日本語字幕:手書き、下/翻訳:細川直子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米G=制限なし)
ミア(アン・ハサウェイ)はサンフランシスコのグローブ高校に通う女子高生。アーティストの母のヘレン(キャロライン・グッドール)と2人で、アーティストが多く住む地区に暮らしていた。あがり性で見た目もパッとしないミアは、あこがれの彼氏とうまく口も利けない有様。そんなある日、ヨーロッパのジェノビアという国に住む祖母クラリス(ジュリー・アンドリュース)が現れ、王家のあととりであるあなたの父が亡くなって、あなたが王家の第一後継者となった、と告げたことから大きく人生が変わることになる。
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うーん、どこが「プリティ・シリーズ」なのか。監督が同じ(ゲーリー・マーシャル)というだけ? これを本国の監督が聞いたら、何と言うだろうか。確かに「プリティ・ブライド(Runaway Bride・1999・米)」は別としてシンデレラ・ストーリーという点では「プリティ・ウーマン(Pretty Woman・1990・米)」と本作は似ていなくもないが……。まあ日本の映画会社が勝手に付けたタイトルなので、しようがないか。 できはあまりパッとしない。よくある話なので、勝負はディテールの積み重ねで決まるような気がする。そして全体として細かなエピソードのバランスが取れていると面白い映画になるし、崩れていればつまらない映画になってしまうという。本作は、残念ながらバランスが取れていなかったようだ。原作小説があるものの、これは脚本のジーナ・ウェンドコスにも責任の一端はあるだろう。とても「コヨーテ・アグリー(Coyote Ugly・2000・米)」を書いた人とは思えない。 バカやってたシンデレラが、それに気づいていい子になろうとするそのバランスが悪い。バカが勝ちすぎて、いい子になってもその効果が薄いのだ。王女になったとたん、気にかけてくれていた男の子をすっぽかし、あこがれていた男の子にあげちゃいそうになるし、親友との約束は忘れてしまうし……。といってシンデレラ前も、落ち着かず、マナーは悪いし、外見もダサイし、ダメだらけじゃん。 唯一、素晴らしいのは、ソバージュでメガネのダサイ女子高校生から、おかまのプロの手で変身するという定番中の定番があっさりと許せるほど、めちゃくちゃ美しく変身すること。これは本当に驚く。大人びたメイクでストレートのロング・ヘアーをさらりと垂らすと、まるでいいとこのお嬢様。女の子はメイクひとつでこんなにも変わるものなのね。 ただ、このスタイルはこの一瞬だけで、以後ちょっとカワイイ路線に戻るのは残念。学校でも、隠していたストレート・ロングの髪型を知られると、みんなにダサイって言われてしまうのはオジサンにはついていけない。どうして、こんなにキレイじゃないか。よくゲーリー・マーシャル監督68歳はついていけるなあ。 ゲーリー・マーシャル監督は、ラブ・コメディっぽい作品が多い人で、今年なんと68歳。日本でこの歳になったら、きっと社会派ドラマを撮ってしまうことだろう。そういう意味では70歳で過激なアクション作品「バトル・ロワイヤル(2000・バトル・ロワイアル製作委員会)」を撮った深作欣二監督と通ずるものがあるのかもしれない。しかし、「プリティ・ブライド(Runaway Bride・1999・米)」は酷いできだったし、「プリティ・ウーマン」以外あまりパッとした作品がないのも、この監督。だから、いつまでたっても新作公開の時「プリティ・ウーマン」の監督が……と言われてしまう。かわいそう。 拾いもののもうひとつは、あのジュリー・アンドリュースの元気な、おばあさんとは思えない若々しい姿だ。ジュリー・アンドリュースと言えば「メリー・ポピンズ(Mary Poppins・1964・米)」で映画界にデビューして、続く大ヒット作「サウンド・オブ・ミュージック(The Sound of Music・1965・米)」に主演し、ヒッチコックの「引き裂かれたカーテン(Torn Curtain・1966・米)」の3本で世界的な名声を得た人。もう67歳だというのにこの若さ。すんばらしい。 ちなみに出てくるパソコンはすべてアップル製でしたね。PowerBookG3とiMac。 公開初日の初回、40分前についたら銀座の劇場は30人ほどの行列。35分前に開場した時点で8割が女性。女性の親子連れや若い女性にオバサン。あと女性に連れられてきた感じのカップルという構成。 全席自由で、10席×6列にぴあ3席も座ってOK。 10分前くらいからジジ、ババが増えだし、最終的に756席の6.5割ほどが埋まった。男女比は3:7で女性、老若比も3:7で若者が多かった。下は女子中学生から、上はおばあさんまで。中心は20代の女性だったが。 この劇場は2月3日までで、4日からは小さな劇場へ移る。思ったより入らなかったんだろう。このできではしようがないかも。 |