日本語字幕:手書き、縦/水野衛子/ビスタ・サイズ/ドルビーデジタル
昔々の中国、武林を制覇しようとする邪悪な魔魁(モークイ)に対してあらゆる流派の共同軍が力を合わせて戦った。その結果、魔魁を滅ぼすことはできなかったが、六道輪廻に封じ込めることには成功した。しばらくして、非善類(ヒセンルイ)という謎の一族が、魔魁を復活させようと暗躍を始めた。
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スゴイ、すごい、人形アニメーション。時代劇風なのにSFチックな所もいいし、きわめて人間くさいドラマも、人形アニメとしてはOKという感じ。ただ、表情のない人形のアップはちょっと辛いし、登場人物すべてが1人の人の声らしいのもNG。ということは、日曜の朝1回目だけという日本語吹き替え版の方がグッドかも。 もともと外国語というのは聞き慣れず、違う人の声でも同じに聞こえたりするもの。それが中学で習う英語ではなく、より耳慣れない中国語だとなおのこと。もし、これが日本語だったら、1人の声でもいろんな人の声に聞こえたのだろうが、いかんせん1人の声にしか聞こえない。その上、登場人物の名が覚えられないものだから、もはやそれはカオスの渦!! というわけ。台湾では、ちゃんと役柄ごとの声に聞こえ、違和感はあまりなかったのだろうけれど。 特に女性の声がダメだ。ボクの貧困な想像力をフル稼働させても、女性の声はオカマにしか聞こえなかった。おそらくはヒロインだろう女性のセリフが、まじめであればあるほど滑稽で、笑えてしようがなかった。 声が1人であることを別にすれば、これは楽しめる冒険活劇で、香港や台湾に良くある冒険奇譚でもある。ゲーム的に言えばR.P.G.でもあって、それを人形でやったところがスゴイのだ。生きた人間でやれば、面白いものにはなっただろうが、ありふれたものになっていただろう。 実写ではすでにツイ・ハークの「蜀山奇傳・天空の剣(蜀山:新蜀山剣侠・1984・香)」がある。というか、これによく似ている。未見の方にはぜひともお勧めしておきたい。比べてみると、いっそう楽しめると思う。 前にも書いたが、人形がつらいのは表情がないのでアップの効果が薄いことと、動作(所作)が決まらず流れてしまうことだろう。やはり京劇の流れを汲むアクションは、一定のところで動きがピシッと止まって決まらなければならない。さらに言うと、流れると画面上での認識が非常に悪くなり、何が行われているのかわからなくなるのだ。 ただ、従来の人形劇では使われなかった手法もどんどん取り入れられており、本物の炎、水、爆破、そして実写風景が登場する。これに加えてCG、血糊、汗などの演出効果が加わって、より生っぽい雰囲気に仕上げられている。火傷で骸骨のような顔になった剣上卿など、リアルすぎて怖いくらい。これからもわかるように、人形劇とは言いながら、決して子供向けではない。ある意味、アジア的世界観に「サンダーバード」を融合させたとも言えるかもしれない。 人形は、系としては、NHK人形劇「三国志」の川本喜八郎デザイン系ではないだろうか。印象が似ている。そのためか、日本人にも違和感がなく、すんなりファンタジーの世界に入っていける。ただ、京劇の流れを汲んでか、目張りが入れられているが。 音響的には、オリジナルはドルビー・デジタル(吹き替えはSR)ながら、あまりサラウンド感はない。ただ、やはりクリアなのでセリフは聞きやすい。 公開初日の初回、50分前に着いたらすでに5人。オジサン2人、オバサン1人、若人2人。45分前に10人に増えて、25分前開場した時には20人くらいになっていた。老若比はだいたい半々で、女性は5〜6人というところ。 初日プレゼントがあり、先着30人にフィルム・ストリップ(5コマ)がもらえた。これはラッキー。ただ、映画の関係者らしきグループがまたいたのにはガッカリ。まとまってくるのはやめてほしい。業界挨拶やら、観客を観察している感じがうっとおしく、興ざめしてしまう。来るなら1人か2人がくれば十分なはずだし、回をずらすとか、日にちをずらせばいいのだ。映画館の場内に、映画を見る目的以外の人がいるというのは、気分のいいものではない。 最終的に224席の4割ほどが埋まっただけ。ちょっと寂しい。老若比は変わらず、女性が増え若い人を中心に1/3ほどに。 |