日本語字幕:手書き、下/戸田奈津子/シネスコ・サイズ(ARRIのマスク)/ドルビーデジタル・dts・SDDS(表記はなかったがドルビーEXもあり)
(ニュージーランドM指定、米PG-13指定、日本指定なし)
かつて全世界を征服しようとしたサウロンによって作られた、悪を具現するパワーを持った指輪(リング)は、戦いの中で持ち主を変え、やがて長い時間の後ホビット族のビルボ(イアン・ホルム)の手に渡った。そしてビルボの111歳の誕生日の日、ビルボは隠居生活を送るため指輪をいとこのフロド(イライジャ・ウッド)に託す。友人の魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)は、非常に危険な指輪なので、破壊しなければならないし決して指にはめてはいけないと言う。フロドは指輪を葬るため、果てしない試練の旅に出ることにする。
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ゲームのRPGがそのまま実写の映画になったという感じ。エルフ、魔法使い、ドワーフ、オーグ、ホビット、ミスリル、地下に広がるダンジョン、魔法使いの塔……といったゲーマーには聞き慣れた言葉がバンバン登場する。こういう映画こそ、日本のRPGゲーム・クリエイターが作りたかったものだろう。ゲーム性こそないものの、これは中世をイメージしたRPG的冒険談だ。 しかも壮大なストーリーで、およそ3時間かけても全体の1/3しか描けず、3部作で完結するのだそうである。そのためか、多少ドラマ部分はカットされ、ストーリーを追うのに精一杯という感じがしないでもない。 うまくできているのは、ちゃんとラストに感動の場面を持ってきていること。話としては次に続くなのに、しっかり盛り上がって終わる。この辺が「ハリポタ」とは違う部分。「ハリポタ」は原作に忠実にしようとしたあまり、映画としては「いかがなものか」に仕上がっていた。原作を読んでいない人には、ちょっと気を失いかける場面も……。 本作は、ほとんどジェットコースター・ムービーのように、次から次へと事件が起きる。まさにR.P.G.そのまま。息を抜ける部分も作られてはいるが、それとてせわしない。もどかしがるように、次の冒険へと踏み出していく。 CGも素晴らしいが、それを上回るのは撮影場所となったニュージーランドの大自然。本当に美しい。たぶんニュージーランドでなければ取れなかった風景だろう。まさに設定にピッタリの世界が広がっている。ニュージーランドって不思議な国だなあ。 特殊効果だがCGではない効果で驚かされたのは、ホビットの扱い。設定では彼らは 小人なので、通常の人と並ぶとかなり背が低いのだ。これを1カットで違和感なく見せている。どうやって撮ったのだろう。CGを使った何万にもの群衆シーンもすごいけれど、こういったさりげないところの特殊効果こそ、大切なのではないだろうか。 監督はニュージーランドのピーター・ジャクソンという人。聞いたことがある名前だなあと思ったら、あのおかしくて怖いホラーの傑作「さまよう魂たち(The Frighteners・1996・米)」の監督。これは納得だ。あの映画が撮れれば、本作も撮れるわな。さらにさかのぼれば、超B級ホラー「バッド・テイスト(Bad Taste・1987・ニュージーランド)」や部屋中内臓血まみれ映画「ブレインデッド(Braindead・1992・ニュージーランド)」を撮った人。あのB級の人が、このA級を撮るかという感慨は確かにある。人は日々進歩する、成長するって証だな。恐るべしピーター・ジャクソン、恐るべしニュージーランド。 公開初日の2回め(字幕版の初回)、ドルビーEX上映だからと銀座のはずれの劇場へ。65分前についたらロビーには15組くらいのカップルが。当然、男女比は半々、年齢的には20代くらいの若い人が多い。 35分前、30人以上になり、中高年が増えだした。前回終了10分前に整列させられて、どうにか混乱は避けられた。ロビーがいっぱいになりつつあり、危ないところだった。 2回目は指定席があって、10席×5列の左と、右の10席×4列+ぴあ10席×1列。最終的には銀座のゆったりした435席に6割の入りは、この映画の話題度からいくと意外な感じ。なぜ空いているのだ。指定にも4〜5人で、ぴあにも4〜5人。うーん、寂しい。 男女比は4.5対5.5でやや女性の方が多く、年齢層は下は中学生くらいから上は白髪の老人まで、とても幅広い。日本語吹き替え版もあることを考えると、小学生も見ているのかもしれない。ただ、R.P.G.というゲームをしたことがない子供には難しい内容かもしれない。残酷なシーンもわずかだがある。親の判断と言うことになると思う。 それにしても、ピンがあまいのには困った。画面下方がボケているので字幕が非常に読みにくい。ところが、1時間半ほどで映写機が切り替わったらしく、急にピントが合った。よかったなあと安心していると、ラスト近くにまた映写機が元に戻ったらしく、再びピンあまに。一体、映写技師は何をしているんだろうか。プライドってものはないんだろうか。初日からこれだもんなあ。 |