2002年1月27日(日)「ラットレース」

RAT RACE・2001・加/米・1時間52分

日本語字幕:手書き、下/翻訳:松浦美奈/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビー・dts
(米PG-13)

http://www.ratrace.jp/html_site/index.html
ラスベガスの「ベネチアン」ホテルにあるカジノのスロットマシンで、金色のコインを引き当てたお客がオーナーの部屋に集められた。全員に鍵が渡され、ニュー・メキシコのシルバーシティの駅のコインロッカーに、最初にたどり着いたものに200万ドルをやるという。最初は信じなかった当選者たちも、やがて人を出し抜いて自分だけがその現金を手に入れようと走り出す。

71点

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 よくあるドタバタ・コメディ。いってみれば「キャノンボール(The Cannonball Run・1980・米/香)」とか「グレートレース(The Great Race・1965・米)」とか「素晴らしきヒコーキ野郎(Those Magnificent Men in Their Flying Machines, or How I Flew from London to Paris in 25 Hours and 11 Munutes・1965・英)」とかの類。できは「キャノン……」にちかいが、無意味なオバカ映画ではなく、ちょっと教訓的なものにしようとしたところは買える。お説教臭くなっていないし。それでも、「グレート……」や「素晴らしき……」を超えることはおろか、迫ることもできなかった、という印象。

 基本的にはこの類はオール・スター・キャストでなければならない。そこで、本作でもMr.ビーンことローワン・アトキンソン(イタリア人というのは無理がある設定というかそれがネタなのか)、アカデミー賞俳優ウーピー・ゴールドバーグ、同じくアカデミー賞俳優キューバ・グッティングJr.、「天使にラブソングを(Sister Act・1992・米)」でゴールドバーグと共演したちょっと太めのキャシー・ナジミー、「ジュラシック・パーク(Jurassic Park・1993・米)」で恐竜の胚を盗み出す技師を演じた太めのウェイン・ナイト、「オースティン・パワーズ(Austin Powers : International Man of Mystery・1997・米)」でトクター・イーブルの息子を演じたセス・グリーン、クリジットはされていないが、結構重要な役で「パーフェクト・カップル(Primary Colors・1998・米)」や「タイタニック(Titanic・1997・米)」のキャシー・ベイツ、大団円ではスマッシュ・マウスが現れて、全員で大合唱になる……といった具合。

 ただ、物語をリードしていく男優と女優があまり有名でないところが、この映画の場合ちょっと弱い。どうもノリ切れない。けっこう笑えるできなんだけど。

 特にハリ切っているのがキューバ・グッティングJr.。アカデミー賞俳優とは思えないほど、なさけない役回りで、キレまくっている。ルーシー・ショーのファンのつどいに参加する、ルーシーのそっくりさんが乗ったバスに乗車する羽目になって、てんてこ舞い。しまいにはブレイク・ダンスまで披露している。しかもうまいんだな、これが。

 トイレへ行くために車を降ろしてもらえない女の子が言うセリフがおもしろかった。父親からビンにしろと言われると「Not pee, No.2」と返す。「小じゃなくて大よ」ってわけだろうが、No.2って言うんだ。なるほどねえ。

 監督はジェリー・ザッカーという人で、代表作は「ゴースト/ニューークの幻(The Ghost・1990・米)」。これにウーピーが出ていたから、ここでも出ているんだろう。ほかに「裸の銃を持つ男(The Naked Gun : From the Files of Police・1988ショーン・コネリーとリチャード・ギアの「トゥルーナイト(First Knight・1995・米)」なんていう硬派のアクション史劇も撮っていて、なかなかの職人監督だったりもする。だからこそ、この12使徒という結末になったんだろうけど。どういう意味かは見てのお楽しみと言うことで。

 また、こういう系の映画はオープニング・タイトルがアニメになっていることも多い。本作も、センスのいいアニメーションに仕上げられていて、これはじっくり見て欲しい。作者はちゃんと確認できなかったが、ジュリア・トルトローニとかなんとかいう人。

 公開2日目の初回、40分前に着いたら22〜3人の行列。ほとんどは30代後半以上の映画をよく見る層。男女はほぼ半々。35分前にエレベーターが動き出して5Fの劇場へ。30分前に開場した。この時点で30〜40人ほどに。下は高校生くらいから。

 コマーシャルではローワン・アトキンソンが主役のように言っていたが、ローワン・アトキンソン・ファンは年齢層が高いってことか。

 初回のみ全席自由で10席×5列も自由。徐々に若い人も増えだして、小学生も1人いた。最終的には552席の5割が埋まった。男女比は前のまま半々で、老若比は8:2と圧倒的に30代後半以上が多かった。

 銀座の劇場はスクリーンも高く、前の席に多少座高が高いヤツが座っても大丈夫。音も低音に迫力があって、しかもセリフがクリア。ここはあまり込まないので、ゆったりと映画を楽しむことができる。おすすめ。

 入場時にラット・レースのオリジナル・コインを1枚渡された。スロットマシンが6台ロビーにあって、金のコインが出たら何万円だかの現金をもらえるらしい。でも、ボクはコインがほしくて、使わなかったのであった。

 ラスト、すべてのエンド・クレジットが終わった後に、スクリーンに「最終問題」が出るので、途中で席を立たないように。まだ見ている人にも迷惑をかけるし。


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