2001年3月18日(日)「プルーフ・オブ・ライフ」

PROOF OF LIFE・2000・米・2時間15分

日本語字幕翻訳:稲田瑳裕里/シネスコ・サイズ(マスク)/dts・ドルビーデジタル・SDDS


ロンドンにある保険会社のK&R(誘拐・身代金)部門に勤務する一流の交渉人テリー・ソーン(ラッセル・クロウ)は、チェチェンでの事件を解決した後、休暇に入る予定だった。ところが南米で保険に加入しているクアドロ社のダム設計技師のピータ(デイビッド・モース)が誘拐される事件が起こり、彼はまたその解決に当たることになる。

78点

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 いやあ、予告編や前評判というかウワサとは違って、かなりハードなアクション作品。これはやっぱり、怖い。こんな国に行きたくない(もちろん架空の国で、南米某国ということになっているが)。

 ラッセル・クロウとメグ・ライアンのロマンスばかりが喧伝されているが、そんなにいうほど2人が絡むシーンは多くない。もちろんストーリー上2人の間に不倫の匂いがかすかにするようになっているものの、テーマは人質誘拐事件とその卑怯な行為に対する断固たる対処というところにあるわけで、それは非常にハードだ。保険会社から派遣されて交渉代理人となる主人公にとっても、待つしかすべのない家族にとっても、それを見る観客にとっても。

 実際に南米や東南アジアの一部などでは、誘拐がビジネスとして成り立っているところもあるという。あるグループは、誘拐だけのために誘拐を実行し、人質は別な組織などに売り渡す。買った組織は身代金の交渉をして、それ以上の利益を出すという仕組みになっているらしい。なんていう世の中だろう。メキシコではそういった襲撃に対処するための防弾改造車がビジネスとして繁盛しているのだとか。

 そういった世界情勢を頭の端っこに置きながらこの映画を見ると、その怖さが倍増すると思う。そして、最後のクレジットに「この映画はなんたらいう事件にインスパイヤーされて作られた」というような文字が出るので、なおさらだ。

 人質の身代金、すなわち命の代金がまるで野菜か何かの値段を値切るように交渉されていく様は、ゾッとする。そして、交渉が決裂すると見るや、命をかけて人質奪回に身を投じていく男たちがいるという事実。本当に誘拐をするヤツラが許せなくなってくる。どうして彼らはそんな卑劣なマネをしなければならなくなったのか。つまりはそういった社会的テーマをはらんでいるのだ。

 しかし、それでもさすがハリウッド、ちゃんとエンターテインメントとして仕上げてあるし、ラブロマンスの味付けも忘れていない。



【ただいま執筆中。少々お待ちください】




 公開2日目の2回め、40分前についたらロビーに5組ほどの若いカップルと、オヤジが2人。前回終了15分前になったら20人ほどに増えた。ほとんどは20代の若い人。なかなか劇場の係員が整列させにこないので混乱が起きそうになったところで、10分前くらいにやってきた。やれやれ。

 男女比は4:6で女性が多い。ラッセル・クロウ狙いか、メグ・ライアン狙いか。それともゴシップを聞いて見に来ただけか。いずれにしても、指定席なしの400席の劇場は7割方埋まった。なかなかいい入りです。でもこの出来なら、もっと人が入ってもいいと思う。

 人質誘拐ビジネスの実態(に近いはず)を知るにもいいし、ラッセル・クロウとメグ・ライアンが見つめ合うその向こうに本当のロマンスが見えるかどうかを見極めるためにもいい映画だ。


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