日本語字幕翻訳:戸田奈津子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS
副大統領が死亡したことから、ジャクソン・エヴァンス大統領(ジェフ・ブリッジス)は、ジャック・ハサウェイ知事(ウィリアム・ピーターセン)か、女性のレイン・ハンソン上院議員(ジョーン・アレン)かのどちらかを副大統領候補に指名しなければならなかった。大統領はハンソン上院議員を指名するが、確定するには下院の司法委員会の聴聞会を経て議会の承認を受ける必要がある。委員長のシェリー・ラニヨン下院議員(ゲイリー・オールドマン)は、ハサウェイ知事派であり、彼女の大学時代のセックス・スキャンダルを暴き、公開聴聞会で厳しく糾弾する。
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アメリカの政治家の良心、それがこれなんだという気がした。日本と比べると、まるで大人と子供ほどもちがう政治と政治家。日本はただの利益代表で、アメリカは本当の政治を目指している気が、シロートのボクにはした。アメリカ国民が政治に高い関心を持っているのが、理解できる。 いま日本も小泉内閣の成立によって、政治に興味を持つ人が増えている。本気で国を良くしようという気概が感じられるからではないだろうか。党利、党略などといったものではなく、まして出身地や支持母体の利益代表などではない、真の政治を目指している気がするのだ。 本作は、そういった明の部分と、考えられないような策まで労する暗の部分をちゃんと両方描いている。このような映画を作ることができるところにアメリカの懐の深さを感じさせられるし、アメリカの素晴らしいところなのだ。 これは今に始まったことではなくて、ずっと昔から伝統的にそうなのだ。ジェームズ・スチュアート主演の「スミス都へ行く(Mr. Smith Goes To Washington・1939・米)」で描かれたことさえ、日本はまだ追いついていない気がする。そして、本作は「スミス都へ行く」の女性版翻案だという気がしている。 やりがいのある仕事(副大統領というのは、そのへんが微妙な役職らしいが)への指名、仕掛けられた疑惑、明部と暗部、感動の演説……。そんなわけで、本作に感動した後は、ぜひ「スミス都へ行く」をご覧いただきたい。 付け加えるに、この物語においては憎まれ役が重要で、ラニヨン下院議員を頭頂部を薄くしてまで(抜いた?)熱演したゲイリー・オールドマンが素晴らしい。アカデミー賞の候補になったジョーン・アレンも確かに良いが、ゲイリー・オールドマンこそがこの話をリアルに、そしておもしろくしているのだ。よく、こんなひどい役を引き受けたなあと思ったら、3人いる製作総指揮(エグゼクティブ・プロデューサー)の1人がゲイリー・オールドマンだった。ということは、脚本に惚れ込んで自ら汚れ役をかって出たのかもしれない。すごいなあ。つい最近も「ハンニバル(Hunnibal・2001・米)」で、顔の皮をはがれて誰だかわからない男を、声まで変えて演じていたけど。根っからの役者なんだろうなあ。 彼女が「低レベルなワイドショー・ネタに自分を落とさないために」弁解しないというのは、理解できないことではない。しかし、主張すべきことをちゃんと主張していれば、こんなにことは大きくならなかった気はする。ここが唯一納得できない。どうもストーリーを成立させるため、おもしろく展開させるためという気がしなくもない。 といいながらも、果たして事件はあったのかなかったのか、結構ドキドキする作りになっている。あなたは彼女を信じることができますか? 公開初日の初回、政治ネタなので混まないだろうと高をくくって30分前くらいに行ったら、ちょうど開場したところだった。初回のみ全席自由で、通常指定席となる2階席へ並んでいた30人ほどの人ほとんどが行った。銀座のこの劇場は、一階席だとスクリーンをかなり見上げる感じになって疲れるのだ。 びあリザーブ・シートがあって、それは2階席の中央後ろ、12席1列。もちろん座っている人はいなかった。 観客層は、さすがに50代以上といったシニアがほとんど。かろうじて若い女性が少しいたくらいか。男女比はだいたい4:6で女性の方が多かった。 しかし、奥さん連れのジジイが、靴を脱いで前の手すりに汚い足をのっけているのには腹が立った。いい年してこの程度のマナーとはまったくあきれる。こんなヤツに若者を批判する権利などないと思う。まず自分がしっかりしろよ。 最終的に802席の3.5割ほどが埋まっただけ。うーん、辛いなあ。 |