2001年11月4日(日)「バレット・オブ・ラブ」

不死情謎・2001・香港・1時45分

日本語字幕翻訳:税田春介/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル


香港警察の警部サム(レオン・ライ)は、武器・麻薬・強姦・密入出国などなんでも手掛ける犯罪者の兄弟、ナイト(テレンス・イン)とデイ(リチャード・サン)の逮捕に向かい、どうにかナイトを逮捕した。裁判ではサムの恋人アンが検事を務めることになるが、謎の女殺し屋に狙撃されてしまう。傷心のサムは警察を辞めランタオ島へ渡って漁師となるが、2年後、アンに瓜二つの日本人女性カメラマン、ユウが現れる。

78点

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 クーッ、久しぶりに来た、来た、香港映画の凶暴なラブ・ストーリー。なにしろ、皆殺しだもんなあ。ラストなんか血の海だぜ。でも深いラブ・ストーリーで、涙が……。

 もうすっかり瀬戸朝香を見直しちゃったなあ。できるんだ、あんなすごいアクション。銃の撃ち方も様になってるし。カッコいいです。英語に広東語に素晴らしいです。香港映画伝統の吹き替えじゃなく、本人の生声。出演して大正解だったと思う。いままで、かわいい女の子の域を出ていなかったと思うけれど、これで女優として大きく成長したんじゃないだろうか。いや、できるんじゃないだろうか。こういう演技ができることをちゃんと証明して見せたんだから。しかも、押さえるとこはちゃんと押さえて、かわいらしいのなんの。検事役はちょっと?だったけど。吹き替えだし。実はこの吹き替えというのが大きな意味を持っていたのだ。最初は不満だったが、後半になって、なるほどと納得した。

 二役の瀬戸朝香が最初に演じるアンが狙撃されるまでは、多くのほかの香港映画といっしょかなという感じでちょっと引いて見ていたのだが(それでも結構面白いが)、日本人ユウとして現れるあたりから俄然良くなる。素晴らしいラブ・ストーリー。もっともっと女性が見に来てもいいと思うし、もっともっとたくさんの観客が入ってもいいと思う。こんな少ない観客でいいはずがない。ぜひ劇場で見よう。

 女スナイパーが使う銃は、フランス映画「ニキータ」で定番となってしまったオーストリアのアサルト・ライフルAUG。プロだったらボルト・アクション・ライフルかもっと精度の高いライフルを選ぶだろう。オートマチックの、しかも一般兵用の量産品は使わないと思う。それにグローブ。特殊な小さいものにしているが、プロは指先の感覚を重視して、釣りに使うような指先だけが出たものを使うんじゃないかと思うが……。

 拳銃は、驚くことに、瀬戸朝香がS&WのたぶんM6906を使っていて、レオン・ライはなぜかスペインのスター・モデル31Pという珍しいもの。口径こそ一般的な9mm×19(9mmパラベラム)だけれど、スペインの軍用銃だ。スクリーン初登場ではないだろうか。

 公開2日目の2回目、45分前に着いたら、ロビーに誰も待っていない。あれれ、香港映画は一時期あんなに若い女の子が殺到していたのに。この映画はラブ・ストーリーだよ……。

 もう飽きちゃったのか。ありえるなあ。それでも30分前になったら9人くらいがロビーにたまった。このうち女性は6人。ほとんどが20代後半以上とお見受けした。男性もだいたいそんな感じ。

 最終的に有楽町のこの古い306席の3割弱ほどしか埋まらなかった。指定席はない劇場だが、ぴあシートがあった。しかも中央通路脇に。ここもスクリーンが見にくい劇場で、中央寄りほど前席の人の頭がじゃまになるわけだが、その中央寄りのぴあ席で意味があったのか。他に席がいっぱい空いてるのだから……。

 残念ながら、音質も良くない。いかにもスピーカーが鳴っていますという音。最近は香港映画もかつてのように大きな音が鳴っていればいいというものではなくなって、ちゃんとドルビー・デジタルだったりするので、どうにかして欲しい。しかも、非常口ランプも古い規定のままで、場内が暗くなった後も煌々と輝いている。スクリーンに近いので、身こる角度によってはこの緑がスクリーンにだぶっているはず。支配人の方がとても言い方なので、あまり苦言を呈したくないのだが、そろそろ改装した方がいいのでは。不景気で、この入りで、大変だとは思うけど。

 しかし、この映画もこの程度の入りのはずがない。もっともっと人が入って良い映画だと思う。この皆殺しのラブ・ストーリーは、スクリーンで見ないとなあ。


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