2001年9月16日(日)「忘れられない人々」

2001・ビターズ・エンド、タキコーポレーション、ベンチャーフィルム、東京テアトル・2時00分

ビスタ・サイズ/モノラル?

すでに70歳を越した老人の城島は、小さな一軒家で畑を耕して暮らしている。村田老人は妻と二人で「平八」という居酒屋をやり、伊藤老人は偶然知り合った生け花の先生の吉川さんに一目惚れをする。3人とも第二次世界大戦中玉砕したパラオ諸島のベリリュー島の生き残りだった。村田と吉川が霊感商法にだまされたことから、老人たちは再び武器を手に立ち上がる。

72点

1つ前へ一覧へ次へ
 感動の物語。うるっと来た。ただ、古くさい感じがするのはなぜだろう。映画の文法に古い印象があるのだ。構図や、室内(セット?)での色調、1カットの長さが長いなどで古い感じがするのだ。あるいは、わざと意識しての手法だったのかもしれないが。

 意見は分かれると思うが、個人的にはもう少しドラマ部分を少なくして、もっとアクション・シーンを多くして欲しかった。ラストは一大銃撃戦。だって、三橋達也といえば、最近警視庁だったかの銃犯罪撲滅キャンペーンのキャラクターをやった人だけれど、芸能文化人ガンクラブの理事長を務める、とても銃が好きな人。

 なにしろ「国際秘密警察」シリーズ(1963〜・東宝)でボンドばりの主役を張っていたのだ。このシリーズでは電着拳銃を使わされたが、谷口千吉監督の「銀嶺の果て(1947・東宝)」と並ぶ最高傑作の1つ「独立機関銃隊未だ射撃中(1963・東宝)」では本物の九二式重機関銃が使われたので、撮影期間中、毎日自宅へ持ち帰り手入れしまくったという。その彼が本作では銃を使わない。では銃を持った相手に何を使うのか。それは見てのお楽しみ。

 内容的には、予想通りオリジナル・ストーリーというより森村誠一の「星の陣」の翻案版。第二次世界大戦を生き残った兵士が、老いてもう一度、大切な人のために立ち上がって悪と戦う。

 気になるのは、ちょっと後ろ向きだということ。老人の話だから先がないのかもしれないが、むしろ先につなげるポジティブな物語を見たかった。老人こそが日本の未来を作っていくのだ、くらいのブラフがあったって良いと思うのだ。かろうじて、本筋とは関係なく突然登場する素性のしれない少年が、未来を感じさせる存在になっている。しかし、背景も語られず、とってつけたような存在なので、いまひとつ説得力に欠ける。

 公開2日目の初回、50分前についたら、じいさん、ばあさんのあれれ、「敬老の日」は昨日じゃなかったの? 30分前で10人ほどになり、20分前に開場。指定席のない218席は最終的に3.5割ほどが埋まった。早朝であることと、TVコマーシャルを打っていないことを考えれば、かなりいい成績か。男女比はほぼ半々ながら、若者も含む老中比は、7:3。つまり老人が全体の7割以上ってこと。ちょっとビックリ。

 初日は舞台挨拶があったらしく、今後も何らかイベントを企画しているらしい。2日目の初回サービスは、300本限定でお茶のミニ缶のプレゼントがあった。よく冷えていて、外で並ばされた身にはありがたい。


1つ前へ一覧へ次へ