2001年12月16日(日)「修羅雪姫」

2001・日活/パイオニアLDC/東京テアトル/オズ/衛生劇場/ソニーPCL・1時32分

ビスタ・サイズ/dts
〈PG-12指定〉


鎖国が500年続いた某国。政府は反体制派を押さえるため、隣国から追放になった建御雷(たけみかづち)家を招聘したが、やがて彼らは単なる暗殺者集団へと変貌していった。一族の雪(釈由美子)は、20歳になったとき、空暇(くうか)と名乗る老人(沼田曜一)から「お前の母を殺したのは、一族のボス白雷(びゃくらい、嶋田久作)」だと教えられ、組織を抜ける決心をするが……。

76点

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 素晴らしい。日本映画とは思えないスピード満点である種の型が感じられるキレの良いアクションの数々。香港から「ドニー・イェン COOL(殺殺人・跳跳舞・1998・香)」ドニー・イェンを招いて、アクション・シーンの監督と編集まで任せたというだけあって、いままでの日本映画にないアクションができあがった。

 とにかく釈由美子が素晴らしい。普段テレビなどで見ていると、ポワーンとして天然ボケ系のおとなしい子なのかなあと思っていたら、どうしてどうして、演技もしっかりしているし(ほとんど怒っているが)、アクションが速い。太刀をびゅんびゅん振り回すし、動きが止まったときに見得の切り方が絶品。ドニー・イェンに始動されたとおりにやっているだけなのかもしれないが、それをちゃんとできるのだからスゴイ。激しい動きの中でちゃんと顔で演技している(アンタは仲代達也か)。視点も定まり、視線が生きている。

 もちろん危険なシーンや、アクロバティックな部分はスタント・ダブルがやっているものの、ワイヤー・アクションも自分でやり、よく転がり、よく走り、よく飛んでいる。だだニコニコ笑っているだけのアイドルだと思っていたら、大間違い。こりゃ宝石の原石だね。恐るべし、釈由美子!

 悪い役ではないものの、あまり活躍する場面がなく、炸裂している釈由美子のおかげで存在感が薄くなってしまったのは伊藤英明。いま注目の役者には違いないが……。

 おそらくそれは、この物語で男女の役割が逆転しているからだと思う。伊藤英明は殺し屋で抜け忍となった釈を助け、治療し、食事も食べさせてやる。ふいと釈がいなくなっても家で待ち続ける。また突然、戻ってきても責めることなく受け入れていく。これって、いままでよく西部劇とかで描かれていた女の描き方じゃん。

 存在がよくわからないのは、伊藤英明の妹(真木よう子)。何の病気なのか。寝たきりではないようだし、話もできるし、折り紙も折れるのに、一人でご飯が食べられないで、食べさせてもらう。気も確かそうだしなあ。

 女刺客の  を演じる長曽我部蓉子もいい。不敵な面魂がいい敵役の味を出している。つまのり、この監督、戦う女の描き方が抜群にうまいということだろう。戦わない女は中途半端かな。

 監督は佐藤信介という人。1970年にぴあフィルム・フェスティバルで出てきたと公式サイトにあった。その後、有名監督の助監を努めて「Love Song(2001)」でデビューしたばかり。ボクはアクション向きの監督だと思うんだけど。

 原作はあの小池一夫。公式ホームページによると、ラッセル・クローと豊川悦司の「NO WAY BACK 逃亡遊戯(1995)」も手がけたプロデューサーの一瀬隆重が「クライング・フリーマン(Crying Freeman・1996)」も手がけていたことから小池一夫とつながりがあったということらしい。

 公開2日目の2回目、35分前に着いたらロビーに9人。キャラクターのフィギュアが売られるなど、仕掛けが多い割には人が少ないなあと思っていたら、30分前くらいから続々と人が増え始め、入れ替え時で50人以上。最終的には指定席なしの218席の7割ほどが埋まった。

 1/5が女性で、しかもほとんどは20代。ちょっとアニメと似たような客層だ。それでも、オジサン以上はここにもいた。それにしても、プログラム1,000円は高いだろう、このご時世。買っている若者も多かったようだが、カネ持ってんなあ。うらやましい。ボクは買いたかったが、じっとガマン。

 入場時に件をくれて、見たらレコード屋さんとかが配っているスタンプカード。5回見てスタンプがたまると、なにかいいものがもらえるらしい。ボクならDVDを待つけど、たしかメイキングDVDってのはもう発売されていて、フィギュア付きでかなりの値段だったなあ。ということは通常のDVDも高いのか。アニメ系はいいお客さんばかりで、高くてもグッズなどばんばん買ってくれるのだ。ボクはついていけない。お金がない。で、フィギュア出来もそんなにいいと思えない、と。関節動かんし。そうさオレはどうせ関節フェチ。


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