日本語字幕:手書き、下/稲田瑳裕里/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
(米R指定)
アメリカ・シアトルで数年前からシングル・マザーばかりを狙った連続殺害放火事件が起きていた。犯人は「トーチ(放火魔、ジャン=クロード・ヴァン・ダム)」と名付けられジェイク刑事(マイケル・ルーカー)は3年間彼を追っていたが、限界を感じ警察を辞める決心をした。そこへ謎の男たちが現れ、トーチを捕まえたかったらついてこいと言う。
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香港からハリウッドへ進出したリンゴ・ラム監督作品。この監督、過去にジャッキー・チェンの1人2役「ツイン・ドラゴン(雙龍會・1992・香)」を撮っているから、つくづく1人2役が好きなのだろう。今回はジャン=クロード・ヴァン・ダムが1人2役。そういえばジャン=クロード・ヴァン・ダムも過去に「ダブル・インパクト(Double Impact・1991・米)」という1人2役映画に出ていたっけ。しかもリンゴ・ラム監督のハリウッド進出第1作めがジャン=クロード・ヴァン・ダム主演の「マキシマム・リスク(Maximum Risk・1996・米)」で、これも双子という設定……。 長い下積みを経てようやく得たスターの座にすっかり舞い上がってしまったジャン=クロード・ヴァン・ダムは、私生活が乱れて大変だったらしく、本作が復活作となるかなどと言われていた。このネタ、FOXチャンネルで放送されていたので、見た人も多いはず。役者としては善と悪を演じ分けられるばかりか、クローンでいきなり大人として誕生することになる不確かさと苦悩も演じられると。しかも相手役が名脇役、シブ演技のマイケル・ルーカーとくれば不足なしどころか、嬉しかったに違いない。ドラマに真実みと重さが加わる。 が、しかし、その重さというか真剣さが、かえってあだになっている。それとクローンで犯人そっくりの人間をいとも簡単に作ってしまうSF的な部分がなじまないのだ。むしろこのキャストでやるなら、双子の方がまだ説得力があったろうし、兄弟の善と悪の葛藤もしっかりしたドラマになったのではないだろうか。せっかくの名優が、ただの猛獣使いみたいになってるもんなあ。 もうひとついけないのは、肉体派が売りのジャン=クロード・ヴァン・ダムだったくせに、多くのアクション・シーンでダブル(吹き替え)を使うのはいただけない。かなり前からそうだったらしいが、本作ではそれが多くなっており、大きなスクリーンだと本人でないことがすぐわかる。体が動かなくなったのか、それともやっぱり大スター気取りなのか。どっちにしろ、これは問題でしょう。 公開初日の初回、30分ほど前に着いたらさすがに自分1人。それでも、開場した25分前にはオヤジばかり5〜6人にはなったが。 最終的には、銀座の144席のマイクロ・シアターに4割ほどの入り。半数が中年で、1/4が20代、1/4が老。オバサンも含む女性は2〜3人。 それにしても、他に話題作が何本が公開になるというのに、あえてこのマイクロ劇場で、あえて初日の初回にヴァン・ダムを見に来る人って一体(ボクもそうだが)……。かなりの映画好きか。 初日プレゼントがあって、高木ブーのCMでおなじみのゼリー・ドリンク「ヴァーム」をもらった。ジャン=クロード・ヴァン・ダムなら当然「運動で体脂肪を燃やす」ってことですね。 |