重量

ライダーの体重(着服時):

計測時のライダーの体重を入力してください。

車重(オイル、ガス含む):
計測時の車重を入力してください。

 
減速、変速比

計測した車両のパラメータを入力してください。よくわからない時は頑張って自分で調べてください。メーカーのHPなどに掲載されているはずです。

変速比:
入力項目は6速までありますが、チェンジが4速までの車両の場合は、5速、6速に適当な値(たとえば、0.1000など)を入力しておいてください。

 
保存

最後に”設定値を保存”ボタンをクリックして入力した値を保存してください。



以上でパラメータ設定は終了です。
次回からこの作業は省けます。
 
データの受信

@ パソコンと計測器をケーブルで接続します。
A 計測器を接続したPCのシリアルポート番号を受信&解析ソフト側に設定(選択)します。




B 次に計測器の”START BUTTON”を押し続けながら”POWER SWITCH”をONにします。”POWER”LEDと”LED1”が点灯すれば通信モード準備OKです(詳しくはハードマニュアル参)。

C 最後に受信&解析ソフトの”受信”ボタンをクリックすれば受信が始まります。計測器のLED2が点滅しだしたら、通信終了です。ソフト側でも通信完了の報告が表示されます。
受信中はパソコンを操作しないでください。また、常駐しているソフトなどはなるべく閉じておいてください。※シリアル・USB変換ケーブル、又は低スペックのPCでは通信エラーが起きる場合があります。そのときは”強制通信”にチェックを入れて再度試してみて下さい。強制通信はCPUの処理を優先的に通信に割り当てますので見た目ハングアップしたような感じになりますがこれは仕様です。計測器のLED2が点滅しているのに、画面に通信完了の報告が出ないときは本物のハングアップです。。。。m( _ _ )m

D 通信終了後は計測器の”POWER SWITCH”をOFFにしてください。

 
受信したデータの保存

受信したデータはリストボックスに表示されます。保存したいデータをクリックします。


メニューバーの”ファイル(F)”をクリックし”選択したデータをSRM形式で保存(S)”をクリックし、データを保存してください。SRM形式のファイルは再度受信ソフトで開くことができます。開くときは”ファイル(F)”をクリックし、”開く(O)”をクリックして開きます。


 
解析準備

馬力を計算するには前準備が必要です。回転数データは、加速開始ポイントから加速終了ポイントまでが必要で、それ以外は削除する必要があります。回転数データの削除は青ラインの位置を基準に行います。




青ラインは下図のボタンで自由に移動させることができます。



では、削除(カット)してみましょう。
リストボックスから馬力解析したいファイルを選択(クリック)します。
※グラフの削除に失敗したときは、もう一度リストボックスのデータをクリックしてください。元に戻ります。



回転数データが表示されます。


馬力解析に必要な部分は加速開始ポイントから加速終了ポイントまでです。
下図の紫色で囲まれた不要なデータは削除します。
※ここでの削除は一時的な物で、データそのものは削除されません。見た目上削除された感じになるだけです。


まず加速開始ポイントへ青ラインを移動させます。右に移動ボタンで青ラインを加速開始ポイントまで移動させてください。移動したら青ラインの左側のグラフを削除ボタンをクリックして、左側の不要なデータを削除します。


青ラインの左側を削除ボタンをクリックすると下図の様になります。


同様に、加速終了ポイントの右側もカットします。
青線を加速終了ポイントまで移動し、青ラインの右側を削除ボタンをクリックすると下図の様になります。


以上のように、必ず加速開始ポイントから加速終了ポイント間までのデータのみが必要になります。不要なデータが混ざっていると正しい馬力が計算できません。また、計測したデータを
比較するときは、それぞれ同じ回転数のところでデータをカットしてください。データAは2000rpmからカット、データBは2500rpmからカット、といった感じでは正しい比較ができません、カットを行う回転数は始めに任意に決めておいてください。基本的にできるだけ低回転から高回転までのカットがよいです。私の車両では1500rpmからの加速が精一杯なので、加速開始ポイントは1500rpmですが、加速開始ポイントのカットは2000rpmにしています。加速終了ポイントは大体10500rpmくらいでカットしてます。それほど神経質になる必要はありませんが、カットしたデータを一つのかたまりとして解析して行きますので、なるべく同一条件の方がよいのです。理由はいろいろあるのですが、この辺は神様が決めた法則なので人間には手出しできない領域です。

駄目な例(カットする回転数が異なっている):
データAの加速ポイントを2000rpmでカット、加速終了ポイントを10000rpmでカット。
データBの加速ポイントを2500rpmでカット、加速終了ポイントを95000rpmでカット。
データAとデータBの馬力を比較する。

良い例(カットする回転数が同じ):
データAの加速ポイントを2000rpmでカット、加速終了ポイントを10000rpmでカット。
データBの加速ポイントを2000rpmでカット、加速終了ポイントを10000rpmでカット。
データAとデータBの馬力を比較する。

解析用画面を開く

解析画面を開く前に、計測した時に使ったギヤを選択します。ギヤを選択してから”解析画面を開く”ボタンをクリックしてください。



※解析は時間対馬力グラフで行いますが、解析結果を保存してから一般的な回転数対馬力グラフなどが作れます。
 
馬力を表示(各馬力グラフを理解してください)

解析用ウィンドウが開いたら、とりあえず今回は”表示するグラフを選択”グループの中の”基本馬力”のみにチェックを入れてください。



すると下図のような緑のグラフが表示されます。このめちゃくちゃなグラフが真に正しい馬力(純な馬力計算値)です。ショップでは曲線に変換された後のグラフを渡されるので普通の人は見たことがないと思います(見てびっくりでしょ)。ちなみにノイズではありませんよ!。当初基本馬力は見せない方向で作成していましたが、何というか、モンキー弄っている人って濃い人が多いから基本馬力も隠さず表示できるようにしました。まずは
このグラフが正しい馬力だということをしっかりとご理解ください(これからの作業は、この基本馬力から馬力曲線を見つける作業です)。因みに、シャーシダイナモで馬力測定を行うと馬力曲線に細かい波ができますが、その細かい波はこのグラフのトゲトゲを叩きつぶしたときの名残等です。実際、シャーシダイナモはサンプリング間隔が遅いので、ここまでトゲトゲはでないと思いますが、私の計測器は高速サンプリングなのでシャーシダイナモの数倍のトゲトゲが発生します。当然トゲトゲが多い=サンプル数が多いので正確な値を得ることができます。その代わり、馬力曲線は移動平均と呼ばれる簡単な計算では算出が難しくなり、DFT等の解析が必要になります。

[基本馬力グラフ]


このソフトは一般的なデジタルフィルタである移動平均演算と、正確な成分抽出が可能なDFT解析を装備しています。基本的にどちらでも馬力曲線が算出できます。解析は基本馬力に対して行われ、基本馬力から移動平均を使って算出した馬力を
「移動平均馬力」、DFT解析で抽出した馬力を「DFT解析馬力」と呼びます(定義)。基本的にDFT解析馬力が正しい馬力曲線です。いわゆる一般的に言う馬力(PS)そのものです。移動平均は間違っているともいえませんが、正しいともいえません。



DFT解析の説明:
DFTは一冊の本ができるくらい説明が大変なので、かなりおおざっぱに例えますと、ちょうど汚れた水をろ過して必要な成分だけを抽出するイメージです。移動平均は叩きつぶす計算なので本来の馬力曲線もゆがんでしまいますが、ろ過で馬力曲線を抽出するDFT解析はゆがみが発生せずに正確な馬力曲線を得ることができます。私のソフトではDFTで計算した馬力を正確な馬力曲線(DFT馬力)として扱います。ただし、成分抽出のパラメータ値をいくつにすればよいのかわかりませんので、下記の移動平均演算で得た馬力曲線と見比べてパラメータ値を確定します。少々慣れが必要ですが、難しいことはありません。パラメータ値を上げるか下げるかのどちらかですから。。。モンキー系のエンジンですと、通常4〜7の間がよいでしょう。で、パラメータ値を変更すると馬力曲線が微妙に変化するわけですが、どの馬力曲線も正確には馬力曲線として正しい物です。実際にその曲線成分が存在しているのです。一般に馬力曲線は一本と思われがちですが、実際にはものすごい数の曲線が存在します。その曲線の中から私たちがどの曲線を選ぶかです。このソフトではパラメータの数値を上げるほど細かな馬力変動を確認することができます。因みに、波形Aから全ての成分を抜き出し、抜き出した成分を全て足し合わせると元の波形Aの形に戻ります。実に不思議な計算なのです。

移動平均演算の説明:
データの平均をとり、平滑化していく計算です。簡単に計算できますが、あくまでも平均化ですから正しい結果が得られません(本来の馬力曲線がゆがみます)。また移動平均で算出した馬力曲線は右側にグラフがずれる(位相ずれ)現象が発生します。そのため、計算結果としては宜しくありません。ですが、馬力曲線のおおざっぱな形を算出しやすいのでDFT馬力解析設定の成分抽出回数を設定するときの目安として使えます。通常10〜20区間にします。移動平均で導いた馬力曲線は正しいとも間違っているとも言えません。

 
移動平均演算で算出した馬力曲線を表示する。

DFT解析を行う前に、移動平均馬力を計算しておおざっぱな馬力曲線を算出してみましょう。見にくいので、”基本馬力”のチェックをはずしてから”移動平均馬力”にチェックを入れてください。



移動平均演算で算出した馬力曲線が表示されます。


移動平均の度合いは”移動平均馬力計算設定”で調節できます。
完全にトゲトゲが無くなるまで区間値を増やす必要はありません。上図程度でOKです。あくまでもDFT解析用の参考馬力曲線ですから。通常10〜20区間にしておきます。区間値を増やすほどグラフは平らになり、右側に位相ずれが発生します。


 
DFT解析で算出した馬力曲線を表示する。

今度は”DFT解析馬力”にもチェックを入れ、移動平均馬力グラフにDFT解析馬力グラフを重ねてみます。DFT解析馬力のグラフが
正しい馬力曲線です。






DFT馬力曲線が赤で、移動平均馬力曲線が青です。ほぼ重なっていますので、下図の”DFT馬力解析設定”の成分抽出回数(ここでは6回分)に問題はありません。もし移動平均馬力曲線とDFT馬力曲線が著しく違うようでしたら、どちらかのパラメータ(または両方)が間違っています。通常DFTの成分抽出回数は4〜7位です。ショップなどでは定員さん(たぶん機械が自動で)がこのパラメータをセットしてくれるのですが、自分で設定するのも楽しいものですし、パラメータの変更により何が見えてくるのか、じっくりと研究して楽しめる人に使って頂きたいものです^^。何も考えずにパラメータを弄る人は「このソフトなんかへんじゃない?」にたどり着きます。それだと私は悲しい・・・悲しすぎる・・・。とりあえず、よくわからない方は成分抽出回数を4にしてください。



※成分抽出回数は100回を上限にしました。限度はありますが、抽出回数を増やすほどDFT解析馬力グラフは基本馬力グラフに近づきます。つまり、成分抽出回数を増やすと細かな変動が沢山見えるようになります。この変動をどう捕らえるかが大切です。グラフは必ずなにかを語っています。

※基本的に成分抽出回数はエンジンの吹け上がりが早いほど値(回数)を増やす必要があります。

  
データポイントのサンプリング

※受信解析ソフトのV1.3.1から追加しました。
DFTがよくわからない方、気に入らない方にはこちらをお勧めします。


データ数を減らすことができます。減らすことにより、位相ずれの無いグラフの平滑化ができます(移動平均は位相がずれる)。これにより計測値そのものを見やすいグラフで表示できます。移動平均馬力計算設定と組み合わせてもよいでしょう。サンプリングの値を1ポイント毎にしておくとデータの数は変わりません。通常1にしておきます。2以上の値にするとデータが減ります。※サンプリングのポイント数はDFT解析と移動平均演算に影響します。※この計算で得られる馬力は路面の影響を受けやすいので、なるべく平滑な場所で計測して下さい。

わかりやすく再度ご説明致しますと、例えば1秒間隔のデータを5秒や10秒間隔のサンプリングデータに変更できると言うことです。

修正馬力設定

”修正馬力設定”グループの”走行抵抗の加算”の”加算する”にチェックを入れると、走行抵抗分を考慮した馬力値が表示されます。加算することにより、ネット出力の値に近づきます。ただし、走行抵抗は計測データを元にPCで計算した値を加算しますので、ある程度誤差が発生してきます。90km/h以下での計測の場合は、比較的正確に修正されます。似たようなことをシャーシダイナモも行っており、抵抗誤差をなくすには車両メーカーの設備でも借りない限り不可能と思われます。チェックをはずすと、計測時の走行馬力(体感する馬力変動そのもの)がそのまま表示されます。チェックをはずしたときの一つの応用例として、空力パーツによる走行馬力差の確認などがあげられます。これはシャーシダイナモではできない芸当ですね(※空力の比較はチェックを入れるとできません)。とりあえず、よくわからない方はチェックを入れておいて下さい。

”マニュアル倍率”はDFT解析馬力と、移動平均馬力を上げたり下げたりすることができます。駆動系のロス分の補正等にお使い下さい。ショップにもよると思いますが、シャーシダイナモでは1.0〜1.2倍に設定するそうです。通常1.00倍のままでかまいません。



余談:
同一の車両を各ショップで馬力測定すると、ショップごとに値が異なります。その原因の根源はこの修正馬力の計算にあります。つまり、修正した馬力を見比べてもあまり意味が無いということです。修正しないと低い値が出るので気分は悪いのですが、いろんな意味で”走行抵抗の加算”はせずに、計測した走行馬力そのものを見た方がよいと思います。

 
解析結果の保存

解析結果を保存することができます。保存される「
時間、回転数、速度、馬力、トルク、加速度、重力加速度比、走行抵抗」はDFT成分抽出回数を参照して計算され、エクセルなどの表計算ソフト用のCSVフォーマット(カンマ区切り)にまとめられます。

保存するにはメニューバーの”ファイル(F)”をクリックし、”保存(各データ一括)(S)”をクリックして保存します。ファイル形式は表計算ソフトで一般的なカンマ区切りのCSV形式です。CSV形式はエクセルで読み込むことができます。エクセルで読み込んだ後はエクセル形式(*.xls)で保存し直せばエクセルの機能がいろいろと使えるようになります。



※なお、ここで保存したCSVファイルは表計算ソフトなどで加工しないでください。加工するときはコピーし、コピーしたデータをお使いください。ここで保存したデータは「馬力比較ソフト」で読み込んだりしますので、加工されていると馬力比較ソフトでエラーが発生します。

エクセルでグラフを作るときは・・・
グラフを作るときは”散布図”で作ってください。エクセルは多機能ですからいろいろなグラフや解析ができます。エクセルの使い方は・・・適当にお調べくだせい^^。
尚、エクセルで馬力解析を行うときは”基本馬力(PS)”を解析元にしてください。必要に応じて”基本馬力(PS)”に”走行抵抗(PS)”を足してから解析してください。