2001年4月29日(日)「タイタンズを忘れない」

REMEMBER THE TITANS・2000・米・1時間54分

日本語字幕翻訳:菊地浩司/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

1971年、米国南部のヴァージニア州で、初めて黒人と白人の共学の高校ができた。それまで白人の生徒だけで編成されていたフットボール・チームの「タイタンズ」も、黒人選手を受け入れなければならなくなった。もちろん生徒も大混乱だったが、実はコーチたちもそうだった。教育委員会によって総監督として黒人コーチが送り込まれてきたのだ。

73点

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 素晴らしい話だと思うが、予告編の見過ぎで感動が薄まってしまった。一番盛り上がるべきシーン、本当に黒人の選手と白人の選手が心を通わせる病院のシーンが、あまりに予告編で流れたので、泣けなかった。うるうるは来たのだが、もう見ちゃってるからなあ。

 実話がベースなのでラストでうまく盛り上がるというのは難しいと思うが、わずか30年前のアメリカで、こうもあからさまに人種差別があったとは驚きだ。若い人にはそうでもないだろうが、ボクらおじさんにはついこの前のようなもんで。「ダーティーハリー(Dirty Harry・1971・米)」が公開された年だもんなあ。

 そして、その差別がほとんど無知に根ざしているというのが、この映画では語られている。最初は白人のコーチの幼い子供でさえ、差別するものと思っているから握手さえしない。しかし、デンゼル・ワシントン演じる黒人コーチが、部員たちをまとめて1つにし、どんどん勝ち進むと、肌の色ではなくチームの一員として認め、敬意を払うようになってくる。この子がかわいくて、生意気で、とてもいい。演じているのはへイデン・パネッティエーリ12歳。あの「バグズ・ライフ(A Bug's Life・1998・米)」でかわいいドット姫の声を担当していたのが彼女。なるほどピッタリだ。さらに調べたら「ダイナソー(Dinosaur・2000・米)」でキツネザルのスーリの声をやっていた。すごい才能のある子だったのね。

 部員たちもお互いを恐れている。しかし、コーチの命令によって、ルーム・メイトにインタビューしてレポートを提出しなければならなくなるので、相手が自分たちと同じ普通の人間だとわかってきて、やがてうち解けていく。いっしょに戦うことによって絆を深めていくのだ。

 新人のキップ・パルデューだけが大きく扱われているが(いきなりファン・クラブときた。人気がでるかどうかもわからないのに)、良いのは黒人敏腕コーチを演じるデンゼル・ワシントン、白人コーチを演じるウィル・パットン、黒人選手のリーダーとなるジュリアスを演じるウッド・ハリス、白人選手のリーダー、ゲーリーを演じるライアン・ハーストが良いのだ。たしかにハンサムだけど、仕掛けの臭いぷんぷん。

 ただし、フットボールのシーンはあまりいいとは言えない。混乱して、整理されておらず、わかりにくい。キアヌー・リーブスの「リプレイスメント(The Replacements・2000・米)」のほうが何倍も優れている。盛り上げ方もうまい。同じく演出に歌を使っていながら、あっちのほうがわかりやすく感動も大きい。

 公開2日目の初回、60分前ですでに14人。男5人の女9人。老若比はほぼ半々。まあ、こんなもんか。50分前には35人くらいになって、40分前に開場した。

 指定は10席×6列で、初回のみ全席自由。次第に中高年が増えてきたが、年齢層は結構広い。下は親子連れの中学くらいから、上は白髪の老人まで。最終的に648席の5.5割ほどが埋まり、男女比は半々に、老若比は6:4で中高の方が多くなった。


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