2001年1月21日(日)「ギャラクシー・クエスト」

GALAXY QUEST・1999・米・1時間37分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・ドルビーデジタル・SDDS


番組が打ち切られてから20年になるSFドラマ「ギャラクシー・クエスト」はいまだに熱狂的なファンに支持され、定期的にファンとの集いが開かれていた。しかし、毎回同じ台詞を言わされ、コスプレのオタクたちに囲まれて、5人の出演者たちはいいかげん嫌気がさしていた。そんなある日、番組を遠く離れた星で傍受しドキュメンタリーだと勘違いした本物の宇宙人が現れて、我々の星を救ってくれと願い出る。艦長役のジェイソン・ネズミス(ティム・アレン)はまた新たなオタクか、ショーの企画だと思い、いい加減にあしらっていたが、突然、本物の宇宙船に転送されることに。

85点

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 おもしろい。ハマった。めちゃくちゃノリがいい。思わず拍手喝采したくなる。感動もする。ちゃんと笑わせるコメディでありながら、特撮も一切手抜きなし。他の本格的SFと比較しても全く遜色なし。戦闘シーンはスピード感があって、音響も恐ろしく迫力十分。重低音を使っていて腹に響くほど。スゴイ迫力。敵のキャラクターだっていい加減なものではない。本気で作った渾身の特殊メイク。

 よくあるおバカ映画でもないし、お手軽コメディでもない。すべて本気。大まじめに、でもちょっとSF映画のパターンをおちょくりながら、ファンであるオタクを揶揄し、商業主義とご都合主義のTVドラマ制作を、そして演じる役者たちをも皮肉って、それでもすべてを肯定的に捕らえて、とびっきり陽気で楽しい映画を作り上げた。プログラムにもあるように、これぞエンターテインメント。うーん、映画を堪能したって感じ。

 自分たちが作り出すTV・SFドラマをネタに、よくもぬけぬけとこういう映画が作れたものだ。しかも、それがあのドリーム・ワークスだというのだから驚く。駄作が多いといわれてきたドリーム・ワークス製なのに。

 通常、ドリーム・ワークスといえばハリウッドのメジャー制作会社。通常であれば、こういうミニ・シアター系の公開などではなく、全国拡大ロードショーで公開されるはず。それが、なぜ……。しかも1999年の作品だし。アメリカでの評判も悪くない……というか、IMDbで7.4という高得点。なのになぜ? よくわからない。

 映画はスタンダード・サイズで始まる。スクリーンはシネスコ比率で開いているにもかかわらず左右はマスクされていて黒くなっている。これはTV番組の「スター・トレック」をパロった「ギャラクシー・クエスト」から始まるからで、ここからカメラが引いてファンの集いの会場が見えてくるに従ってスクリーンも広がり、ビスタ・サイズになる。

 さては映写技師がビスタとシネスコを間違ったなと思っていると、次に、タガート艦長を演じているジェイソン・ネズミス(ティム・アレン)が本当に宇宙に行っているのに、それを信じずショーの一部だと思って早く家に帰してくれと言ってドームの天井が開くと、それと同時にスクリーンがさらに広がってシネスコになる。そこには、宇宙基地のような壮大なパノラマが広がっていて、ジェイソンはこれがショーではなくて現実だと理解するわけ。これを観客も一緒に体験することになる。うまい演出。

 ただ、この手法はちょっと前なら「ブレインストーム(Brainstorm・1983・米)」で特殊な装置で他人の体験を追体験するときにシネスコになるというふうに使われたり、最近では「モンタナの風に抱かれて(The Horse Whisperer・1998・米)」で都会からモンタナに出たときシネスコに広がるというふうに使われている。でも本作のが一番効果的だった気がする。宇宙のパノラマを見たときは本当に感動したもんなあ。

 「ダイ・ハード(Die Hard・1988・米)」のテロリストのボス、アラン・リックマンは「トカゲヘッド」のかぶり物を嬉々として(?)付けているし、「エイリアン(Alien・1979・米)」の大女優シガニー・ウイーバーは髪を金髪に染めて、胸の谷間をあらわにして肉体派の女優を気持ちよさそうに演じている。ドラマの初めに死んでしまう役専門のガイ・フリーグマンを演じるサム・ロックウェルは「キャメロット・ガーデンの少女(Lawn Dog・1997・米)」や「チャーリーズ・エンジェル(Charlie's Angels・2000・米)」などで知られる、サイコ的な役が多い人。ヒゲが嫌らしさを増しているが、ひょっとすると初めての本格的コメディということで、張り切っていたのかもしれない。

 インターネットで初めて1週間前に座席予約をした。追加料金はなし。つまり通常の入場料だけで、指定席に座れるというシステム。これはいい。予約の入った数だけ指定席にするから、中央をポッカリと開けて上映をするようなことはない。しかも3,000円なんていう高い金も取られない。素晴らしいシステムだ。15分前までに行けばいいことになっているから楽ちん!!。

公開2日目の初回、30分前に着いたらすでに開場していた。すでに227席の7割ほどが埋まっている。ボクの予約席は前から6列目のほぼ中央。すごくいい場所だ。ただし、床の傾斜が少ないので、千鳥配置とは言いながらも前の席に座高の高いヤツが座るとよく見えなくなる。今回がそう。ほとんどの人が背もたれから頭半分ほどしかでていないのに、そいつだけ肩まで出てるんだからイヤになる。こういう人には真ん中じゃなくて端っこに座って欲しいなあ。

 ほとんどが20代の若い人たちで、30代を境に見ると老若比は8:2ほどにもなろうか。男女比は4:6で女性の方がやや多い。ミニ・シアター系はだいたいこういう傾向がある。それに女性の方が映画を良く見るし。

 下は小学生くらい(1割ほど)から、上は白髪の老人までなかなか広い支持を集めている。15分前に8割が埋まり、5分前にはほぼ満席。上映に当たって、場内がかなり暗くなるのには感動した。非常口のランプもどこにあるのか気が付かなかった。やっぱり映画館はこうでないと。

 ただし、カップ・ホルダーは位置が低すぎ。これでは膝に抱えた上着の袖がカップに入ってしまう。隣に女性が座ったら、カップを取るときに脚に触れてしまいそうで勘違いされかねない。加えて、スクリーンは大きめなのだが低くて見にくい。うーむ、惜しい。とはいっても、映画は最高の出来で、必見!! 終了して劇場を出たら、8Fの階段から2列の長い行列ができていて、4Fと3Fの中間あたりまで続いていた。恐ろしい!!

 冒頭にドルビーデジタルの「機関車デモ」あり。


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