2002年10月20日(日)「抹殺者」

THE BODY・2000・米/イスラエル・1時50分

日本語字幕翻訳:写植下、岡田壮平/シネスコ・サイズ(レンズ、Panavision)/ドルビーデジタル

〈アメリカPG13指定〉
http://www.herald.co.jp/massatsusha/
エルサレムの金物屋の裏庭の地下から発見された墓室で、考古学者のシャロン(オリビア・ウィリアムズ)は隠された部屋を発見し、キリストと思われる遺骸を発見する。この知らせはすぐにバチカンにも届き、真実を確かめるために元軍の情報部に所属していたグティウレス神父(アントニオ・バンデラス)を派遣するが……。

74点

1つ前へ一覧へ次へ
 「抹殺者」? いったい、どこをひねるとこんなタイトルが出てくるのだろう。これではまるで安物のスナイパー映画かなにかのようではないか。もちろんボクもそれを予想して前売りを買ったわけだが。これじゃあ、まるで出来が悪いので過去の話題作、シルベスター・スタローンと競演した「暗殺者(Assassins・1995・米)」の威を借りて売ろうとしているみたい……っていうか、そのままんまじゃん。このタイトル、きょうびの観客には逆効果じゃないかなあ。

 実際の内容はまったく違っていて、信仰と科学、宗教と政治という問題を鋭くついてくるアクション映画だった。ただ、キリスト教の知識がある程度ないと、なかなか内容が理解しにくい。ボクなど理解できないところがいっぱいだった。わかる人はかなりおもしろいのではないだろうか。

 といっても、キリスト教の信者の人はどうかというと、厳しいのではないだろうか。この話は、結末までちゃんと見ればわかってもらえるとしても、かなりキリスト教にとって挑戦的な構成になっている。もし、キリストが処刑後、復活していなかったとしたら、というお話なのだから。教会はすべて否定されてしまうかもしれない。そのときバチカンはどう出るか。やっぱり否定しようとするだろうと。このへんの描き方に多少なりとも腹を立ててしまうだろうなあ。

 トンでもな話が好きなボクとしては、遺骨の身長が、聖骸布より低いと議論になったりするのが良かった。アントニオ・バンデラス神父がそう言うと、オリビア・ウィリアムズ学者はあれは偽物だとバッサリ切って捨てる。おお、マニアック。たまりません。こういう話、大好き。

 オリビア・ウィリアムズという女優さんは、「ポストマン(The Postman・1997・米)」でケヴィン・コスナーが一目で気に入って相手役に抜擢したのだとか。その後、大ヒット・ホラー「シックス・センス(The Sixth Sense・1999・米)」でブルース・ウィリスの妻を演じ、つい最近、脱獄コメディ「ラッキー・ブレイク(Lucky Break・2001・英)」では主人公が惚れてしまうカウンセラー役で存在感を出していた。実際のところ「ラッキー……」のほうが本作より後に作られているんだけど。

 結構、売れている役者さんがたくさん出ていて、発掘された遺骨で信仰を失ってしまう神父に、「グラディエーター(Gladiator・2000・米)」や「バジル(Basil・1997・米)」のデレク・ジャコビ。イスラエルのホテルの怪しげなホテルマンに、ジョージ・A・ロメロ監督の最新ホラー「URAMI 〜怨み〜(Bruser・2000・米)」で笑い仮面のように白い仮面が張り付いた男をせつなく演じたジェイソン・フレミング。彼はホラーSFの「ザ・グリード」では化け物に食われて強い印象を残していたっけ。本作でも、何かやりそうなんだけど、なぜかそのまんま。こんなにくせ者を使っておいてただのホテルマンはないだろう。

 ラストはすごい銃撃戦。イスラエルが舞台で、しかもイスラエルの特殊部隊が出てくるので、あまり見かけない銃が出ている。有名なUZIサブマシンガンは当然として、制式小銃であるガリルが多数登場するのだ。テロリストはありふれたロシアのAKだが。

 公開2日目の初回、50分前に着いたら渋谷の劇場は1Fのチケット発売所が開いていない。張り紙によると全席指定入れ替え制で、前売り券を持っていてもここで当日券に交換しないといけないらしい。まだそんなに寒くないからいいけど……。有楽町でもこの方式を止めるところが多いというのに、こういう劇場でそれをやるか。試しにエレベーターに乗ったら、その階には止まりませんというアナウンスが流れた。

 張り紙には20分前開場とあった。

 40分前になってオヤジが2人。30分前にようやく窓口が開き、希望の座席を指定して入場するが、初めて来た劇場でどの席が良いかなどわかるはずもない。座席はスタジアム形式ですかと聞いたら「はあ?」とキョトンとされてしまった。やれやれ。そこで最悪を想定して席を選びエレベーターで上へ。真ん中を勧めてくれたが、断ってやや左よりにした。

 10分前でオヤジ3人の、若い女の子1人。普通のフラットな床だったが、スクリーンとの位置関係が図からはわからなかったので、ちょっと移動したかったが全席指定だ。ガラガラでも移動することは許されない。どうなんだろう、これって。

 最終的に245席に12〜13人。オヤジ1/3に若い女の子1/3、若い男の子1/3という感じ。座席の指定は厳しい割に、ピントはあまく、何回かセンターのピンがぼけたが……。


1つ前へ一覧へ次へ