2001年5月12日(土)「ベティ・サイズモア」

NURSE BETTY・2000・米・1時50分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/シネスコ・サイズ/ドルビー・dts・SDDS

〈アメリカR指定、日本なし〉

カフェ・レストランのウェイトレス、ベティ(レニー・ゼルウィガー)は夫がマフィアとのトラブルで射殺されてたことから、あまりのショックで心理的異常を起こし、自分を「愛ゆえに」のヒロインと思いこみ、主役のデビッド医師(グレッグ・キニア)に会うため、カンザス州を出て、アリゾナ州からカリフォルニア州のハリウッドへと2,000kmの旅に出る。

76点

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 なんて映画らしい映画なんだろう。こんな映画らしい映画を久しぶりに見た。どこかの映画評論家の言葉ではないか「いやあ、本当に映画っていいもんですねえ」って感じ。ラスト部分がちょっと物足りない気もするが、変に大げさで荒唐無稽な落とし前を付けるより良かったのかもしれない。そうでなくてもファンタジー、大人の童話的物語なのだから。

 一言でこの映画を表そうとすると、猛獣を使ったラブ・コメディ、ということになるだろうか。アクション・シーンはあくまでリアル。特に凄絶なのは、いいかげんな言い訳でその場しのぎをするベティのバカな夫の頭の皮をはぐシーン。凡庸なラブ・コメディなら絶対にあり得ない身の毛のよだつようなリアルさと残酷さ。だからアメリカではR指定になったのだろう。しかし、これがあるからただの童話で終わらないのだ。

 そしてある種、これはアメリカのど真ん中のカンザスからアリゾナを通って西海岸のカリフォルニアへ向かうロード・ムービーでもある。アリゾナのグランド・キャニオンの絶景は息をのむほど美しく、そこのドライブ・インで出会う女性バーテンダーは、彼女の恋が実るように応援してくれる。ハリウッドで部屋を貸してくれるローサもまたいい人なのだ。

 そして何より、主人公のベティが純粋で、一途で、健気だから、多少強引なストーリー展開も許すことができる。まあ気持ちよくだまされてやろうじゃないの。たぶんレニー・ゼルウィガーのキャラクターなんだろうと思う。光ってるなあ彼女。誰もが彼女の希望を叶えてあげたくなる、そんな魅力にあふれている。ゴールデン・グローブ賞最優秀主演女優賞は当然でしょう。

 この不思議な雰囲気の物語をまとめ上げたのはニール・ラビュートという1963年生まれの38歳。いままであまり派手な活躍はないようだが、サンダンス・フィルム・フェスティバルなどで受賞歴がある。





【ただいま執筆中。少々お待ちください】



 劇場は銀座のシャンテシネというミニ・シアターが3つ集まったところ。その内のどこでやるのかと思ったら、一番客席数が少なくて、スクリーンが見にくいシャンテシネ3。ああ、最悪だ。しかも最近は字幕が中央下に出るから、全席の人の頭がじゃまになって読みにくいという、あそこ。

 「遠い空の向こうに(OCTOBER SKY・1999・米)」もここだったし、「迷宮のレンブラント(INCOGNITO・1997・米)」も「Born to beワイルド(WILD AMERICA・1997・米)」も、おもしろい映画だいたいここで上映されている。うーん。

 公開初日の初回、40分前に着いたら、もう30人ほどの行列が。8割以上が中高年で、男女比は6:4で男性の方が多い。つまりオヤジが多い。つまり、レニー・ゼルウィガーはおやじたちのアイドルだということか。

 35分前に開場して、15分前には192席ほぼ全席が埋まってしまった。もっと大きな劇場で公開するべきだったんじゃないだろうか。

 なぜかこの鑑賞環境としては劣悪な劇場に、「ぴあシネマリザーブシート」があった。それもたった1席だけ。3つの内のどの劇場で上映されるかもわからないのに、よくこういうチケットを買うヤツがいるもんだ。

 かわいそうに、中央やや後方のど真ん中にそれはあった。しかし、この劇場はセンターこそが見にくい。音だけならベスト・ポジションだろう。よけいにお金を払ってスクリーンが見にくい位置で見るなんて、ボクには信じられない。あまり映画を見ない人だったのかもしれない。

 初日プレゼントがあって、数量限定でBLOOMINGのオリジナル・デザイン、バンダナをもらった。こりや、得したなあ。


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