日本語字幕:手書き、下・菊地浩司/シネスコ・サイズ/ドルビー・dts・SDDS
この宇宙は多次元からなっていて、自分が125人いるという。そしてその1人がいなくなるごとに残りの自分たちの力が強くなることに気づいたユーロウ(ジェット・リー)は、自分以外の124人を殺して、自分が最強になるため、禁じられている次元移動をする。多次元宇宙捜査局は2人の捜査官、ローデッカー(デルロイ・リンド)とファンチ(ジェイソン・ステータム)を派遣する。 |
香港テイストのハリウッド映画。大予算と高度なテクニック、そしてその使いどころを心得た演出で、一歩間違うとB級SFになるところをギリギリA級に留めたという感じのアクションSF大作。なかなかおもしろい。ときどきB級も顔を出すが、またそれもご愛敬ということで。 かなり「マトリックス(Matrix・1999・米)」を意識してアクションを構成しているようだが、あれはストーリーの必要上ああいうアクションになったわけで、単に面白く見せようとしてあの表現が生まれたわけではない。そこで、本作でも必然は用意されている。1つの多次元宇宙の自分を殺すごとに能力が上がり強くなっていくという設定がそれ。一般人より動きが速くなってくるから、回りがスローモーションに見えてしまうというわけだ。ただの物まねではなく、ちゃんと設定に取り込んで自家薬籠中のものとしている。だから面白いわけだが。 これによって、回りの人間の動きがスローモーションになるのに、自分の動きだけが速いという奇妙な映像が誕生することになる。次第にその格差は大きくなり、しまいには銃弾を払えるようにまでなる。つまり「マトリックス」ね。 監督・脚本はアジア系アメリカ人のジェームズ・ウォング。「ファイナル・デスティネーション」を初監督した人。これまでに「Xファイル」や「ミレニアム」といったFAXの人気ミステリーシリーズの脚本を手がけてきただけのことはある。このジェームズ・ウォングにジェット・リーが絡むと、香港テイストに仕上がるのだろう。 ヒロインは「スパイ・キッズ」の素敵なおかあさんを演じたカーラ・グジーノ。怪しげな魅力を振りまき、どの次元でもジェット・リーを助けるのだが、キスはしない。というか印象に残らない。ひょっとしてアジア人とは……なんていう見方は偏見? 気になったのは、いい方のジェット・リーが逃げるとき、どうして悪い方のジェット・リーと間違えられやすい黒い服装をするのかということ。どう見ても間違えてくれといっているとしか思えない。 すばらしい格闘シーンの殺陣を付けたのは、コリー・ユーエン(ユン)という人。「D&D/完全黙秘 」からずっとジェット・リー作品を手掛けている。今やハリウッドの格闘シーンは、香港パワーで新境地を開拓しているのだ。うーん、日本にもがんばってほしい。 上映2日目の初回、劇場がアナログ・サウンド館からデジタル・サウンド館に変更になっていて、嬉しい誤算。35分前で5〜6人。老若半々、男女も半々。 30分前に開場し、最終的に指定席無しの420席に5.5割ほどの入り。女性1/3、若者1/3で、結局はオヤジが多くなった。 デジタル・サウンド館だけあってサラウンド感は良好で、とてもクリアな音。スクリーンも明るく大きくて良かった。 |