2001年8月12日(日)「RED SHADOW赤影」

RED SHADOW・2001・東映/角川書店/h.m.p./電通/東映ビデオ・1時41分

ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS

1545年、戦国時代の日本は戦を有利に進めるため、忍者集団が暗躍していた。その1つ、影一族の赤影(安藤政信)、青影(村上 淳)、飛鳥(麻生久美子)の3人もそんな忍者として東郷家に使えていた。そして、手始めとして、隣国の城主に戦わないという書面に署名させる任務が与えられる。

70点

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 うーん、これはおもしろいのか、つまらないのか、正直なところよくわからなかった。

 感じたところを書くだけなのに、わからなかったなどと自分のことではないかのように書いてしまったが、本当にうまく表現できない。時代劇とは言いにくいし、ミッション1までのパートはおふざけコメディ調、人が死んでちょっとしんみりするあたりで注意が散漫になって飽き始め、ミッション2の後半、やっとアクションが盛り上がって、まさにTVの雰囲気で終わる。なんだかミュージック・ビデオ・クリップをいくつもつないだような印象で、まとめようがない。

 ただ、これが赤影だと言われても……。

 オヤジとしては、ちゃんとした時代劇が見たかった。エンターテインメントとしての、正当な時代劇が。「A.D.535」とか「MISSION ONE」とか表示されちゃうとなあ。音楽の雰囲気からしても時代劇の舞台を借りた日本版「ミッション・インポッシブル2(M:I-2・2000・米)」なんだろうけど、だったら現代劇にしてくれた方が良かったと思うんだけど。

 一番興ざめだったのは、青影と赤影が話しているところへ飛鳥(あすか)が割り込んで「なんの話?」と聞くと二人が「男の話」と応え、すかさず「なあんだ、エッチな話かあ」ってオイオイ、エッチって変態の頭文字のHで、昭和52年(1977年)の流行語ですがな。トホホ。

 そういうおふざけ映画かと思っていると、人が死んでしんみりさせようとするし、最後には姫を守って悪と戦うなんていう時代劇の王道でまとめようとする。うーん。困った。

 しかも必要ないと思えるほどのオール・スター・キャスト。ちょい役の人まで有名や俳優やミュージシャンがやっていたりする。しかしなあ、これってかえって逆効果ってことはないかなあ。

 なんだか林海象監督の「ZIPANG(エグゼ/東京放送・1990)」で感じたのと同じ物足りなさ。ああ、本物のエンターテインメント時代劇が見たい。これってTVでやってたあの「赤影」じゃない。赤影と青影は幼なじみで、恋のライバルだし、白影はゲストみたいだし、ストーリーに関係もなければ必要もないロシア新体操の世界選手権金メダリストアリーナ・カバウワも出演してるし(踊りながら去ってゆく。おお怖い)。舞の海は役者としてどうなの。これまたストーリーに関係ないアバン・タイトルの布袋の謎の浪人はどうなの。安藤政信はカッコいいし、麻生久美子はかわいいし、奥菜 恵もいいけど。

 決してつまらないわけではないんだけど。ボクは人に勧めていいのかどうかもわからない。正直、困った。

 公開2日目の初回、混雑を避けてスクリーンも小さくアナログ音声の新宿・歌舞伎町で見たら、40分前でわずかに5人。銀座のあの大混乱は、やっぱり舞台挨拶狙いだけか。オヤジ4人に高校生1人。ここも整列に来ないので並びがいい加減。

 35分前くらいから徐々に人が増え始め、20分前に開場したときには、前売り券の列に20人、当日券の列に20人ほどになっていた。しかし最終的に指定席なしの355席の3.5割しか埋まらなかった。

 どちらかというば子供向きの内容だと思うが、年齢的に下は中学くらいから、上は老人まで、意外に幅広い。女性も年齢は高くオバサンで、全体の1〜2割のみ。やっぱり中心は中高年。昔TVで「仮面の忍者 赤影」を見た人たちか。ある種の期待があって来たのだろうに……。

 それにしても、いまどきアナログ館では、客が来なくてもしようがないだろう。音が悪い。幕が何枚か掛かっている感じ。いかにもスピーカーが鳴っていますという音だ。DVDが発売されたら、そっちの方が劇場よりずっといいことだろう。いいのかなあ。


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