2001年10月6日(土)「ドラキュリア」

DORACULA 2000・2000・米・1時39分

日本語字幕翻訳:菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈アメリカR指定〉

ヴァン・ヘルシング(クリストファー・プラマー)は祖父から受け継いだものを展示する遺物館をイギリスのロンドンで経営していたが、あるとき強盗団が侵入し、厳重な警備の一番奥に隠された銀の棺が盗み出された。強盗団は棺とともにアメリカへ向かう途中、異常事態が発生し、飛行機はニューオーリンズへ墜落してしまう。

71点

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 ウェス・クレイブンの名前ばかりが前面に出されているが、実際の監督はパトリック・ルシエという編集出身の人。ウェス・クレイブンの監督作品を多く手がけている。

 できは決して悪くないと思うが、どこと言ってとりたててスゴイと思わせるところがない感じ。あえて言うと仕上がりはウェス・クレイブン風かもしれない。

 しかし、あえて古典的な吸血鬼にチャレンジする以上、何か新しい解釈なり表現を見せて欲しいと思うのはボクだけではないだろう。なのにそれがほとんどない。たとえばスティーブン・キングは小説「呪われた町」で、大して信じてもいない十字架は吸血鬼に対してなんの力も持たないという新しい教義を持ち込んだ。この小説以降、十字架で吸血鬼を遠ざけるというのが描きにくくなってしまったほどインパクトがあった。

 ジョン・カーペンター監督は「ヴァンパイア 最期の聖戦(Vampires・1998・米)」で、日光に当たると一瞬で爆発するように燃え尽きるヴァンパイアや、最新装備の特殊部隊のような人間との戦いを描いて見せた。クエンティン・タランティーノ監督は「フロム・ダスク・ティル・ドーン(From Dusk Till Dawn・1996・米)」で、獣のようなモンスターとしての吸血鬼を一度に大量に登場させて一大地獄絵巻を描出した。イギリス人スティーブン・ノリントンが監督した「ブレイド(Blade・1996・米)」(2000年に公開予定だった「ブレイド2」は2002年に延期になっている)では、ヴァンパイアと人間のハーフが、ヴァンパイア・スレーヤーとして刀武器に吸血鬼狩りをし、ヴァンバイアを骨にしてから粉々に粉砕して見せた。クリスティ・スワンソンが印象的だった「バッフィ/ザ・バンパイア・キラー(Buffy the Vampire Slayer・1992・米)」では、ヴァンパイア・スレーヤーという役割を登場させ、女子高生チアガールと吸血鬼の戦いを実現した。これはその後TVシリーズに引き継がれることになる。

 ひるがえって本作はどうなのか。他の吸血鬼ものと比べて新しい点は、うーん、大本のボスがいて(ドラキュリア)、こいつを倒さなければ吸血鬼を根絶やしにできないというのは、ジョン・カーペンター版と同じだし……。銀の弾丸というのは「狼男」からのいただきみたいだし……。そう、元祖ドラキュラことドラキュリアの正体というのが新しいだろうか。

 なんだか親玉のドラキュリアもパッとしない。イギリス人のジェラード・バトラーはちと線が弱いのではなかろうか。元祖ヴァンパイア・スレーヤー、ヴァン・ヘルシング教授を演じるのは「サウンド・オブ・ミージック(The Sound of Music・1965・米)」のクリストファー・プラマーで、その弟子を演じる「プランケット&マクレーン(Plunkett & Macleane・1999・英/チェコ)」や「ロンドン・ドッグズ(Love, Honour and Obey・2000・英)」のジョニー・リー・ミラーにも驚いたが、注目はヒロインを演じるジャスティン・ワデルだろう。ブルネット(黒髪)のショート・ヘアー、素敵です。

 公開初日の初回、45分前に着いたら誰も並んでいない。ホラーだから若い女性が多いかと思いきや、誰もいないのだからガッカリ。女性誌が取り上げなかったということか。

 30分前になって若い男性が1人といった感じで、ポツポツ集まりだした。15分前に開場になったときには、どうにか10人ほどが並んでいた。5人がオジサン、中年カップル1組、あとは若い男性。あれれ、若い女性は? 最終的には30人ほどの入り。これで大丈夫なのか。

 新宿の劇場はスタジアム形式でスクリーンが見やすく、サラウンド・スピーカーもJBLなので音がいい。しかし、調整が悪かったのか上映フィルムのせいか、冒頭付近でサラウンド・スピーカーが鳴るとビビリ音が入っていた。


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