中華英雄


2001年2月17日(土)「レジェンド・オブ・ヒーロー」

中華英雄/A MAN CALLED HERO・1999・香港・1時間56分

日本語字幕翻訳:三生圭代/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル


1897年の中国、武術の大家プライドに入門を認められた華 英雄(イーキン・チェン)は、アヘン貿易批判の記事を書いたために惨殺された新聞記者の父と母のかたきを討ったために、アメリカへ逃亡するはめになる。恋人(クリスティン・ヨン)と親友をおいてアメリカへ旅立った英雄は、スチールブル鉱山で働くことになるがそこでもトラブルに巻き込まれ失踪してしまう。16年後、彼の息子、剣雄(ニコラス・ツェー)が父を捜してアメリカにやってくる。

68点

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 冒頭に現れたのは、かつて見慣れたロゴと音楽。まさしく昔の香港映画を代表するゴールデン・ハーベストではないか。初期のカンフー映画などはすべてこの会社製。

 香港映画界は、1960年代はショウ・ブラザース、1970年代はもともとショウ・ブラザースにいた敏腕プロデューサーのレイモンド・チョウが作ったゴールデン・ハーベストに代表される。そしてゴールデン・ハーベストはブルース・リー主演映画を量産してその規模を拡大した。
(中国映画の詳しい歴史はこちらhttp://www.asianclub.or.jp/cinema1.htmlへ)

 しかし、香港映画が良くなっていったのは、このメジャー映画会社ではなくいわばインディペンデント系の映画からだったはず。そういう会社が実銃ベースのステージ・ガンを使い、ハリウッド顔負けのアクション映画を世界に向けて送り出していったのだ。

 ところが、そのゴールデン・ハーベストも1999年に倒産してしまったらしい。まあインディペンデント系があれだけ面白い映画を作り、その才能の多くが香港の中国への返還でカナダやアメリカに流出してしまっては、なかなかつらいものがあるだろう。それでも、香港に残った若手のスターと、残った才能でそこそこの作品は続いていたのだが……。

 本作は、2000年に公開された「風雲ストームライダース(風雲之雄覇天下・1998・香)」に続いて、ほとんど同じスタッフとキャストで作られたもの。何かお手軽な感じがするのはボクだけだろうか。どちらのデキもTVのスペシャル番組的で、CGも多数使われてはいるが明らかにそれとわかるもので、レベルは高くない。「風雲……」よりはこちらの方が良いとは思うが。

 ゴールデン・ハーベスト製なので、やはり昔風の作りになっている。ロケよりはセット(オープン・セット)撮影で、実銃のステージ・ガンよりは電着不格好銃を使うわけだ。老けメイクも特殊メイクよりは髪をごま塩にしてシワを化粧用のペンシルで描くという舞台のような手法になる。従来手法にこだわらず、リアリティを目指すインディペンデント系とは、やはり一線を画す。

 白人も日本人も典型的な悪役。中国人を痛めつける。登場人物のほとんどがステレオ・タイプだ。素晴らしいのはワイヤー・ワークだけということになるかも。

 おかしいのは、日本人の刺客“ニンジャ”に、ヘンな着物を着ているスー・チーとサム・リーがあたっていること。1913年頃にニンジャねえ。ということは、日本は今、ようやく大正時代くらいか?


【ただいま執筆中。少々お待ちください】



 公開初日の初回、45分前につついたら、かなり長めの行列。30人はいる。その7割が若いハイティーンの女性たち。この中でオバサンは1割くらい。残り3割が男性で、その7割までが若い男性だ。オヤジは3割。

 不思議なのは、女の子たちが映画を見に来たというより、アイドルを見に来たという感じを思いっきり発散していること。ペチャクチャと完全なるオバサン予備軍。ほとんど同じキャストの「風雲……」があんなに不入りだったのとは対照的だ。

 初日プレゼントがあって、印刷のサイン入りスター写真(キャビネ判)をもらった。あんまり嬉しくない。オバチャン予備軍はどうだったんだろう。喜んだかな? 

 開演20分前にやっと開場して、入ったら関連書籍や写真集のようなもの、ボスターなんかが売っている。客層の予想がズバリ当たったということか。それにしても、この程度の映画で800円のプログラムはないだろう。ファンはどんなものでも買うってか。

 最終的に209席の7.5割ほどが埋まった。とりあえずまあまあのスタートを飾ったようだ。


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