2001年11月10日(土)「ヤング・ブラッド」

THE MUSKETEER・2001・独/ルクセンブルグ/米・1時45分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

〈米PG-13指定〉
17世紀フランス、ルイ13世は統率力を失い、リシュリュー枢機卿(ステファン・レイ)によって操られていた。ヨーロッパ1の剣の腕前といわれる銃士を父に持つダルタニアン少年は、ある日、税金の取り立てに来た枢機卿の腹心ファブル(ティム・ロス)に目の前で両親を惨殺されてしまう。14年後、プランシェに育てられたダルタニアン(ジャスティン・チェンバース)はたくましい青年に成長していた。そして、王の銃士となるためパリへ向かう。

72点

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 テロのせいか、ほとんど予告なく公開されてしまったという感じ。見に行って初めて気が付いたのだが、監督はピーター・ハイアムズではないの。ということは、これはそこそこの大作と言うことだな。おっ、なんとフランスの名女優「シェルブールの雨傘(Les Paradluies de Cherbourg・1963・仏)」のカトリーヌ・ドヌーブが出ているではないか。あの映画1本で大ファンになってしまったもんなあ。泣いた、泣いた。

 それにしても、なぜ「三銃士」なんだろう。もう最近だけでも何度もアメリカで映画化されているではないか。……とよく見ると、タイトル後に大きくアクション振り付け師(殺陣師)として香港映画俳優でもあるシンシン・シャン(「ダブル・チーム(Double Team・1997・米)」のアクション・シーンをノー・クレジットで手がけているらしい)の名が一枚看板で出る。そうか、「マトリックス」系の時代劇を狙ったのか。

 悪くはないが、それでも「なぜ」という感じは残る。ピーター・ハイアムズ監督の前作はシュワルツェネッガーの「エンド・オブ・デイズ(End of Days・1999・米)」だからなあ。あれのレベルとあまりかわらないか。ピーター・ハイアムズの名がもう売りとならなくなったことは、チラシや前売り券を見てもわかる。彼の名は殺陣師のシャン・シンシンより小さいのだ。ルーペがないとわからないほど。

 ピーター・ハイアムズと言えば、「シカゴ・コネクション 夢見て走れ(Running Scared・1986・米)」「カプリコン1(Capricon One・1978・米)」が良かったかなあ。ずっとシネスコ・フォーマットを使い続けているが、みんな昔のだ。

 主役のジャスティン・チェンバースは、アクション・シーンもかなり自分でこなしているようだが、いまひとつ主役としての魅力に欠ける気がする。スタント・ダブル(吹き替え、代役)がほとんど中国系の人なのは、アメリカ人スタントマンではこの京劇のような見せる殺陣が練習を積まないと演じられないからだろう。香港映画界のスタントマンたちならこの手のアクションは慣れているはずだ。

 良いのは、広告通りアクション・シーンと、名優になりつつあるティム・ロス。その演技、冷血さ、非情さが体の芯から出ている感じで実に良い。「猿の惑星(Planet of the Apes・2001・米)」のチンパンジー将軍は最高だったけれど、あれに続く良い悪役で、なんだか悪役が定着してしまいそう。いちやく有名になったのがあの犯罪映画の傑作「レザボアドッグズ(Reservoir Dogs・1991・米)だったからか。」

 終盤、ハシゴを使ったアクションがあるが、あれってジャッキー・チェンがやってなかったっけ? タイトルは忘れてしまったけれど、「プロジェクトX」かなんかで。パクリじゃない? まあ、かまわないんだけど。そのせいか、IMDbで4.4はつらいわな。

 公開初日の2回目、30分前に着いたらロビーには5人のオヤジと1人の若い女性。なんていう組み合わせなんだ。

 指定席は11席×3列に11×1列のぴあ席。しかし、誰も座ることなくぽっかりと空いたまま。もったいない。まあ、最終的に763席に50人くらいの入りではしようがないか。

 最終的に1/3は女性で、若い人も1/3という感じ。題材のせいかジイさんが多かった気がする。


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