日本語字幕:手書き下、松浦美奈/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル・dts
(米PG-13指定)
29年前、第4次中東紛争で撃墜されたジェット戦闘機から脱落した小型の原爆が、ゴラン高原で偶然に発見され、武器商人に売られた。これを入手したネオナチの過激派は、アメリカとロシアを戦わせるために、この原爆を使おうとしていた。 |
モーガン・フリーマンが出ているし、どこと言ってそんなに悪いところはないに、なぜ盛り上がらないのだろう。つまらない印象がしてしまうのだろう。これがいままでのジャック・ライアン・シリーズに加わるのは、どんなものだろう。 一番よく伝わってきたのは、人類滅亡につながるような大きな戦争でさえも、簡単に起こってしまうのが現代だ、ということだ。恐怖の総和(Sum of All fears)がそれを実現してしまうと。このへんはわかるのだが、感情がなかなか伝わってこない。 映画化されたトム・クランシー原作のジャック・ライアン・シリーズは、本作で4本目。最初がショーン・コネリーが良かった「レッド・オクトーバーを追え!(The Hunt for Red October・1990・米)」。監督は「ダイ・ハード(Die Hard・1988・米)」のジョン・マクティアナン。ジャック・ライアンは印象が薄いが、アレック・ボールドウィンが演じた。 続く2作目が、オーストラリア出身のフィリップ・ノイス監督の「パトリオット・ゲーム(Patriot Games・1992・米)」。ここでジャック・ライアンを脂ののりきったハリソン・フォードが演じ、しっかりとした存在感を示した。CIAのジャック・ライアンは、ここで初めて注目され、観客の記憶に残ることになった。 そして3作目、同じフィリップ・ノイスとハリソン・フォードのコンビで「今そこにある危機(Clear and Present Danger・1994・米)」が作られ、これまた大ヒット。しかし、その後が続かなかった。原作小説が続かなかったのか、ハリソン・フォードが老けてしまったのか。60歳だし……。でも、その後に1本だけアクション映画「エアフォース・ワン(Air Force One・1997・米)」に出ているから、少なくとももう1本はやれたはず。ハリウッドはちょっと受ければ3本までは続編を作るから。逆に考えると、「エアフォース……」の話がきたからジャック・ライアンを断ったのかもしれない。 それで白羽の矢が刺さったのが、最近私生活でお騒がせですっかり評判を落としてしまったベン・アフレック。ジャック・ライアンはハリソン・フォードのイメージが強すぎて、やせっぽちで軽い感じのベン・アフレックでは、全く力不足の感が否めない。 それをカバーするのが、名優モーガン・フリーマンということになるのだが、どうやらあとからくっつけたような役どころ。途中でいなくなってしまうというのに、チラシや予告編では主役のベン・アフレックより大きな扱い。うーむ、これは危険だ。 はっきり言って、モーガン・フリーマンが出ているうちはいい。が、いなくなると、とたんに頼りなく、スケールもダウンしてしまう感じ。原爆の爆発もあるのに、何か肝心な部分が描かれていない感じがして、ちっとも恐怖が伝わってこない。 まず選手交代した監督、フィル・アルデン・ロビンソンは、あの傑作「フィールド・オブ・ドリームス(Field of Dreams・1989・米)」を撮った人だが、ロバート・レッドフォードの泥棒もの「スニーカーズ(Sneakers・1992・米)」以来パッとしなかった。話題の戦争物テレビ番組の「バンド・オブ・ブラザーズ」の第1話を撮っているらしいが……。 脚本がいけないのか。だいたい2人以上、3人くらいで脚本は書かれているが、前3作に関わっているのは1人。ドナルド・スチュアートという人。「ミッシング(Missing・1982・米)」なんていう硬派の社会はドラマを書いている。この人が本作に参加していない。 そして前3作との違いの一つは、原作者のトム・クランシーが本作では製作総指揮を勤めていること。原作をあまり書き換えられないようにと参加したのかもしれないが、結果としてそれが失敗だったのかも。字で読んでおもしろいからと言って、そのまま絵にしてもおもしろいとは限らないのだから。 おもしろいとところもありながら、全体としては印象の薄いものになってしまった本作、はたししてベン・アフレックの復活はなるのか。次作「チェンジング・レーン(Changing Lanes・2002・米)」も近々公開されるようだが、あまりいい役ではないようで……。予告編は良かったんだけどねえ。 公開初日の初回、45分前についたら、新宿の劇場は5〜6人の列。ほとんど中高年で、女性は2人。暑かったせいか、42分前には開場。助かった。この時点で15人ほど。老若の比率は8対2という感じで、圧倒的に中高年が多い。男女比も8対2。女性が少ない。女性だけの観客はまったくいなかった。カップルのみ。ベン・アフレックはあまり女性に人気がないらしい。 最終的には指定席なしの420席に7割ほどの入り。まあまあというところではないだろうか。 劇場で、映画会社のアンケートあり。何ももらえないが、入場者全員にアンケートするのはいいと思う。雑誌で口頭によるアンケートを実施しているところもあるが、あれはあまり正確ではないのではないだろうか。 |