2002年6月1日(土)「拳神」

拳神 THE AVENGING FIST・2001・香港・1時間37分

日本語字幕:手書き、下・伊原奈津子/シネスコ・サイズ/ドルビーサラウンドEX

http://www.movienet.co.jp/kenshin/
(すべて新しいプラグインでないと動かないかも)

2050年の未来、民間人の武器が禁止されて3年、父を早くになくしたクァン(ワン・リーホン)は、父から教えられた神拳道を受け継ぐファイターだった。双子の姉のベル(クリスティ・ヨン)も父の特殊能力を受け継ぎ、手から熱を発することができた。地下組織で政府の転覆を狙うジン(ロイ・チョン)はその超能力を手に入れるため、部下にベルを誘拐させる。

72点

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 これをパクリと見るか、オマージュと見るか。いや、それともパロディなのか。世界観はほとんど「ブレード・ランナー」で、「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」の空飛ぶボードとか、「マトリックス」とか、思わずニヤッとしてしまう。監督はかなりの映画マニアなのだろう。でも、香港なら未来は本当にこんな街になっているかも。

 とにかくてんこ盛りの内容で、濃いSF、オール・スター・キャストで、観客を楽しませようというサービス精神たっぷり。主役がワン・リーホン、相手役がスティーブン・フォン(「ジェネックスコップス」)とアイドル系で、ワンの父が年齢とともに恰幅の良くなってきたユン・ピョウ(「無問題2」)、その元同僚の刑事にサモ・ハン・キンポー(「蜀山奇傅」)。ちょっとだけ顔を見せるのが若き日のサモ・ハン・キンポーを演じる(無理があるだろというツッコミをよそに)イーキン・チェン(「東京攻略」)というぜいたくさ。見せ場の連続。ただ、やはりCG使いすぎで、せっかくの実写がアニメになってしまっている。「少林サッカー」と同じ。

 カンフーは肉体のぶつかり合いで、それ自体が見る価値のあるものであるはずなのに、そこにまでCGが使われるとせっかくカンフーがとたんに色あせる。これはハリウッドとて同じこと。いくら香港映画より写実的だとはいっても、使いすぎれば作り物感は強まってしまう。いい例が「パール・ハーバー(Pearl Harbor・2001・米)」。せっかくのリアリズムが、あんな現実離れしたカメラ・ワークを使ったために、まるでゲームになってしまっている。あれで戦争の悲惨さが伝わるとは思えない。ただの見せ物、と言ったら言い過ぎだろうか。

 ただ、映画としてはそれほど破綻していない。「少林サッカー」は強引な展開で、雰囲気はOKだが、映画としては破綻しているだろう。

 登場する女性たちが美しいのも特筆すべき点で、主人公のクァンがあこがれるモデルにジジ・リヨン(「君のいた永遠」)、ちょっと范文雀に似た雰囲気の妹ベルにクリスティ・ヨン(「風雲ストームライダーズ」)。2人ともスゴイ美女。一見の価値はあると思う。

 監督は瀬戸朝香が出演したあの感動の「バレット・オブ・ラブ(不死情謎・2001・香)」のアンドリュー・ラウ。ただ、「レジェンド・オブ・ヒーロー」や「風雲ストームライダーズ」のアンドリュー・ラウでもあるが……。

 公開初日の2回め、45分前に着いたらオヤジが1人。30分前になったら30代と思しき女性3人を含んだ若い男性中心に7人ほどに。15分前で前回と入替になった時で、15人ほど。ほとんどは若い男性で、女性は1/3くらい。

 最終的には指定なしの、300席の座席の3割ほどしか埋まらなかった。うーん。

 音は贅沢にも6.1チャンネルのEX。後方が3チャンネルになるので、後方音の位置がハッキリわかる。移動音も方向がハッキリしている。この仕様で映画を作れるところに、好調な香港映画界がうかがえる。

  参考までに、キリンの缶コーヒー「FIRE」が出てました……。


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