2001年10月20日(土)「トレーニング・デイ」

TRAINING DAY・2001・米・2時2分

日本語字幕翻訳:林 完治/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dtss・SDDS

〈米R指定〉
ロサンゼルス市警のジェイク(イーサン・ホーク)は交通警官から念願の麻薬課の刑事として転任が決まり、朝5時に起床すると、愛妻と生まれたばかりの子供を残して、パートナーのアロンゾ刑事(デンゼル・ワシントン)の元へ出かけていった。しかし、待ち受けていたのはどす黒い現実で、ジェイクは内外の悪の洗礼を受け最悪の1日を過ごすことになる。

74点

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 うーん、あまり気持ちのいい映画ではない。バッド・エンドではないものの、あまりの悪の毒気に二日酔いのような気分。

 とにかく、あの好感度No.1俳優というか、優等生俳優のデンゼル・ワシントンが悪役を演じることが話題になっている。そして、確かにその通りの映画だった。一生懸命悪に取り込まれまいとするイーサン・ホークもいいのだが、とにかくデンゼル・ワシントンが強烈で、強く印象に残るものだから相手役は損だったかも。そのくらい、やっぱり名優といわれる人は演技がうまいと。このイヤらしさ、セコさ。そして用意周到さ。

 完全な悪のサイドに立つ悪ではないだけに、この悪は怖い。そして相棒を悪の世界に誘い込む手の巧妙なこと。刑事に成り立ての警官は、小物に関わっていると大物を捕まえられないとか、潜入捜査をすることになれば目の前で麻薬をやらなければならないことだってある、と言われればそうやらざるを得ないだろう。悪は実に巧妙な罠を張っている。よくできた脚本だと思う。たった一日の話だし。

 豪華な共演者も見所の一つ。主役の2人の他に、デンゼル・ワシントンの情報屋を演じるのが、「羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs・1991・米)」「ライトスタッフ(The Right Stuff・1983・米)」などのスコット・グレン。

 ほんのワン・シーンしか出ていないが、しっかりと存在感を残すのが、「山猫は眠らない(Sniper・1992・米)」「プラトーン(Platoon・1986・米)」のトム・ベレンジャー。でも、なんでこんなチョイ役に出たんだろう。最近はB級ばかりに出ているようだし、単純にお金か。

 監督は「リプレイスメント・キラー(The Replacement Killers・1998・米)」で、同じように警察内部の汚職を描いたアントワーン・フークアというひと。1966年生まれと言うから、若干35歳という才人。この年でこの深さが描けるとは。それとも警察にうらみがあるとか。今後も注目かもしれない。

 ラスト、一大アクションが仕掛けられる。いままで耐えてきたものが爆発するわけで、そんなに強くない主人公は、徹底して食らいついていく。ここがいい。とにかく諦めない。やがて周囲の人たちも動きだし、カタルシスがやってくる。

 公開初日の初回、45分前に着いたら3人。40分前ころから増えだして、10人、20人へと。男女比は4:6で、やや女性が多い印象。年齢的には、20代と思しい人は3〜4人のみで、あとはほとんど中高年以上。意外にオバサンが多い。これは場所柄も関係しているだろう。

 初回のみ全席自由で、本来ならば10席+9席かける左右2が指定席。大きめのイスが千鳥配置され、スクリーンが高いのも良いが、車いす用のスペースが2台分あるのは素晴らしい配慮。確か、有楽町駅近くの東映系劇場にもあったと思う。

 音も大変クリアで鳴りがよい劇場。ただ、上映前に流れていたさの映画のサウンドトラックのラップが不快だった。シットとかファックとか、キル・ニガーとかキタナイ言葉満載で気分が悪くなる。

 最終的に435席のほぼ半分ほどが埋まった。


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