2002年10月12日(土)「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア」

QUEEN OF THE DAMNED・2002・米/豪・1時間42分

日本語字幕:手書き下、太田直子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS

(米R指定、豪M指定)

http://www.queenofthevampire.jp/

吸血鬼のレスタト(スチュアート・タウンゼント)は、ロック・ミュージックに刺激されて覚醒する。そしてあるバンドに加わりミュージシャンとして絶大な人気を獲得、それを利用して吸血鬼一族を挑発する歌を歌い始める。人間を襲いながら、同じ吸血鬼仲間から狙われるレスタト。一体、彼の意図は何なのか。その頃かつて吸血鬼一族に絶大な権勢を誇った女王がよみがえろうとしていた。

70点

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 何が言いたい映画だったんだろうか。ヴァンパイア同士の内紛にしては、掘り下げが浅くついでに描いたような感じ。レスタトのアイデンティティに悩む感じというのも薄いし、人間とヴァンパイアの恋というのでもないようだ。ましてや人間とヴァンパイアの壮絶な戦いというのでもない。「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(Interview with the Vampire : The Vampire Chronicles・1994・米)」から8年とか言って広告していたが、共通点は主人公の吸血鬼がレスタト(前作ではトム・クルーズ)というだけで、「クライング・ゲーム(The Crying Game・1992・英)」の名匠ニール・ジョーダンが撮った前作とは比べものにならない。「インタ……」が必ずしも傑作というわけではないのだが。

 監督はマイケル・ライマーという人で、オーストラリア生まれの39歳。1995年にオーストラリアで撮った「エンジェル・ベイビー」という映画が地元アカデミー賞の7部門に輝いたことからハリウッドに招かれ、3本ほど取っているのだが、どれもそこそこでパッとしない感じ。そこでまたこの「クイーン……」だから、どうなんだろ。

 原作があって、前作同様アン・ライスの小説「ヴァンパイア・クロニクルズ」シリーズから取られている。本作はたぶん「呪われし者の女王」からだろう。原作はおもしろいのだろうか。

 脚本はこれまでTVを手がけてきたスコット・アボットと、ジョディ・フォスターの「イノセント・ボーイズ(The Dangerous Lives of Altar Boys・2002・米)」の脚本や「記憶のはばたき(Till Human Voices Wake Us・2001・豪米)」の脚本・監督で高い評価を得ているマイケル・ペトローニの2人。どうなんだろ。スコット・アボットが上げた脚本をマイケル・ペトローニが手直ししたという感じだろうか。

 トム・クルーズの跡を継いでレスタトを演じたのはスチュアート・タウンゼント。これまでほとんど大作には出演していないので、本作が注目されるきっかけになるのかどうか。ただ、クールな二枚目であることは充分アピールできたとは思う。

 話題の一つは、ミュージシャンのアリーヤが「呪われし者の女王」として出演していることだろう。2001年8月25日、飛行機事故によって亡くなっているので、本作が遺作となってしまった。「ロミオ・マスト・ダイ(Romeo Must Die・2001・米)」で、きれいでお茶目な女優が出てきたなと期待していたのに。でも、胸は小さめ。露出度の大きな衣装で登場するので、どうしても胸のサイズが目立ってしまうのだ。

 目立たないが、ずっとヴァンパイアの記録を取ってきた一族とかいうのを演じている女優に「蜘蛛女(Romeo is Bleeding・1993・米)」でものすごい怖い女を演じて強い印象を残したスウェーデン生まれのレナ・オリン。こんなチョイ役で良いの?

 ヒロインを演じたのはマルガリート・モローという美人女優で、「飛べないアヒル(The Mighty Ducks・1992・米)」でチームの一員を、感動作「マイティ・ジョー(Mighty Joe Young・1998・米)」では役名のないグループの一員で、新人に等しい人。ついに美しい大人になりましたと。 今後は注目下かもしれない。

 公開初日の初回、新宿の劇場に45分前に付いたら若い女の子と自分だけ。あらら。30分前になったらようやく8人ほどになったが、この不人気はいったい……。若い女の子が3人に、老婆とあとはオヤジ。オヤジはどこにでもいる。たぶん最後の映画世代(フリーク)なのだ。

 20分に前になって係員の女の子がやってきて、ドアの鍵を開けていったが、何も言わない。入って良いのか、オイ。「どうぞお入りください」くらい言えよ。階段を下りて地階の入り口に並ぶ。この時点で若いカップルも増えて10〜13人。

 たっぷり待たせて15分前に開場。11席×2列の指定席に11席のぴあ席があったが、全席自由とも何とも案内がない。2人くらい座っていた。この劇場はいったいやる気があるのか。

 最終的には老人もちょっと増えて、それでも763席に50人くらいの入り。超さみしい。


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