2001年8月4日(土)「ジュラシック・パークIII」

JURASSIC PARK III・2001・米・1時33分

日本語字幕翻訳:菊地浩司/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS
〈アメリカPG-13指定〉

「ジュラシック・パーク」の2つの事件をからくも生き残ってきた古生物学者のアラン・グラント博士(サム・ニール)は、発掘調査への出資提供を申し出たある大富豪の夫婦の願いを叶えるため、コスタリカ沖のイスラ・ソルナ島を空中から案内する役をしぶしぶ引き受けた。しかし、その飛行機は島に着陸し、行方不明になった12歳の息子を捜索するのだと言われるが……。

73点

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 息をもつかせぬ93分。じらすようにスローなテンポで始まるが、島の上空へ至るやいなや、監督ジョー・ジョンストンが仕掛けた猛スピードのジェット・コースターが走り出す。ハラハラ、ドキドキが止まらない。しかも、「遠い空の向こうに(OCTOBER SKY・1999・米)」でしっかりしたドラマが撮れることを証明しただけあって、ボクには失敗作に思える「ジュマンジ(Jumanji・1995・米)」とは違って、ちゃんと人間ドラマが織り込まれている。

 ただ島から子供を救出するだけの話なのだが、それに誰でも共感できるドラマを設定することによって、単なる娯楽映画に終わらせない。

 しかし、いかんせんそこまで描くには93分は短すぎる。ジェット・コースター・ムービーだから、あまり長いと呼吸困難とか心臓停止になってしまうかもしれないと、配慮したのかもしれない。でも本当は予算が続かなかったのかもしれないけど。とにかく、ただのジェット・コースター・ムービーだったら93分はちょうど良かったのかもしれない。しかし、ドラマを描くには足りなかった。

 公開前の噂によると、撮影中に脚本が変わり、かなり現場は混乱したという。ハリウッドでは良くあることのようだが、これが話題になるのは、その中でもそれなりの事件だったということだろう。

 そのせいかどうか、ラストは非常にあっけない。一波乱はあるものの、ホントにこれで終わっていいのって感じ。ちょっとムシが良すぎる展開でもあるし。制作の混乱が伝わってくるようだ。こういうトラブルがあった映画というのはたいていつまらないものになる。監督が降りたために監督名がアラン・スミシーで公開されるものがその代表。この名前でおもしろいものはまずない。

 いずれにしても、恐竜は一見の価値がある。第1作から8年、前作からでも4年たっているわけで、この間の技術進歩は目を見張るものがある。動きの自然さ、画面への溶け込み具合はもちろんのこと、筋肉やその上の皮膚といったものまでが表現され、たるんでいて歩くとそれらが揺れ動くのだ。今回本格的に登場する翼竜のプテラノドンは、大きなコウモリのような感じなので、翼の薄い膜が柔らかくはためかなければならない。それが実現できている。

 「ジュラパ3」は原作がないのでストーリーはオリジナルだが、仕掛けとしては第一作目の原作に近い。プテラノドンが巨大な鳥かごで飼育されていて、川を下って逃げようとするあたりはそっくり。

 初日初回、70分前についたら、すでに当日券の列が20人、前売り券の列が30人ほど並んでいた。下は中学くらいから、上は老人まで幅広い。特に多いのが高校・大学くらいの若い人たち。これがかつての映画の混み方だった。いい傾向かも。

 30分前に開場。この時点では前売り、当日券ともに50人くらいの行列だった。男女比は、女性が男性の1/4から1/5という感じ。12席×7列の指定席と12席×1列のぴあシネマリサーブシートも初回は全席自由。

 20分前に1,044席の4割ほどが埋まり、次第に女性が増えだしてきた。最終的には年齢層はほぼそのままで、男女比だけが半々くらいになった。そして入りは、なんと初回から9.5割、ほぼ満席という好スタート。最近見た映画では「千と千尋」を別にすれば、一番の入りではないだろうか。ひょっとしたら今年二番目の入りの映画かも。もちろん一番は「千と千尋」ね。


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