日本語字幕:手書き下、落合寿和/ビスタ・サイズ(パナビジョン)/ドルビーデジタル・dts/レイトー・ショー公開
(米R指定)
歯科医のフランク(スティーヴ・マーティン)は、ある日訪れた患者のスーザン(ヘレナ・ボヘム=カーター)に誘惑され、つい強力な薬を処方してしまう。それがきっかけとなり、彼は婚約者のジーン(ローラ・ダーン)を裏切り、犯罪にまきこまれることになる。 |
同じスティーヴ・マーティンが主演した傑作ミステリー「スパニッシュ・プリズナー(The Spanish Prisoner・1997・米)」のようなミステリーになるはずが、微妙な加減で観客をいらつかせる妙な作品になってしまった、という感じ。 おそらくその原因は、いつも書いていることだが、主人公が不可抗力でトラブルに巻き込まれるのではなくて、まるで自分から進んでハマっていくように見えるからだ。これは脚本のせいだと思う。意地悪い見方をすると、工夫をせずに安易な方法に逃げてしまったようにも見える。うーん、つらいなあ。 たとえば、婚約者がいるのに簡単に浮気に走ってしまう。医師としての資格を失うかもしれないのに、承知で強い薬を処方する……エトセトラ、エトセトラ。しかも、いやな感じのキャラクターたち。素性のしれないジャンキーの娼婦、ほとんど精神病に近い異常な弟、人の迷惑など考えずに自分の気分のままに行動するチンピラ……ああ、いやになってくる。 しかも、監督がこの映画をどう作ろうとしてるのか、まったく見えてこない。よく言えば観客に先を読ませないためだろうが、悪くいえば中途半端。観客にどちらにとられるかは微妙な差だと思うが、そこが傑作とそうでない作品との違い。本作は……最初コメディっぽく、次にミステリーぽくなったかと思えば、いきなりエロティックになり、とんでもなく暴力的になってスプラッターかと思うと、感動恋愛ものになって、こんなハチャメチャ物語を強引にハッピーエンドに持っていこうとする。 最大の失敗は、普通、映画の定石としては早いうちに観客をのめり込ませて、主人公と同じ気持ちにしなければならないのに、この映画では前半の振りの間に観客をすっかり引かせて、いやな気分にさせ、同情させたい事件が起こっても自業自得だろ、と思わせてしまうこと。パカすぎて同情できん、と強く思っちゃうんだな、これが。しかも弟もバカだからバカ兄弟。こんなヤツいるかなあ。 映画の流れとしては、おもしろい。こういう展開になって、こういう結末になるとはちょっと想像がつかなかった。ゆるい気もするが、構成としてはいいのではないだろうか。感情移入さえできていれば……。ということは、かなりの部分これがデビュー作という監督兼脚本家のデヴィット・アトキンスの責任が大きいかも。やってもうた、か? ヘレナ・ボヘム=カーターは「ファイト・クラブ(Fight Club・1999・米)」でも見せなかった胸をすっかり晒してます。 ちなみに、ノボケインとはサブ・タイトルにあるように局所麻酔剤のこと。 5日目のレイト・ショー、13分くらい前についたら、劇場が変更になっていてむしろ見やすい劇場でなんだかラッキー。すでに開場していて、場内には10人くらいの人。30代くらいの男性が中心で、じいさん1人、若い女性1人。 最終的に20人くらいに。女性がやや増えた感じ。まっ、こんなもんか。「スパニッシュ……」並だったらなあ。 |