2001年11月10日(土)「怪獣大決戦ヤンガリー」

2001 YONGGARY・2001・韓国/米・1時38分

日本語字幕翻訳:岡田荘平/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル

〈米PG-13指定〉
アメリカのとある山中の洞窟で宇宙起源の生物の化石が発見された。一緒にあった光る石を掘り出そうとしたとき大爆発を起こし、調査隊はキャンベル教授(リチャード・リビングストン)とヒューズ博士(ハリソン・ヤング)の2人を残して全滅した。数年後、正体不明の巨大宇宙船が現れ、化石となっていた伝説の怪獣ヤンガリーを復活させ、地球侵略を開始する。

70点

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 韓国とアメリカの合作とは言いながらも、何の予備知識もなしに見たら、誰もがアメリカ映画と思うことだろう。舞台はアメリカだし、出演者もほとんどがアメリカ人、セリフもすべて英語。脚本もアメリカ人なのだ。おそらく、プロデューサーの何人か、監督、CGが韓国人という感じ。

 おそらくアメリカで公開することを最初から視野に入れて、というかほとんどそれをメインに制作されたのではないだろうか。調べてみると、実際は1999年におよそ12億円という大金をかけて製作されたものの、SFXに満足できず、改めてアメリカで3億円かけてSFX(CG合成)をやり直したのだという。うーん、でも韓国はコンピューターに関しては日本よりも進んでいるくらいだし、コストを考えても韓国内の方が有利なはず。オール・アメリカ人キャストで韓国内で撮影したとはとても思えないから、宣伝手段の一環と思えなくもないが……。SFXプロダクションはゼロ・ナインというらしい。韓国の会社なのか、アメリカの会社なのか。よー、わからん。

 それはともかく、これだけの大金をかけて、シリアスなストーリーなのに、完璧な子供向き映画にしていいんだろうか。映画が終わった直後、あちこちで失笑が起きていた。うーん、これは辛い。IMDbで評価の平均点が3.4はまれに見る低さ。ウーン。

 CG以外見るところがない、と言ったら言いすぎか。一部浮いてたとこもあったけど。あっ、そうか、CGのタイトル・デザインも秀逸だったっけ。岩に刻まれた模様がモーフしてキャストやスタッフの名前になっていく。このセンスは素晴らしい。手がけたのはデビッド・ホプキンスというアメリカのTV(元は日本製だが)「パワー・レンジャー」を担当しているという人。これは拾いものだ。解説ではSFXということになっているが、クレジットはタイトル・シーケンスとあった。いいのかなあ、こういうことで。IMDbで調べりゃわかることだし。

 しかも驚くことに、これがリメイクだというのだ。一体どんなオリジナルだったのだと、逆に興味がわくが、「Taekoesu Yonggary・1967・韓国/日本」というもので日本未公開。どうやらビデオもないらしい。

 オール・アメリカ人キャストと言っても、ほとんど有名な俳優は出ていない。かろうじて主役のヒューズ博士を演じたおじいちゃんのハリソン・ヤングが、あの名作「プライベート・ライアン(Saving Private Ryan・1998・米)」で、始めと終わりだけチラッと出るライアン老人を演じているくらい。

 監督はシム・ヒョンレという韓国人監督だが、脚本はアメリカ人でマーティ・ブールという人。音楽が「スクリーム3(Scream 3・2000・米)」のクリス・デズモンド、CGタイトルがデイビッド・ホプキンス。つまりほとんどアメリカ映画ということだ。

 ただし、驚くには当たらない。韓国の人はどんどん海外へ出て、そして成功しているケースが多いのだ。なにしろ大韓航空が、年間を通してアラスカ経由のニューヨーク直行便を飛ばしているほどだ。映画を目指す人もたくさんアメリカに渡って教育を受けている。そういう人たちがアメリカで映画を作ってもなんら不思議はないだろう。韓国映画のレベルがどんどん上がるわけだなあ。

 将軍クラスが自分でヘッドセットを着けて直接、命名を下したり、ミサイルでやっつけられない怪獣にピストルで攻撃を加えたりと、理解できないところが多い穴だらけの脚本が最大の問題だと思う。脚本のマーティ・ブールさん、こりゃまずいでしょう。

 公開初日の初回、初日限定プレゼントがあるというので40分前に劇場に着いたらたった3人しかいない。なんだ。30分前になってもたった8人。20代後半が5人、オヤジが3人で女性0。20分前に開場した時にはようやく12人くらい。

 しかし、初日プレゼントはてっきり「フィルムしおり」だと思っていたのに、ちっちゃな缶バッチ。エーッ、そんなあ。「フィルムしおり」が欲しかったのに、それは2週めの土曜に配るらしい。くそーっ。損した。

 やがて小学生も2人くらい来て、女性もやや年輩の人が3〜4人来たものの、20代後半とオヤジが主流だったのは変わらなかった。


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