日本語字幕:手書き、下/翻訳:菊地浩司/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米PG-13)
窃盗罪で服役中のダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)が仮釈放で出所した。彼は出所するとすぐ相棒のラスティ(ブラッド・ピット)のところに行き、ラスベガスから1億5千万ドルの強奪計画があることをうち明けた。ラスティはそれを実行するには、少なくとも11人は必要だと言う……。
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フランク・シナトラ一家(フランク・シナトラと愉快な仲間たち)で作った「オーシャンと11人の仲間(Osean's Eleven・1960・米)」の現代版リメイク。 一言で言えば「二兎を追うもの、二兎を得る」というお話。こんなうまい話あるはずないじゃん。だからって、こう言ってしまえば身も蓋もない。それでおしまい。楽しむなら、この不景気な時代に捧げる大人の童話ってやつと受け入れましょう。 これが許せてしまうのは、ひとえにジョージ・クルーニーと相棒を演じるブラッド・ピットの魅力ゆえ。あんなにがんばって、気持ちよさそうにやっているのに、口をはさんで水を差すことはないっていう。 ただ、ほとんどオール・スター・キャストのように豪華な顔揃えなのに、印象として残るのは、主役の二人、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピット、そして憎たらしいカジノ・オーナー役のアンディ・ガルシアだけが目立っているだけで、あとは誰でも一緒という構成。つまり、分かれた前の妻がジュリア・ロバーツでなくてもいいし、詐欺師二世でスリのライナスはマット・デイモンである必要もない。爆弾の専門家が「ソードフィッシュ(Swordfish・2001・米)」のドン・チードルでなくてもいいし、ライバル・カジノのオーナーが太って誰だかわからなくなった「ロング・グッドバイ(The Long Goodbye・1973・米)」のエリオット・グールドでなくてもいい。もちろん、ラスベガスで開催されるボクシングの試合に、本物のチャンプ、レノックス・ルイスとウラジミール・クリシュコが登場しなくてもいいのだ。しかも、一瞬写る客席に、ゲストとして性格俳優のヘンリー・シルバやあんよのアンジー・ディッキンソンがわざわざ盛装して紛れているのだ。ボクはもう忘れてしまったが、この2人、オリジナルの「オーシャンと11人の仲間」に結構重要な役で出ているらしい。 せめてそれぞれに見せ場があるならわかるが、それぞれ写り方や重要度は大部屋俳優と変わらないのだ。なんと贅沢な映画なんだろう。しかも、みんなソダーバーグ監督の作品に出たくて、破格の安値で出演したというのだからただごとではない。うーん、ボクには理解できない世界。そんなにこの監督スゴイかなあ(ファンの人、ごめんなさい)。 現金強奪作戦は「ミッション:インポッシブル(Mission : Impossible・1996・米)」と「交渉人(The Negotiator・1998・米)」お混ぜたような仕掛けで、とても面白いし、納得できる。しかし、もう1匹のウサギはどうだろう。描かれているたった1つのきっかけで、愛まで簡単に取り戻せるだろうか。むしろこちらのウサギは最初からないか、別なエンディングの方が良かったなあ、ボクは。 公開2日目の2回目、40分前ですでに80〜90人の長蛇の列。しまった、こっちの方が人気があったか。ほとんど20代前半で、昔はよく映画を見る年代といわれた層。しかもカップルが多い。うーん、「WASABI」と好対照。「地獄の黙示録」とも好対照。 前回が終了して場内にはいると、1,288席の9割が10分ほどで埋まってしまった。スゴイ人気だ。やっぱりブラピだろうなあ。10席×5列×左右の指定席もほぼすべて埋まったし、ぴあ席の10席×左右も7割が埋まったから、久々のヒットの予感……。最終的に全席が埋まってしまった。 カップルが多かったので、当然男女比は半々。老若比は20代前半とそれ以降で分けると、7対3と圧倒的に若い人が多かった。オリジナル版から40年もたつと、それを劇場で見た人というのは老人しかいないわけで、ちょっとつらいか。もちろんボクはTVで見た。それも、もう忘れてしまったほどかなり昔。ビデオかDVDで見直してみたい。 |