2001年4月7日(土)「ハンニバル」

HANNIBAL・2000・米・2時間11分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/ビスタ・サイズ/dts・ドルビーデジタル・SDDS

R-15指定

FBI(連邦捜査局)、ATF(アルコール、タバコ、銃器局)、DEA(連邦司法省麻薬取締局)、地元DC警察の合同チームによる麻薬ディーラー逮捕で指揮を執ったFBI捜査官のクラリス・スターリング(ジュリアン・ムーア)は、チーム内の意思疎通の不備から銃撃戦となり、容疑者3人を射殺してしまう。マスコミにも報道されたことから、クラリスは査問委員会の厳しい追及を受ける羽目になってしまう。しかし、クラリスのファンと名乗る政界にも大きな発言力を持つ謎の大富豪から、当局に追求させない代わりに別件の捜査に当たるよう提案を受ける。

72点

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 大傑作の前作「羊たちの沈黙(The Silence of Lambs・1991・米)」の第2弾。前作の監督ジョナサン・デミが降り、主役のジョディ・フォスターも降り、難航が早くから伝えられていた本作。原作のトーマス・ハリスは降りずに、主役以上に強烈な印象を残したレクター教授を演じたアンソニー・ホプキンスもどうにか降りなかったために、アカデミー賞に輝く「グラディエーター(Gladiator・2000・米)」の巨匠リドリー・スコット監督を得ることができた。

 これは大プロデューサーであるディーノ・デ・ラウレンティスが言っているように、彼の「いい映画」とは「いい脚本」と「いい監督」でできるという信念にもとづいたものだろう。脚本家は、アンソニー・ホプキンス主演のアラスカを舞台にしたサバイバル映画「ザ・ワイルド(The Edge・1997・米)」や、気持ちよくだまされる「スパニッシュ・プリズナー(The Spanish Prisoner・1997・米)」、日本の「忠臣蔵」をモチーフにしたロバート・デ・ニーロ主演の「Ronin(Ronin・1998・米)」なんかを書いたデビッド・マメット。

 そしてもうひとりが、感動の社会派ドラマ「シビル・アクション(A Civil Action・1999・米)」や、ポリティカル・アクションの傑作「今そこにある危機(Clear and Present Danger・1994・米)」、ホロコーストを描いた戦争巨編「シンドラーのリスト(Shindler's List・1993・米)」、不治の病の一瞬の輝きを描いた「レナードの朝(Awakning・1990・米)」などのスティーブン・ザイリアン。

 しかし、これだけの才能を集めても、前作を超えることはできなかった。やっぱ映画っていうのは単純な算数で作ることができないものなのだ。5+5+5が10にしかならなかったりするものだ。そして2+2+2が12くらいにもなったりする。だから面白いんだけど。

 とにかくこの映画でいいのはひとりアンソニー・ホプキンス。強烈な印象を残す。一旦引退を宣言しながら、それを呼び戻した大プロデューサーのディーイ・デ・ラウレンティスもすごいけれど、他の役者の存在感を薄くしてしまうような演技のできるアンソニー・ホプキンスが引退を宣言したこと自体が信じられない。さすがに「3」は若い頃の話の設定になるので断ったそうだが。

 そして個性的な粘着質系の印象が強い怪優(?)レイ・リオッタが出ているということは、ただでは済まないだろうくらいの予想はすぐ付く。そして、それは身の毛もよだつほどで、食事を済ませたばかりの人はもどしたくなってしまうかもしれない。それほどのバッド・テイスト。食事前の人は食欲がなくなってしまうかもしれない。R-15指定は当然だろう。

 冒頭の麻薬ディーラーと捜査官たちの銃撃戦がつかみであり、これが実にリアルで怖いというのがいい。ゲームのような銃撃然では、これから始まる物語まで嘘臭くなってしまう。



【ただいま執筆中。少々お待ちください】




 初日の初回、60分前に着いたらすでに前売り券の列に30人ほど、当日券の売り場に10人ほどの行列が。おっ、スゴイ人気。男女比はだいたい4:6で女性の方が多い。こういうホラー系の王道といっても良いだろう。年齢は15歳くらいから上は白髪の老人までかなり年齢層が幅広いが、構成比は2/3が20代前半の若者で、残り1/3が35歳以上といった感じ。

 30分前に開場したときは、長蛇の列になっていて、100人以上並んでいたはず。10席×7列が通路をはさんで左右にある指定席に、初回から設定されていて、それでも20人くらい座っていただろうか。あの効果が疑問に思えるぴあシネマリザーブシートに4人も座っていた。使う人がいるんだなあ。それでも指定席はガラガラだったけど。

 最終的に1,288席に7割という入り。9時40分なんていう朝の早い時間にしては、非常にいい感じ。というより、これって話題が先行しすぎじゃない? この気持ち悪さは、デート向きじゃないし、食事前も食事直後も適さないから、本当はかなり限られた人が見ると思うんだけど……。

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