2001年1月13日(土)「レッド・プラネット」

RED PLANET・2000・米・1時間46分

日本語字幕翻訳:菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・ドルビーデジタル・SDDS


地球の汚染が進み、あと100年ほどで人類が棲めなくなるということから始まった火星地球化計画。しかし、増え続けているはずの酸素量が突然、減り始めた。そこで人類は2057年、地球の軌道上の宇宙ステーションで組み立てた巨大な宇宙船に科学者を乗り込ませて火星への調査に向かわせた。そして、そこで彼らが見たものとは……。

71点

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 予告編から感じられたほどスゴイSFではなかった。もっとハードなSFだと思っていたのだが、以外に地味。要は砂漠を脱出する話になってしまっている。特にSFである必要もなかったと言えそうな構成だったのは、いかにも惜しい。

 良かったのは宇宙服のクールなデザイン、そしてエイミーと呼ばれるナビゲーター・ロボット。宇宙服はちょっと旧ソビエト風で、濃紺ベースのスマートなもの。フードを上げ、シールドを下げると、ヘルメット本体が襟に相当する部分に収まってしまうところがまたスゴイわけだ。デザインしたのは「マトリックス(Matrix・1999・米)」にも参加していたキム・バレットという女性デザイナー。

 ただし、火星に似た地形ということで砂漠で撮影されたことから、本来なら密閉される宇宙服にたくさんの空気抜きを付けなければならなかったらしい。そうしなければ俳優は汗だくになるし、すぐにシールドが曇ってしまう。そこで、後頭部の大半がメッシュになっていて、ちょうど口の部分にあるエアー・インテークのような部分が、直で素通しになっている。これが大スクリーンだと、バレてしまうんだな。たぶんビデオを家で見る人は気付かないだろうが、劇場ではスリットを通して俳優の口が見えたり、後頭部のメッシュを通して頭が見えたりしてしまう。ちょっと興ざめだったなあ。せっかくいいデザインなのに。

 ロボットのAMEEはAutonomous Mapping Evaluation and Evasionの略で、「自動地形読みとり誘導装置」という設定。なかなか雰囲気があって良いんだけど、AIBOを意識したのか、どうも犬がモチーフになっているらしく、動きがロボットらしくなくてボクはなじめなかった。京劇のように見得を切るようなポーズをするのもボク的にはNG。マペットではなく腕や足を回転させて変形する3D-CGだったために、たぶんモーションを犬を参考に付けていったのではないだろうか。

 主役はヴァル・キルマー。なかなか面白かった「セイント(The Saint・1997・米)」でも人が入っていなかったが、日本では脇役としてはともかく主演では客を呼べないのではないだろうか。彼が出ているヒット作は、ほとんどが脇役のものだ。

 脇を固めるのが船長役、「マトリックス」のキャリー=アン・モス。副長が「デモリッション・マン(Demolition Man・1993・米)」や「激流(The River Wild・1994・米)」のベンジャミン・ブラッド。同行する科学者を演じるのが「プライベート・ライアン(Saving Private Ryan・1998・米)」のトム・サイズモア。ほんのちょい役のベテラン宇宙飛行士に「イギリスから来た男(The Limy・1999・米)」や「世にも怪奇な物語(Histories Extraordinaries Spirits of the Ded・1967・仏/伊)」で最も怖かった「悪魔の首飾り」の怪優テレンス・スタンプ……など、いずれも一癖も二癖もある面々。火星にいる生物のデザインは、パトリック“ゴジラ”タトポロス。

 どうして、これで凡作になってしまうんでしょ。横長のシネススコ比率を生かした画はすばらしいんだけどなあ。ジェフリー・A・オクンのデザインによるタイトルもカッコイイし。

 公開初日の初回、35分前に着いたら、予想に反して35人ほどの列ができていた。白髪、ハゲが目立つ。ということは中高年以上が多いということ。SFなのに若者が少ないとは。だいたい老若の比は3:1、男女比は6:4という感じだった。

 30分前に開場。初回は10席×3列×2(通路をはさんだ左右)の指定席も含めて全席自由。最終的に435席の4〜4.5割が埋まったので、まずまずの入りといっていいだろう。

 最初にドルビー・デジタルのヘリ・バージョンのデモ有り。アメリカでは子供に不向きのPG13指定


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