日本語字幕:手書き下、東野 聡/シネスコ・サイズ(マスク)/ドルビーデジタル
(オランダ16規制)
ニューヨークの新しいランドマークとなった102階建てのビル、ミレニアム・ビル。そこには73基のエレベーターがあったが、原因を特定できないエレベーター事故が連続して起き始めた。エレベーター技師のマーク(ジェームズ・マーシャル)は、新聞記者のジェニファー(ナオミ・ワッツ)とともに調査を始める。 |
ハッキリ言って、B級映画。でもおもしろい。危うくゲテもの映画になるところ、ギリギリでそうならずにこらえたと、そんな感じ。とにかくナオミ・ワッツは美しい。それだけでも見た価値はあったかな。ただ当日券1,800円はいたい。めちゃくちゃイタイ。前売りだったらだいたい1,300円。ああ、せめて「ぴあ」とか情報誌を持って行っていたら200円くらい引いてもらえたのに。一時期前売りも1,500円くらいまで値上がったけど、最近はだいたい1,300円で落ち着いてきたみたい。閑話休題。 エレベーターで人が死ぬ。まるでエレベーターが意志を持って人を殺したように。これで、もしエレベーターがただ人を殺していたら、荒唐無稽もいいところ。冗談も休み休み言え。スティーブン・キング先生だって、せいぜい人を襲う車(「クリスティーン(Christine・1983・米)」)とか洗濯用プレス機(「マングラー(The Mangler・1995・米)」)だったぞと。 最近のエレベーターというのは、だいたいコンピューターによってコントロールされていることが多く(操作方式と呼ぶらしい)、特に大規模システムでは複雑なシステムが組まれている。A.I.とかファジーとか心理効果とか、なんだかんだと、想像以上にハイテク・システムなのだ。もし、そのコンピューターが暴走したら……というお話。 暴走の原因はともかく、設定がおもしろくて見たい気にさせる。実は予告編を見るまでは見る気がなかったのだが、別の劇場で見てしまったものだから、1,800円を覚悟で見に行くことにしてしまったというわけ。ナオミ・ワッツが手出ているし。 ナオミ・ワッツには、何回も書くがコミックの映画化で個人的に大好きな「タンク・ガール(Tank Girl・1995・米)」でジェット・ガールに抜擢されて以来注目してきた。しかし、それ以後ぱっとした役に恵まれず、「娼婦ペロニカ(A Destiny of her own・1998・米)」などを経て、各賞を総なめにした傑作「マルホランド・ドライブ(Mulholland DR.・2001・米)」で主役の座を射止める。その直前に出ていたのが本作なのだ。次回作は日本原作のハリウッド映画「ザ・リング(The Ring・2002・米)」 ほかにも出演者は結構豪華で、エレベーター技師で事件の真相を探るためビルに侵入する主人公に、社会現象にまでなったミステリーTVドラマ「ツイン・ピークス」のはにかみ屋のバイクの高校生を演じたジェームズ・マーシャル(あのときは黒髪だったが、今回はブロンド。ナオミ・ワッツと一緒だ)。 バイオ・チップを研究しているドイツ人グンター・スタインバーグに、ショッキングSFの「スキャナーズ(Scanners・1981・加)」や最近では「スターシップ・トゥルーパーズ(Starship Troopers・1997・米)」のマイケル・アイアンサイド。 エレベーターの会社のボスに、その個性的な面構えで一度見たら忘れられない「クロノス(Cronos・1992・メキシコ)」のロン・パールマン。彼はその後レトロ感覚のSFアドベンチャー「ロスト・チルドレン(La Cite Des Enfants Perdus・1995・仏)」でも独特の味を出し、「エイリアン4(Alien 4・1997・米)」「スターリングラード(Enemy at the Gates・2000・米/独/英/アイルランド)」「ブレイド2(Blade II・2002・米)」話題作・大作にどんどん出まくっている。 事件の捜査に当たるマクベイン警部を演じるのが、どちらかというとB級アクションの悪役という感じのダン・ヘダヤ。最近ではナオミ・ワッツとともに「マルホ……」に出ていた。とにかく豪華な出演陣だ。 彼らをうまく使ってまとめた監督が、「小さな目撃者(Do not Disturb・1999・蘭/米)」でみごとなサスペンス手腕を見せつけたオランダのディック・マース。ちょっと覚えておいた方がいいかもしれない。 公開2週目の銀座のミニ劇場は、20分前で15〜16人ほどがロビーで待っていた。ほとんどは20代で、女性が3〜5人。オバサンは1人もいない。オヤジも3〜5人いうところ。 それにしても、このスクリーン・サイズで、1,800円はどうなんだろ。ビデオにちょっと毛が生えたくらい。前の席の人の頭はスクリーンの1/3くらいまでくることもあるし……音響はアナログのようだし…… 最終的に指定席無し、ぴあ席2席の144席に4.5割ほどの入り。ほとんど宣伝していない割には良い方か。 |