2002年4月6日(土)「D-TOX」

D-TOX・2002・米・1時間36分

日本語字幕:写植、下・戸田奈津子/シネスコ・サイズ(レンズ)/ドルビー・dts・SDDS
(米R指定)

http://www.uipjapan.com

FBI捜査官のマロイ(シルベスター・スタローン)は、ずっと追っている連続警察官殺しの犯人の手がかりをつかめずに焦っていたとき、知り合いの警察官を惨殺され、あげくに婚約者までをも同様の手口で殺害される。さらに、その犯人を追いつめる途中で、あやまって人質のSWAT隊員を射殺してしまう。マロイの精神的なダメージは大きく、捜査を続けるどころかとても日常生活も遅れないような状態になってしまう。友人の薦めに従って、ロッキー山中にある警官専門の更生施設に入所するが……。

72点

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 何回も書いているが、もうスタローンは多分スターとしては終わりの域に達してしまったのではないだろうか。カリスマ的な魅力は失われ、どうやってもB級テイストが離れなくなってしまった。

 脚本もよくある密室もので、そして誰もいなくなった、って具合で、犯人は誰だと。前振りのマロイが入所する過程は何か付け足し的な感じがするし、メインの部分は「遊星からの物体X(The Thing・1982・米)」にもあるありふれたパターン。これを使うなら、何か新しい手法を盛り込まないと、辛いと思う。入所しているのが全員警官というのは、ちょっと新しいが、ストーリー的に警官である必要はなく、それが活かされていない。

 それでも、ちょっとハラハラさせられるし、怖い感じが漂うのだが、何かB級テイスト。特に導入部分の猟奇殺人事件の捜査に当たるあたりがよろしくない。いくつものスタローンの刑事物の(いや、あらゆる刑事物のと言うべきか)悪いところの集大成といった感じで。猟奇表現で怖さを出すつもりだったのだろうが、これが後半で生かされておらず、しかもラストになってもその理由が明らかにされないから、この導入は無意味に近い。単なる怖がらせ。なくてもいいのではないだろうか。そのほうが、派手さはなくなるが、舞台の心理劇みたいになって良かったのではないだろうか。最初から隔離された建物の中で話が進めば、閉塞感も出ていただろうに。

 監督は、ジェニファー・ラブ・ヒューイットやサラ・ミシェル・ゲラーという美女が注目を浴びたホラー「ラストサマー(I Know What You Did Last Summer・1997・米)」のジム・ギレスビー。本作が劇場2作目というのは、どうしたのだろう。というか、この出来だと、次も間があくことになるだろう。

 結局のところ、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」でアカデミー撮影所を獲得したディーン・セムラー、「セブン」や「8mm」のプロダクション・デザイナーのゲイリー・ウィスナー、「マーキュリー・ライジング」の脚本を手がけたロン・L・ブリンカーホフ、「プラトーン」のトム・ベレンジャー、「ニック・オブ・タイム」のチャールズ・S・ダットン、「ブレイド」のクリス・クリストファーソン、「処刑人」のショーン・バトリック・フラナリー、「ターミネーター2」のロバート・パトリック……といった有名人がたくさん出ても、傑作は簡単には作れないということだろうなあ。


 公開初日の2回目、30分前に着いたらロビーには17〜18人の人。うち女性は5人で、ほぼ全員中年以上。男性は若い人が多かった。もう中高年の人たちには、スタローン作品に対する期待がなくなってしまったのかも。これ、ヤバイっす。イメージが確定してしまうわけで。

 5分前になってオヤジが増えだし、老若比は4対6でまで挽回。というか、中高以上はほとんどが高。白髪が目立つ。オヤジの1/3は白髪。

 最終的に指定席なしの360席は1/3弱しか埋まらなかった。これはちょっとつらい。

 それにしても、中央部分が円形にピンボケというのはどうしたことだろうか。最初から最後までなので、映写機前のガラスか。レンズがいけないのか、単なる映写技師の怠慢か。ストレスがたまる。


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