2002年3月3日(日)「モンスターズ・インク」

MONSTERS, INC・2001・米・1時間32分

日本語字幕:手書き、下/石田泰子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル・dts・(SDDS表記はなかったがドルビーEX 6.1もあり)

http://www.disney.co.jp/

モンスターの世界では、電力エネルギーを子供の悲鳴のパワーに頼っていた。部屋のクローゼットを怖がる幼い子供を怖がらせてはエネルギーを採取する専門の会社「モンスターズ・インク」の社員、サリー(声:ジョン・グッドマン)とマイク(声:ビリー・クリスタル)は悲鳴採取の成績がトップの、ベスト・コンビだった。ところがある日、モンスターにとっては致命的な危険性を持つ人間の子供が、モンスター世界に紛れ込んで来たことから大騒ぎとなり、2人はその子を助ける羽目に陥ってしまう。

78点

1つ前へ一覧へ次へ
 とにかくブーと名付けられた女の子がかわいい。モンスターたちも怖そうでいて愛らしいという絶妙のバランスを保ったキャラクターで、クリエーターたちの才能を感じる。これらキャラクターの成否にこの映画の成否がかかっていたのではないだろうか。つまり、キャラクターが成功した時点で、この映画は成功していたのだと。

 キャラクターの自然な形状と動き、表情、本物かと見まごうばかりのリアルな毛……。もはや3D-CGを見ているという感覚はない。普通のアニメを見ている自然さ。それぞれのキャラクターに血が通って見えるから、魂があるように見えるから、観客は感動するのだろう。まさにアニメ(アニメート)の意味「生命を与える、いきいきとさせる」どおりのことをやってのけたと。さすが「トイストーリー1・2」を作ったスタッフ。

 ストーリーは単純だが感動的。ステレオタイプの悪役も、アニメだったら許せるという、アニメを知り尽くしたうまい構成。あやうく涙を流すところだった。どうにかこらええたが。大人が見ても、もちろんおもしろい。

 英語版は声の担当も豪華。これは最近の流行だから、当然の成り行きではあるのだろうが。脅し屋サリーに、ジョン「ブルース・ブラザース2000」グッドマン。相棒のマイク・ワゾウスキにビリー「アナライズ・ミー」クリスタル。モンスターズ・インク社長にジェームズ「ペイバック」コバーン、トップの座を狙う野心家のランドールにスティーブ「ファーゴ」ブシェーミ、マイク・ワゾウスキの恋人セリアにジェニファー「コード」ティリーといった面々。それだけでも素晴らしい。

 タイトルの手書き風イラストが、昔のロマンチック・コメディ風で期待を盛り上げてくれる。そしてネタとして、日本料理店(寿司屋?)が出てくるのも笑える。モンスターまでもが日本料理店へ行くなんて。アメリカのビジネスマンはよく行くということか。まさかテーブルをひっくり返すのは星飛馬の父のパロディってことはないよなあ。ハリーハウゼンなんてセリフも聞こえたけど、日本語版ではどうなっているんだろ。

 オリジナルはドルビーEX6.1もあり、この劇場がどうだったのかはわからないが、セリフが右の側方から聞こえたり左後ろから聞こえたり、サラウンド効果は抜群。できればデジタル上映で見たかった気がする。

 公開2日目の字幕版1回目(1、2回目は日本語吹き替え版)、65分前に着いたらロビーには高校から大学生くらいのカップルが30人くらい。わずかに小学生を連れたファミリーもいた。

 新宿の劇場は係の人が整列に来ないので、30分くらい前に混み合ってきたので自主的に列を作った。みんなエライ。というか、作らないと後から来た人がどんどん先に行ってしまう。劇場は何をやっているのか。

 20分前に前回が終了して中へ。この時点で新宿の763席は7割の埋まり具合。中央10席×4列+ぴあ10席が指定。小学生も1割くらいいたが、よく見ればほとんど外人さんたち。なるほど、字幕の必要がないわけだ。

 男女比は半々で、圧倒的に若いカップルが多い。あとファミリー以外は中高年といつもの通り。最終的に満席となり、指定席も95%、ぴあ席は10席全て埋まった。熱気でむんむんするほど。おかげでお菓子のゴミやジュースのカップなど山のように出ていた。

 本編上映前に、3D-CGの毛皮や羽の表現のために実験的に作られたという短編「For The Birds(3分・2000・米)」の上映あり。なんか得した気分。言葉がないので、字幕もなし。でも結構笑える。そして、羽がとってもリアル。これがサリーの毛になったわけだ。

 最後のエンド・ロールでは、お約束のNG集付き。わざわざNGを作っているところがまたスゴイ。これも笑える。こんなアットホームな雰囲気で3D-CGが作られているわけではないんだろうけれど。

 最後に一言。あのモンスターの世界にあるドアって、どこでもドアってこと?


1つ前へ一覧へ次へ