2001年10月27日(土)「クローン」

IMPOSTOR・2001・米・1時42分

日本語字幕翻訳:太田直子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dtss・SDDS

〈米R指定〉
2044年、人類はケンタウリ星と戦争を始め、やがて地球のあちこちは廃虚と化しわずかに特殊なドームで覆われた地域のみが比較的安全な場所となった。2079年、戦争はまだ続けられ、ときどきドームを破ってケンタウリ星の宇宙船が侵入する事件が起きていた。そんなある日、軍の秘密兵器開発の中心的役割を担うスペンサー・オーラム(ゲイリー・シニーズ)は、出勤するとESA(保安局)のハサウェイ(ヴィンセント・ドノフリオ)が現れて「おまえはケンタウリ星人の送り込んだDNAコピーのロボットで、暗殺のため心臓部分に爆弾が埋め込まれている」と、生きたままそれを取り出されそうになる。

72点

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 ハラハラ、ドキドキの連続。なかなかおもしろい。テイストとしてはそれほどアジア色が濃くはないが「ブレード・ランナー(Blade Runner・1982・米)」に近いと思う。復讐のため地球にもどってきたレプリカントを追いつめるのに対して、本作はDNAコピー・ロボットと疑われて逃げ回る男の話。

 1つの落ちはすぐにわかったが、その後にもう1つあったとは……って書くと、勘のいい人はもうわかってしまうかも。ここは読まなかったことに。それとポスター、良く注意して見ると、答えが隠されている。それもかなりわかりやすく。あっ、また書いてしまった。これも読まなかったことに。

 話題性を狙って邦題は「クローン」とされたようだが、原題のImpostorは他人になりすます詐欺師とかペテン師のこと。本当はなかなか意味深なタイトルなのだ。だますのか、だまされるのか。これがこの映画のテーマだと思う。クローンでは科学技術の方に重点が置かれているような気になってしまう。ただ、悪いタイトルではないと思う。よく思いついたものだと感心する。

 とにかく逃げる。迷いと自信をない交ぜにして。もうこれ以上書くとネタバレになってしまうのでやめておく。低予算の小品だろうが、劇場で見る価値はあると思う。

 驚いたことに、保安局のヴィンセント・ドノフリオが使っている拳銃は、確認できなかったが、どうやらS&Wがオーストリアのグロックをコピーして作ったと言われているシグマのようだ。映画初登場かもしれない。

 ほかの登場人物たちはグロックを使っているようだった。が、スライドが銀色でフレームが黒というツー・トーン・カラーだったりと、工夫はされている。でも、以下のようなやりとりはNGでしょ。敵にグロックを奪われて引き金を引かれるのだが弾が出ない。そこで「セフティだよ」というのはあまりにもパターンを使いすぎ。グロックには手動セフティはついていないのだから。「ホワイトアウト(2000・日)」でもそうだったけど、もうセフティだよというオチはやめましょうよ。

 グロックはほかにフルオートも可能なG18が登場して、バリバリ撃ってくれる。

 それにしても、マデリーン・ストウはきれいだなあ。ちょっとノドのあたりのお肉がたるみかけてきたけど……。

 監督はゲイリー・フレイダーという人で、アンディ・ガルシアが出た暗い調子の感動作「デンバーに死す時(Things to Do in Denver When You're Dead・1995・米)」でテビューし、その後モーガン・フリーマンのショッキングなサイコもの「コレクター(Kiss the Girls・1997・米)」を手掛けている。スリリングな演出がうまいわけだ。

 公開初日の初回、45分前に着いたら誰もいない。あらあら、あれだけTVCMやっていたのに。35分前になってようやく1人。20分前に開場したとき、どうにか10人くらいとは情けない。20代の男性2人に、同年代の女性が1人で、あとはオヤジ以上。かなり平均年齢が高い。って言うか、最近よく映画を見る人たちというのは、だいたいオジサンなのだ。

 新宿の劇場は指定席がないスタジアム形式で、ゆったりと見られるこぢんまりとしたいい小屋。開演5分前で40人ほどの入り。ちょっと若い観客が増えただろうか。それでも女性は全体でたった2〜3人。最終的には50人くらいになっただろうか。


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