2001年9月30日(日)「スコア」

THE SCORE・2001・米・2時5分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビーデジタル・dts

〈アメリカR指定〉

凄腕の金庫破りニック(ロバート・デ・ニーロ)は、相棒で盗品のブローカー、マックス(マーロン・ブランド)から、400万ドルの仕事をやらないかと持ちかけられる。カナダ税関の保管倉庫にあるフランスの1661年製の黄金の笏(しゃく)を盗み出そうというのだった。ニックは断るが、ジャック(エドワード・ノートン)という内部協力者がいるという。ニックは身を固めジャズ・クラブ・オーナーになるという夢のため、最後の仕事と決めて計画に乗ることにするが、ブツは最新型の頑丈な金庫の中にあった。

76点

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 おもしろい。マーロン・ブランドはたいした役ではないが、デ・ニーロとエドワード・ノートンがいい。2人の火花が散る。2時間、計画が動き出すと、息も継げない。ハラハラ、ドキドキの連続。しかも盗み出すのが困難な状況から、ブツをどうやって盗み出すかというテクニックと知恵以外にもすごい展開が……それは見てのお楽しみ。

 たしかに存在感はあるが、マーロン・ブランドはいまひとつ。さすがに77歳ともなると長時間の出演はつらいのだろう。わりと頻繁に出ているものの、最近でよかったのは「ドンファン(1995)」「フリーマネー(1999)」というところ。

 「ゴッドファーザー」と「地獄の黙示録」がエスカレートしたあの独特のセリフ回しは、もう怪物的な役しかできないのではないだろうか。なにか人間を超えたある種別な生物のような人になってしまった。今回も、人間くさいプローカーでありながら、とてつもなくうさん臭い感じがする。

 エドワード・ノートンはデビュー作の「真実の行方(Primal Fear・1996・米)」から「ラウンダース(Rounders・1998・米)」「ファイト・クラブ(Fight Club・1999・米)」などと続く、二重人格的キャラクターをよくやっている。本作でもそんな素晴らしい演技力の片鱗を見せてくれる。あまり良い役が多くないけれど、本当はこの人、アメリカの超名門イェール大学の出身。頭脳優秀な上に家柄もいいおぼっちゃまのはず。いい役者さんです。

 この映画に微妙な味を加えているのは、舞台がアメリカではなくカナダになっていること。かつてフランス領だったカナダなので、英語の他にフランス語がよく話されるわけだ。アメリカのようでヨーロッパのような雰囲気。そしてジャズ・クラブのオーナーという設定(モントリオールが舞台だし、有名なジャズ・ミュージシャンが本当に出演しているらしい)。ボンジュール、サバ……。デ・ニーロのフランス語がなかなかイケてます(たぶん)。

 そのデ・ニーロはもう言うことなしでしょう。今回は天井からぶら下がったり、大活躍してくれます。シブくてカッコいい。

 監督は俳優でもあり、「スター・ウォーズ/帝国の逆襲(Star Wars・1980・米)」のヨーダの人形師でもあるフランク・オズ。人形劇「ダーク・クリスタル(The Dark Crystal・1982・米)」が有名だが、「リトルショップ・オブ・ホラーズ(Little Shop of Horrors・1986・米)」などコメディ作品が多い人。なのに本作はお気軽さなどみじんもなく、骨太なジェット・コースター・アクション・ムービー。さすがに器用な人だけあって、なんでも撮れてしまうんだなあ。

 ちなみに「スコア」とは「ヤマ」のことらしい。「3,000万のヤマで、ニックの分け前は400万ドル」という会話がある。でも印象的だったセリフは、ベテランのデ・ニーロが、若手のノートンを諭して言う言葉。「(この商売で)冒険はするな。欲しいもののリストを作って1つずつ25年かけて手に入れていくんだ」そうすれば捕まることはないと。

 公開2週目の初回、50分前についたらオヤジが1人。あれれ。40分前くらいから人が増えだしたが、やはり中高年以上が多い。老若比は7:3といったところか。男女比はほぼ半々だった。

 30分前に開場し、10席×6列の指定席と2席のぴあシネマ・リザーブ席も初回のみ全席自由。最終的に648席の7割が埋まった。やっぱり人気あるじゃん。2週目の入りでこれだけ入っているとは、さすが。ただ、客席には白髪が目立つんだけど……。

 ラストの曲が印象的。


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