2002年5月12日(日)「スパイダー」

ALONG CAME A SPIDER・2001・米/独/日・1時間43分

日本語字幕:手書き、下・清水 馨/シネスコ・サイズ(レンズ、PANAVISION)/ドルビー・dts
(米R指定)

http://spider.eigafan.com/
(米国版どおりなのだろうが、最初のムービーがスキップできないのはつらい)

ワシントンDCにある良家の子女が通う小学校から、上院議員の娘ミーガン(ミカ・ブーレム)が誘拐された。ワシントン市警の犯罪心理捜査官アレックス・クロス(モーガン・フリーマン)は、小学校の警備を担当していたシークレット・サービスの責任者ジェジー(モニカ・ポッター)と協力して捜査に当たることになる。

77点

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 ボクは面白かったが、これを安直、強引な事件展開と見る向きもあるだろう。その辺が評価のポイントとなる気がする。

 前作があって、その続編ということで定石通りの事件が発生し、予想どおりアレックス・クロスが登場し、事件の謎に迫っていく。この辺は安心して見ていられる。予定調和といってもいい。しかし、後半にさしかかる頃、事件は二転三転と意外な展開を見せる。それがテンポよく起こるので、先を読ませない。これがリー・タマホリ監督の手腕だろう。全体にハラハラドキドキもうまく、観客を飽きさせない。さすが「ザ・ワイルド(The Edge・1997・米)」の監督だけのことはある。

 ただ、アレックス・クロスの真骨頂たる犯罪心理分析がほとんどなく、これで犯罪心理捜査官かという不満がないことはない。主役に前作通りアレックス・クロスを据えただけで、物語自体はまったく別の借り物といった感じ。ビデオに映った間違い探しのような映像から違いを見つけたところで、それは注意深いだけで心理分析でもなんでもないだろうと。犯人はアレックス・クロスに挑戦してくるが、彼がいなくてもこの話は十分成立する。それって、いいの?。

 特筆すべきは、シークレット・サービスの責任者ジェジーを演じるモニカ・ポッターの美しさだろう。無垢な美しさ。これが出ていなかったら、この映画は失敗してしまう、それほど重要な部分なのだ、たぶん。

 ということで、映画としては面白いが、アレックス・クロスものとしてはどうか。

 設定で、GIF画像にメッセージを埋め込んで、隠れてメッセージのやりとりをするという方法が紹介されているが、初耳だったので驚いた。そんなことができるんだ。上院議員の娘ミーガンの、そのメル友のロシア大統領の息子というのがアップルのコンピューターを使っているのが面白い。

 細かいことだが、市警のアレックス・クロスは黒のポルシェを乗り回し、おそらくSIGザウエルのP226シルバー・モデルをショルダー・ホルスターに入れて携帯している。一方、シークレット・サービスのジェジーは責任を取らされてクビになり、S&Wオート(どのモデルかわからなかった)をヒップ・ホルスターに入れて携帯している。この対比。

 現在、FBIでは誤操作による発砲で味方や自分を撃たないよう、ショルダー・ホルスターの使用を禁じているという。それはTVドラマの「Xファイル」のモルダーとスカリーを見てもわかる。2人とも最初からヒップ・ホルスターだった。シークレット・サービスは進んでいて、市警などは保守的ということか。もちろん価格的にショルダー・ホルスターの方が高価で、そこを強調したかったのかもしれないが。

 タイトルの文字の出し方がうまいなあ、と思っていたら、デザインはやっぱり「イマジナリー・フォース」。クモの糸にぶら下がったアルファベットが降りてくると、他の文字も現れて名前になる。うまい。

 公開2日目の50分前、銀座の劇場には誰も並んでいなかった。35分前に開場したときでようやく15〜16人。みな中高年で、男女比はほぼ半々。次第に若い人も増えだしたが、ほとんど20代後半。地味といえば地味な映画なのかも。

 初回のみ全席自由だったが、最終的に756席の3割ほどしか埋まらなかった。



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