2002年8月31日(土)「バイオハザード」

RESIDENT EVIL・2002・米/独/英・1時間41分

日本語字幕:手書き下、松浦美奈/ビスタ・サイズ(ARRI)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
(米R、独16、英15)

http://www.biohazard-movie.jp/
(全国の劇場案内もあり)

巨大企業アンブレラ社の秘密研究所「ハイブ」でウィルス感染事故(biohazard)が発生。研究所のメイン・コンピューター「レッド・クィーン」は研究所を閉鎖するとともに神経ガスを放出し、所内の生物をすべて抹殺してしまった。特殊部隊が事態に対処するためハイブに進入を試みるが……。

76点

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 やっぱりポール・アンダーソン監督はうまい。ほとんど内容がなく、ただ単に研究所に入ってコンピューターを止め、それから脱出するというそれだけの単純な映画だが、かなり怖く、ハラハラさせ、しかもゲームの大切な要素はほとんど取り込んで、きっちり1時間41分という時間内に納めてみせる。

 映画としての構成とアレンジはされているが、まぎれもなくゲームの「バイオ・ハザード」それも「1」だ。スタートは洋館からだし、それが迷路状になって研究所へと続いている。ゾンビにはヘッド・ショットをたたき込まなければならないし、遺伝子操作で生まれた凶悪なモンスターもちゃんと登場する。ラストはなんとゲーム版「2」のイントロで終わるという、粋な演出。これって、やっぱり続編を作るぞって言っているんだろうか。

 とにかく、怖いというコンセプトが良い。ゲームの「バイハザ」はいつゾンビ達に襲われるかもしれないという怖さが1つのウリだった。それをきちんと取り込んでいるのだ。さすがは自称「バイハザ」マニアと称するポール・アンダーソン監督だけのことはある。かなり怖いぞ。隣に座っていた中学生とおぼしきおにいちゃんは、驚いて体がはねていたっけ。

 ポール・アンダーソン監督といえばイギリス生まれで、デビュー作は無軌道な若者達を描いた「ショッピング(Shopping・1993・英)」。そしてゲームを映画化した「モータル・コンバット(Motal Kombat・1995・米)」と続き、ボクのお気に入りハード・ホラーSF「イベント・ホライゾン(Event Horizon・1997・米)」に至る。「ソルジャー(Soldier・1998・米)」はA級を思わせるものの中身は完ぺきな超B級(悪い意味ではなく)だったけれど、「イベント……」にしびれたボクはとても本作に期待していた。そして、その期待は裏切られなかったと思っている。

 たぶんオマージュなのだろうが、特殊部隊がコンピューター・ルームに侵入して、防護システムにやられるところは「CUBE(Cube・1997・加)」でしょ。この怖さは半端ではない。オリジナルの「CUBE」と同等の怖さ。デジタル技術が進み、お金をかけている分だけハデになっている。

 アクションに強い監督だから、銃にもこだわりが感じられた。G36やMP5といったポピュラーな銃が出てくるのだが、マガジンがクリップで二重にされていたりと、ちょいと細かい。S&Wの.45オートをもってくるあたりはちょっとマニアックでさえある。ガバメントだってパッと見にはわからないが、よく見ると9mm口径だったり、カウンター・ウエイトがとりつけられていたり……。

 カッコいいタイトル・デザインは、たぶんストック&ミラーというところ。よく読みとれなかった。要チェックかもしれない。

 公開初日の3回目、35分前くらいにたどり着いたら、すでに劇場前には40〜50人の行列。整列入場状態らしい。うう、熱いぞ、今日は。

 ほとんどは若い20代の観客。下は小学生から中高年までいたが、あわせても2割程度。ゲーム世代なのだろうか。男女比はほぼ半々。15分前に入場となり、最終的には305席すべてが埋まった(ぴあ席9席も)。すごい。監督とミラ・ジョボの日本でのプロモーション活動が効いたのかも。まちがいなくミラ・ジョボの好感度はアップしただろう。

 蛇足ながら、前売り券には光るウィルス・ボトル(?)のキー・ホルダーがついていた。得したなあ。

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