2001年12月22日(土)「バニラ・スカイ」

VANILLA SKY・2001・米・2時17分

日本語字幕翻訳:戸田奈津子/ビスタ・サイズ/ドルビー・dts
〈米R指定〉


親の遺産で3つの出版社のオーナーを務めるNY在住のヤンエグ、デヴィッド・エイムス(トム・クルーズ)は、ジュリー(ムキャメロン・ディアス)と半同棲していたが、誕生パーティーで親友の作家ブライアン(ジェイソン・リー)が連れてきた女性、ソフィア(ペネロペ・クルス)に一目惚れしてしまう。ブライアンからは横取りしたと言われ、ジュリーは愛しているのにとせめられる。そしてついにジュリーは嫉妬からデイヴィッドを車の助手席に載せて、時速130kmで橋からダイブする。

71点

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 ウーン、長い。いつもの寝不足がたたったか、ちょっと気を失った。評価の高かったアレハンドロ・アメナバール監督の「オープン・ユア・アイズ(Abre Los Ojos・1997・西)」のリメイクなのに……。

 「オープン……」を見たトム・クルーズが気に入って、アメリカでの再映画化権を取得して、自らがプロデューサーとなって制作したのだという。

 ボクは「オープン……」を見ていないのだが、本作は全体の構成が良くないのだと思う。ラストのどんでん返し部分以外、事件はいくつか起こるのに退屈なのだ。リズムというか、テンポというか、それが一本調子で、各シーンは悪くないのに眠くなる。

 これは原作のせいではないと思う。アレハンドロ・アメナバール監督は、「次に私が殺される(Tesis・1996・西)」の感じから言うと、ささいなことからスリルとサスペンスを盛り上げていくのがうまい人なので、たぶんオリジナルはもっといい出来だと、勝手に思っている。近く公開されるホラーの「アザーズ(The Others・2001・米/西/仏)」はかなり怖いと評判だ。これは、ぜひとも「オープン……」を見なくては。

 リメイクを監督したのは、前作「ザ・エージェント(Jerry Maguire・1996・米)」でトム・クルーズと組んだキャメロン・クロウ。もともと音楽に造詣の深い人で、16歳であのローリングストーン・マガジン誌のエディターになったという天才。音楽満載の「あの頃ペニー・レインと(Almost Famous・2000・米)」も撮っているほど。本作も、その音楽へのこだわりが表れていて、なんとポール・マッカートニーがテーマを書き下ろしているのだという。

 バニラ・スカイとはキャメロン・クロウ監督が好きな曲のタイトルだそうで、どうしてもタイトルに使いたかったそうで、映画と関連づけるためそのセリフが入れられている。どこで出てくるか、聞き逃さないようにチェックしよう。

 結末は納得できなかった。これだったら、どの時点にさかのぼるにしても成立するのではないかと思った。そりゃ、ないだろうと。

 冒頭の誕生パーティで一瞬チラッと映っているのは、あれ、スピルバーグ監督ではないの? そうか、2002年公開予定の「マイノリティ・リポート(Minority Report・2002・米)」で、2人が組んだからだな。

 交通事故後の特殊メイクは非常にリアル。この醜い顔を、ストーリーの重要な鍵になっているとはいえ、二枚目のトム・クルーズがよくやったなあ。オリジナルを気に入ってリメイクしたのだから当然なのかもしれないが。

 公開初日の初回、45分前に着いたら日比谷の劇場はすでに開場していた。17席×6列の指定席と17席のぴあシートも、初回は全席自由。50〜60の人がもう座っている。ほとんどは中高年で、やや女性が多い。まっ、トム・クルーズだから妥当な線でしょう。

 30分前になった時点で、654席の4割ほどが埋まった。徐々に若い人が増え、1/3くらいにはなっただろうか。最終的に7割ほどの入り。今どき、これは好調と言って良いだろう。


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