2001年2月12日(月)「ふたりの男とひとりの男」

ME, MYSELF & IRENE・2000・米・1時間57分

日本語字幕翻訳:松浦美奈/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル


アリゾナ州警察のハイウェイ・パトロール警官のチャーリー(ジム・キャリー)は、18年前に熱烈な恋愛の末結婚した待ち一番の美女レイラに裏切られて捨てられてから、二重人格になり、6時間ごとに薬を飲まないと凶暴な性格があらわれて、暴力を振るってしまうようになっていた。そんな彼に休暇を出そうと、簡単であるはずの容疑者移送の任務が与えられた。自動車窃盗容疑の若い女性アイリーンをニューヨークまで護送しろと言うのだ。しかし、彼女は組織から命を狙われていたことから、一大事件に発展する。

68点

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 下品、卑猥、恥知らず、キタナイ、お下劣……。ファレリー兄弟の前作「メリーに首ったけ(There's Something about Mary・1999・米)」と似たような映画だが、決定的に違うのは、前作が一線をギリギリ越えていなかったのに、本作は超えてしまっていることだ。

 ハリウッドに限らず、大成功を為せば自由な裁量が与えられる。これで伸びる人もいれば墓穴を掘ってしまう人もいる。多くの場合、プロデューサーや映画会社からの注文に作家(監督)はしぶしぶ従っているわけで、成功(ヒット)はそのたがが外れることを意味する。本作もそんな気がしてならない。

 前作では、まだ成功前だったので「あまりに下品すぎる」とか「卑猥だ」とかいろいろ言われて抑えたのだろう。ヒット後の本作は誰も意見することができなかったのではないか。そんな邪推もしたくなるほど、これは酷い。英語が分かれば、きっともっと酷いのではないだろうか。見終わって気分が悪い。何かちょっと古くなったものを食べてしまったときのような。

 もちろん前作どおり、ちゃんとしたストーリーがあって、それなりの感動のラストが待っているが、あまりに前半がお下劣でその感動を帳消しにして余りある。度が過ぎるのだ。

 この映画で見るべき所があるとすれば、ジム・キャリーがお人好しのチャーリーから粗暴なハンクに移行するその変化の演技と、相変わらず愛らしいレニー・ゼルウィガー彼女自身だろう。ジムが彼女と恋に落ちたのもわかろうというものだ。本作ではジムに作中、胸を触りまくられているけど……。

 もうファレリー兄弟の作品は結構だ。お腹いっぱい。たぶん次は見ないだろう。

 公開2日目の2回目、40分前に着いたらロビーには14〜15人の人が。前回終了の10分前に列を作らされた。この時点で30人ほどの人。男女比はほぼ半々で、8割以上が30代後半以上と思われる年齢の高さ。うーん、よくわからん。こういう映画は若者向けだと思ったんだが。ただ、とても小さな子供、いや高校生にでも見せたくない映画でもあるが。

 最終的に648席の2.5割ほどの埋まり具合。まあ、この出来ではこれがいいところだろう。10席×6列ある指定席には1組のカップルだけ。このもったいないシステム、どうにかならないんだろうか。


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