日本語字幕:写植、下/翻訳:根本理恵/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
韓国人の犯罪者を日本から韓国へ護送した若手刑事の早瀬(長瀬智也)は、帰国の飛行機に遅刻して乗り遅れ、偶然、銀行強盗に遭遇する。思わず犯人たちを追った早瀬は、もみ合いとなって1人を射殺してしまったうえ、もう1人を逃がしてしまう。唯一犯人の顔を見ている早瀬は、特別措置によって72時間の滞在が認められ、ソウル市警に協力することになるが、ことごとくキム部長刑事(チェ・ミンス)と衝突する。
|
サッカー・ワールド・カップが日韓共催ということで、何かと協力ムードで盛り上がっている二国関係。TVや映画の分野でも共作が多くなっている。その1つが本作。とにかく交流をしないことには相手を知ることはできないのだから、こういう企画はとっても良いと思う。 そしてなかなか面白い。流行に乗っただけというより、かなり挑戦的な作品でもある。なにしろ、撮影は全て韓国、出演者も日本人は主役の長瀬智也ひとりで、あとは全て韓国人というのだから。 韓国は最近、映画撮影のためなら、警察官が立ち会うという条件で、実銃(ステージガン)の使用を認めている。香港が実銃を使い出してからアクション映画が面白くなり、他のジャンルの作品にまでそれが影響を及ぼして、全体のボトムアップになったように(それとも偶然の一致か?)。韓国も実銃を使うようになってから、特に良くなってきた。実は日本もかつては警察官が立ち会えば実銃が使えたのだが……この話をすると長くなるのでやめておく。 とにかく長瀬がいい。ひょっとしたらホントは銃マニアなのではないかと思えるほど、銃の扱いがうまい。様になっている。しかも、韓国では外国人の銃器所持が認められていないとして、銃をキム部長に取り上げられるから、銃を持つシーンは少ないというのに印象に残るのだからスゴイ。 彼は銃を持つ時、撃とうが撃つまいが、人差し指をピンと伸ばして、絶対にトリガー(引き金)に指をかけないのだ。こうすることで、人為的なミスによる暴発が防げる。警官や兵士といった銃を使うプロは、ほぼ100%こうしている。ニュース報道でぜひともチェックしてほしい。 国民皆兵で兵役のある韓国では誰でもが軍隊を経験しているから、だれでも銃を知っている。それは大スターのチェ・ミンスでさえ例外ではない。だからこそ映画で本物の銃を使うようになったのでもある。本物を知っている観客にウソはつけないと。そのチェ・ミンスでさえ、銃の撃ち方はめちゃくちゃうまいけれど、時々トリガーに人差し指がかかっていたりするのだ。 長瀬、恐るべし。映画初主演にして大スターのチェ・ミンスを超えた。 公開2週目の初回、2週目だから混まないだろうと40分前くらいに着いたら、誰もいない。えっ、30分前くらいには開場するだろうに、誰もいない? 予想どおり30分前に開場した時点で、待っていた人はボクも含めてたった5人。20代中ほどの若い女性2人に、50代くらいの夫婦……うーん、なぜだ。 新宿の劇場は指定席がなく、気分良く中央やや左に座ったが、なかなか人が増えない。20分前でどうにか12人といったところ。アイドルが出ている日本映画で、若い女性が少ないとはどうしたことだろう。韓国が舞台ということでか、中高年の夫婦が目立つ。 アメリカのアカデミー賞シーズンという時期も悪かったのかもしれない。若い子は映画にかけられるお金をそんなに持っていない。おのずと作品が絞られるわけだ。アンケートでも料金が安ければもっと見ると答えている。 そして長瀬と浜崎の交際宣言も大きな影響があったはずだ。若い女の子が来てないのだから。 なかなかいい映画なのに、この入りは悲しい。ビデオ(DVD)になったときにヒットするのかもしれないが、やっぱり映画は劇場で見てなんぼのモンでしょ。 |