2001年9月23日(日)「エド・ゲイン」

ED GEIN・2000・米・1時30分

日本語字幕翻訳:林 完治/ビスタ・サイズ/ドルビー

〈イギリス15歳規制〉
1954年、人口が700人足らずのアメリカの小さな田舎町プレインフィールドで、自分の母親の墓をあばく男がいた。彼はやがて母の言葉が聞こえるようになり、その言葉に従って女性だけを殺していくようになる。

72点

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 多くの映画の題材となった実在の人物エド・ゲインを、襲われる側からではなく、彼の側から描いた珍しいパターン。その点でユニークだが、結果として非常に気持ちの悪いものに仕上がった。

 というのも、やはり精神的に異常を来した男の話であるわけで、その心理に踏み入ろうとすれば凶器を描かざるを得ない。実際は何もないのに、いつも何かからの強迫観念に追いまくられている状態は、まさしく不快。そのまま観客までが発狂しそうだ。

 エド・ゲインがモデルになった映画で一番有名なのは、ヒッチコック監督の「サイコ(Psycho・1960・米)」で、襲われる側から描かれたあの恐ろしさは映画史上屈指だろう。マザー・コンプレックスもよく描かれていた。

 はぎ取った顔の皮膚で作ったお面、レザー・フェイスで有名な「悪魔のいけにえ(The Texas Chainsaw Massacre・1974・米)」のモデルになったとも言われている。ボクは脚本家がリメイクした「悪魔のいけにえ/レジェンド・オブ・レザーフェイス(The Return of the Texas Chainsaw Massacre・1995・米)」の方が怖かった気がするが。

 実際に犯人が逮捕されたときと同じデザインの帽子はショッキングだった。報道写真でよく見ていたあれが、説得力を持ってスクリーンに登場するという衝撃。そして、犠牲者からそぎ取った鼻だけを入れた箱、指だけを入れた瓶、背骨で作ったランプ・スタンド、皮膚で作ったランプ・シェード、、女性器で作ったリボンの着いた飾り、鹿の肉より軟らかいといって知人に食べさせるステーキ…… はぎ取った皮膚を身につけて夜踊る姿は、吐き気を催す。

 本作では、動機をマザ・コンと孤独感からくる狂気に加えて、宗教的な厳しい戒律と母のしつけも上げられている。この息詰まる閉塞感が、あの犯行へと駆り立てたのだと描かれていて、なんだか見ていると観客までがその呪縛にかかりそうで怖い。
【ただいま執筆中。少々お待ちください】





 公開2日目の2回目、45分前でロビーには30代とおぼしき男性が1人。その後ぽつぽつと若い女性も来て、15分前に前回と入れ替えになったときには、15人くらいになっていた。

 中年カップルもいたが、だいたいはオジサンという感じで、6:4で中高年の方が多め。女性は若い女性が中心で、全体の2割ほどか。最終的に指定席なしの224席の7〜8割が埋まった。

 音響設備はあまり良くないらしく、いかにもスピーカーが鳴っているという音。特に高音がチープな鳴りをしていた。

 また、古い劇場にありがちなのだが、非常口の誘導灯が煌々と明るく輝き、スクリーンに近いものだから気になってしようがない。せめて小さな黒い遮光幕をスクリーン側に付けるとか、何らかの工夫をすべきだろう。もしくは、現代風に付け替えて、上映中は暗くなるものにして欲しい。


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