日本語字幕:手書き、下・太田直子/ビスタ・サイズ(MOVIECAM)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(仏12、西13、米PG-13指定)
第2次世界大戦が終わった直後の1945年、フランスに最も近いイギリスのチャネル諸島ジャージー島に住むグレース(ニコール・キッドマン)は悲鳴を上げ目覚めた。彼女は日光アレルギーに苦しむ娘のアン(アラキナ・マン)と同じく息子のニコラス(ジェームズ・ベントレー)と、大きなお城のような屋敷に3人で暮らしていた。悲鳴の原因は自分でもわからなかったが、使用人がある日突然全員消えて、それ以来、何か他の存在を感じるようになってしまっていたのは確かだった。そして、翌日、求人広告を出してもいないのに、3人の男女が使って欲しいと言ってやってきた。
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怖い。正統派の怖がらせ方で怖い。スプラッターなどではなく、サスペンスで怖い。ちょっと音のおどかしはあるものの、ほとんどは心理的な怖さ。だからジワーッと、あとあとまでも怖い。特に家で一人の時、深夜にこの話を思い出すとヤバイ。それほど怖い。 詳しく書いていくと、どうしてもストーリーに触れなければならず、しかし、この映画はストーリーこそがキモであって、先に知ってしまうと興味が半減するので、それはできない。あえて1つだけ書くと、入場前にポスターをよく見ていたら、奇妙なことに気が付いたのだ。それが何を意味するのか、その時はわからなかったが、見終わった今そういうことかと想像はできる。 そのポスターは真ん中にニコール・キッドマンが持つランプがあって、ニコール・キッドマンの顔はその右にある。彼女の顔は半分しか見えていないのだが、よく見てみると、美しい青い瞳の上の眉が普通ではない。何が普通でないかというと、毛の生え方が逆なのだ。顔の外側から鼻の方に向かって生えている。こんな眉はない。 ここから先はストーリーにも関わってくるので、劇場で見ようと言う人は読まない方がいい。 ヒッチコック風という人もいるが、ボクは違う気がする。確かにヒッチコック風に撮っているカットもあるが、ズバリ言えば「シックス・センス(The Sixth Sense・1999・米)」の方が似ている(1999年にボクは74点を付けたが、点数は年ごとに付けているので、この77点とは比較するのは意味がないのでのため。自分としてはほぼ同位か)。ヒッチ・コックは常に現実に潜む恐怖を描いてきたのであって、心霊現象の怖さなどは描いていない。「鳥(The Birds・1963・米)」は異常現象ではあるがベースは現実でありこの世に存在しないものは描いていないし、「レベッカ(Rebecca・1940・米)」も霊の影を感じさせるが霊は描いていない。 結局、これもどこからが現実で、どこからが非現実なのか、そういうお話になるのかもしれない。夢と置き換えても良いかもしれない。そしてそれは視点の違いとも言える。一体、夢と現実の境は。もしそれが間違っていたら……。 ただ、訳のわからない話が延々続き、ストレスがたまるのも事実。限界ギリギリで謎が解け。どうにか息が継げるという感じ。このへんはいかがなものか。 それにしても、ニコール・キッドマンは熱演。しつけの厳しい、そして夫を失った妻の弱さを、実によく演じていたと思う。ある種の冷たさや、切れる寸前の雰囲気が素晴らしい。まさに役にピッタリ。 監督のアレハンドロ・アメナバールは製作総指揮のトム・クルーズが気に入って脚本・監督に抜擢されたわけだが、なんと弱冠30歳。この実力は驚くしかない。恐るべき30歳だ。トム・クルーズが主演してリメイクした「ヴァニラ・スカイ(Vanilla Sky・2001・米)」の元になったのが「オープン・ユア・アイズ(Abre Los Ojos・1997・西)」。ボクはTVで監督3作目(長編としては第1作)の「次に私が殺される(Tesis・1996・西)」を見ただけだが、なかなか怖かった。劇場で見たら、どれほど怖かったことか。さすがに才能があふれている感じだ。ほとんどの作品で脚本と音楽まで担当している。ある意味スペインのジョン・カーペンターか。 音は非常に大切に作られている。超常現象ともつながるので、それを再現するため、観客の頭上をリアルに移動するように設計されている。これはぜひともデジタル館で見たい。アナログ館ではここまでリアルに再現できないと思う。 公開初日の初回、用心して55分前に新宿の中劇場へ行ったら、並んでいたのはたったの3人。あれれ、こんなもんなの。いずれも20代後半と思しき男性。45分前になって8人ほどに。30代後半まで年齢層は広がったものの、全員男。ホラーは女性の方に人気があるのが普通なのに……ニコール・キッドマンって同姓に嫌われているのか? 35分前になって13人。ようやく女性が3人来た。20代の女性は1人で、あと2人はもっと高め。30分前に開場して、次第に若い女性が増えだした。 最終的には、指定席なしの400席に6割ほどの入り。老若比は6対4でやや中高年の方が多く、女性は全体の1/4程度。 |