2001年2月10日(土)「アンブレイカブル」

UNBREAKABLE・2000・米・1時間47分

日本語字幕翻訳:松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・ドルビーデジタル・SDDS


1961年、フィラデルフィアで全身数カ所を骨折した黒人の赤ちゃんが産まれた。先天性骨生成不全で、お産の際に骨折したらしかった。そして現代、デヴィッド・ダンはニューヨークからフィラデルフィアへ向かう列車イーストレイル177号に乗っていて、132名が死亡する大列車事故に巻き込まれた。しかし、彼は1人が助かり、かすり傷ひとつ負っていなかった。やがてそのデヴィッドのもとにイライジャと名乗る黒人が現れ「キミは子供の頃から怪我や病気をしたことがないのではないか」と指摘する……。

69点

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 「シックス・センス(The Sixth Sense・1999・米)」の期待があったために、その反動が大きかった。どんでん返しはあるが、うすうす感づくことであり、大きな驚きはない。また全体に流れる「悲しみ」の感情が、何かちぐはぐな感じを与える。決してバッド・エンディングではないものの、何かスッキリしない。だって普通だったら、大事故でも怪我ひとつ負わない体〈運命〉を持っていたら、もっと喜んで、もっと社会のために役立ちたいと思うんじゃないだろうか。

 最初はちょっとした悪事、わがままとか、脅かしとかに使ってしまうかもしれないけれど、やがては何のために生まれてきたのか気付くにいたり、みんなのためになることをするのではないかと。それは「悲しみ」ではなくて、「喜び」とか「やりがい」なんかではないだろうか。確かに「不安」は大きいと思うけれど。

 あまり書くと伏線だらけのストーリーに関わってしまうのでできないが、ようするにこれは、少なくともアメリカには大量のコミック・ブックが溢れ、数十年に渡って売れ続けているという事実があって、そこには何かしらの真実が含まれているからではないかと、そういう映画。

 だとすれば、シネスコで撮る必要はなかったのではないか。スペクタクルもなく、大自然の壮大な風景もないのだから、ビスタ・サイズで十分だったのではないだろうか。もちろん、ビスタ・サイズよりも広い分1つの画面にいろんな意味を込めやすいことはわかる。シネスコサイズにした理由はまさにこの1点に尽きるのかもしれない。

 公開初日の初回、60分前に着いたら15人ほどの人。55分前に30人となり、45分前にはすでに100人以上。スゴイ人気。やっぱり「シックス・センス」おかげだろう。誰もがあの感動をもう一度と思うもんなあ。

 老若比は2:8でほとんどは若い人、しかも男女比が8:2でほとんどが男性。意外にカップルが少ない。「シックス・センス」のことがあるから、女性がもっと見に来るだろうと思っていたのだが……。どうやら、殺人鬼などが出てくる単なるホラーとは違って、「幽霊もの」は女性は敬遠する傾向があるらしい。

 初日初回から10席×6列×左右の指定席があった。ただしそのうち2列あった「ぴあシネマリザーブシート」は1列に減らされていた。当日料金+200円で指定席最後列で見られるという予約システムらしいが、そもそも通常の指定席システムが成り立ちづらい現状で、劇場の混み具合も確認しないで、日にちと時間指定までして見るメリットが利用者にあるのか。高いお金を払ってガラガラの劇場の指定席に座って見ることほどばからしいことはないっていうのに。

 冒頭にJBLのシアター・スピーカー・システムのデモ。これは初めて見た。スゴイ迫力。ますますJBLスピーカーのイメージがアップすることになるだろう。効果的だ。BOSEやElectro-Voice、Altec(Voice of the Theatreが有名)もやればいいのに。


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