日本語字幕翻訳:手書き下、太田直子/シネスコ・サイズ(マスク、Panavision)/ドルビーデジタル・dts・SDDS
〈米PG-13指定〉
ワシントン・ポスト紙のスター記者、ジョン・クライン(リチャード・ギア)は、妻のメアリー(デブラ・メッシング)と一緒に新居の物件を見に行った帰り、運転するメアリーが突然悲鳴を上げて車を急停車させた。その反動でメアリーはウィンドーに頭を強く打ち付け重傷を負ってしまう。救急車で病院に運ばれたメアリーは「あれを見た?」という謎の言葉を残してこの世を去る。 |
なかなか怖い。派手な仕掛けはラスト以外ないものの、じわじわと怖い。アメリカ人向きではないかもしれない。むしろ日本人向きかも。実話がベースになっていて、派手にやろうとすれば「Xファイル」をしのぐものになるだろう、ネタ。 しかも、タイトル前から全編に渡って、謎、シンボル、記号[Y]……のようなものの数々。かなりわかりにくいというか、多くの解釈が可能な映画なので、のっけから気を抜かず一瞬たりとも目を離さずに集中して見よう。気を抜くとおもしろいところを見逃してしまうかもしれない。そういう挑戦的な映画でもある。 わけがわからないまま劇場を後にするというようなタイプの映画ではないが、おそらく何回も見るとより深く理解できるというタイプの映画なのだろう。1画面1画面に非常にたくさんの情報、謎が埋め込まれていて、とても1回見ただけではすべて理解することなどできはしない。 ただし、それらが理解できなくても、つまり1回見ただけでも全体は把握できるし、特に問題はない。なんとも不思議な映画だ。問題は「じらし」は一歩間違えると「思わせぶり」になってしまうこと。ここは微妙だからなあ。しかも主観的な問題だし。「思わせぶり」と感じたら評価は低くなるだろう。ボクはOKだった。 開場時、劇場に入るときにチラシのセットを渡された。一番上にあったのが2つに折られた「マーク・ペリントンの仕組んだ魅惑のミステリーワールド解剖!」というチラシ。おいおい、解説書まで付く映画かよ(ここから先は上映後にご覧くださいの注書き付き。ただし後から読んでも確認する手だてが無く手遅れだが)。もちろん、これを読まなくても映画は理解できる。多少不可解な部分は残るにしても。しかし、これを読むとなるほどと納得でき、そういうことだったのかと膝を打つことになるかもしれない。まあ、よく分析したものだ。しかも「これだけでは、まだ謎が解けませんが」と言っている。なんともはや。これは劇場で見て、あとはDVDで研究すると、そういうことなのだな。 このマーク・ペリントンという監督はTVやビデオで活躍してきた人で、なんと本作で劇場映画3本目。新人に近い。でも前作があの怖かった「隣人は静かに笑う(Arlington Road・1999・米)」だから、本作のできがよくても驚くには値しないのだ。詳しくは「隣人は……」のリンクを見ていただくとして。はたしてモス・マン(蛾男)の正体とは? 原作小説があるにしても、脚本はかなりすごいはずだが、調べてみると「暴走特急(Under Siege 2・1995・米)」の脚本を書いたリチャード・ヘイテムという人で、あれはいまいちだったかな。やはり演出力か……。 結局、自分の目で確かめてもらうしかない。まず「じらし」か「思わせぶり」か。そして演出力か、脚本力か。もちろんリチャード・ギアはいいし、地元警察署の警察官コニーを演じるローラ・リネイもいい。特に冬用の警察の防寒帽姿がいい。そしてまずスクリーンの大きな、そして暗闇になる劇場で見て欲しい。明るい部屋でビデオとかDVDで見ては魅力半減だ。 公開2日目の初回、銀座の劇場は40分前で7人の行列。中高年のみ。オバサン1人。35分前に20人くらいに増え、20代後半とおぼしき女性が増えた。男性はだいたい30代以上か。あきらかな老人は5人というところ。 30分前に開場したときは、30人くらい。全席自由で、9席×2列×左右の指定席(うちぴあ席4)も自由。ファミリーが来たので下は中学生くらいから、上は老人まで。ホラー系らしく6対4で女性が多く、6対4で中高年以上が多かった。最終的には435席の4.5割ほどが埋まった。 |