2001年11月3日(土)「ソードフィッシュ」

SWORDFISH・2001・米・1時39分

日本語字幕翻訳:林 完治/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈米R指定〉

空港でパスポートを2つ持っていた世界的なクラッカーが逮捕された。コンピューター犯罪捜査官のロバーツ(ドン・チードル)が尋問にあたるが、ちょっと目を離した隙に何者かに射殺されてしまう。同じころ、裁判所によってコンピューターに近寄ることを禁止され、愛娘との面会さえも禁じられた伝説的なクラッカー、スタンリー(ヒュー・ジャックマン)のもとに、超セクシーな女性ジンジャー(ハル・ベリー)が訪れ、ある男に会うだけで10万ドルをくれるという。

78点

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 スゴイ、面白い。やられた。ひさびさに超一級のアクション・エンターテインメントを見た思いがする。カッコ良くって、ハラハラ、ドキドキして、セクシーで、あっけにとられて、先が読めなくて……。これを劇場で見ない手はないと思う。ぜひ、みなさん、すぐ劇場へ。

 とにかく先が読めない。誰がウソをついていて、どれが本当なのか。こういう映画は気持ちよくだまされるのが一番。「スティング」まではいかなくても、これは快感。

 冒頭、エスプレッソを飲みながらのんびりと「狼たちの午後(Dog Day Afternoon・1975・米)」について語り合うトラボルタ、「X-メン(X-men・2000・米)」のヒュー・ジャックマンらが映る。まるで「レザボアドッグス(Reservoir Dogs・1991・米)」だ。エスプレッソを飲み尽くすと、じゃうそろそろ行こうかと言ってお店の外に出る。すると。店の周りは警官隊で包囲され、SWATまで出張ってきている。彼らは銀行強盗で、警察隊に取り囲まれていたのだ。そして一体どうなるんだ、と思っていると字幕が出る。「4日前……」。映画はここから始まる。くーっ、カッコいい!!

 出演者はみんな魅力的で素晴らしいのだが、一番印象に残ったのはやはり「Xメン」で注目を浴びた黒人美人女優のハル・ベリー。さりげなく大きな胸を全開したり、下着は着けているものの、全裸に近い露出度でセクシーな魅力満開。なんか彼女のプロモーションのような映画でもあるなあと。すっかり彼女のファン。男性はみんなホレてしまうのではないだろうか。

 「X-メン」ではメイクのせいでよくわからなかったヒュー・ジャックマンの本当の顔がよくわかる。ウン、本当に2枚目だ。「恋する遺伝子(Someone Like You・2001・米)」でもノーメイクだったからこの素敵な顔が拝めたのだろうが、アクションの中の引きしきった表情が良いのだ。男はこれでしょ。

 トラボルタも、言ってみれば悪役なのだろうけれど、強引でスマートでカッコいい。真ん中から左右に分けた長髪が、由井正雪のようで、キマっている。にこやかに笑いながらえげつないことを言うところがスゴイ。そしてすべて自分のペースに引き込んでしまう。こういうヤツっているよなあ。

 追っ手の車2台にはさまれたとき、サンルーフを開けるといきなり立ち上がり左右に両手を広げて同時に撃つ「十字架撃ち」がまたカッコいい。2台とも運転席を撃たれてコントロールを失いドッカーン。いや〜、すごいです。絶対見逃さないように。

 ガイ・リッチー組で冷血な殺し屋をやらせたら当代一のヴィニー・ジョーンズが、ここでも冷血な殺し屋をやっている。ほとんどセリフはないし、最後まで出ているわけでもないのに、存在感がある。何かをやりそうで、怖い。すごい役者です。

 ラスト、また映画の話が出る。トラボルタが「続・激突!/カージャック(The Sugerland Express・1973・米)」のラストが嫌いだというのだ。2本程度引用したからと言って、脚本を担当したスキップ・ウッズという人を映画マニアと呼ぶわけにはいかないが、映画好きの心を惹きつけることは間違いない。

 トラボルタが乗っている右ハンドルのかっこいい車は、イギリスのTVR社のニュー・モデルでタスカン・スピード・シックスというモデルだそうだ。とてもカッコよろしい。4リットル直列6気筒DOHCエンジンを搭載しているらしい。日本でも入手可能だそうだから、お金に余裕のある方はぜひ。

 登場する銃器も、最新のものがずらりと並ぶ。ドイツ軍の最新制式アサルト・ライフル、米軍のM16と同じ弾薬を使用するG36。チラッとしか映らないので断定はできないが、ベレッタM8000ピストル。トラボルタが持っているのは、たぶんSIGザウエルのP226。タスカン・スピード・シックスからトラボルタが取り出してぶっ放すのが、米軍が分隊支援火器として使用しているベルギー製のFNミニミ・マシンガン。そしてH&KのUSPピストル。……などなど。

 エンド・クレジットの最後に出るパスワードは「vernam」だが、はたしてこれは何に使うのだろうか。

 初日2回目、50分前に着いたら、ロビーには誰もいない。えっ、なんで? 人気ないの? といぶかっていると、場内から何やらドッカーンとかバリバリバリ、ドキューンなどと、ボクにはワクワクする音が聞こえてきた。

 35分前になって、ようやく5〜6人がロビーに現れた。男女は半々だが、予想通り全員中年以上。20分前に前回が終了し中に入ると、徐々に人が増えだした。

 指定席は10席×5列×2で、このうち最後列の7席がぴあ。このうち指定席に3カップルと1人、びあに0。でも、最終的に1,288席の3割ほどしか埋まらなかったから、指定席に座る意味なんかあったのだろうか。もっと混んでもいい映画なのに、残念だ。

 映画の上映前に、この劇場の自慢であるJBLシアター・サウンド・システムのデモがあった。さすがにいい音。スピーカーが鳴っているという感じがしないし、体に伝わってくるような重低音は、まさに家庭では無理。劇場はこうでなくっちゃ。


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